Global Wind (グローバル・ウインド)
ベトナム現地で見る旧正月(テト)文化

中央支部・国際部 三宅 秀晃

 東南アジアには旧正月の文化を持つ国がいくつかあります。例えば、マレーシアやシンガポールは華人が多いことから中国式の旧正月となります。ベトナムは元々中国文化圏であり、中国の文化が残っており、旧正月もその中の一つになります。今回はベトナムの旧正月についてご紹介します。
ベトナムの旧正月とは
 ベトナムでは旧正月のことをテト(Tết)と呼びます。正式にはTết Nguyên Đán (節元旦)といいます。旧正月では実家に帰って家族揃って過ごすのが一般的です。テト前のホーチミンのバスターミナルは下の写真のように帰省する人々で大混雑になります。
       01_benxe.jpg
 ベトナム労働法ではテト休暇は5日間と定められていますが、今年は政府系機関のお休みが1月28日~2月5日までの9日間(但し1月25日と2月8日は振替出勤)でした。この期間は各企業によって異なり、5日~2週間ほどの休みとなることが多く、日系企業の場合は少々少ない場合も多いようです。毎年、2ヶ月ほど前に政府機関の休暇が発表され、各企業はその後に日程を決めることになります。
旧正月のシンボル
 旧正月では花が飾られます。ハノイなどの北部ではピンク色の桃の花、ホーチミンなどの南部では黄色の梅(正確には梅ではなくて熱帯の植物)の花が使われます。
       02_flower_north.jpg
 写真はベトナム北部の桃の花の様子です。テト前にとったのですがテトの頃には満開になっていることでしょう。
 このような花は旧正月が近くなると路上で並べられて売られている他、レンタル業者も存在しています。企業や大きな家では立派な木を数万円掛けてレンタルすることもあるそうです。
       03_flower_south.jpg
 こちらの写真はテト前にホーチミンの路上で販売されているテト用の花木の様子です。夜遅い時間でしたがトラックから木を降ろして並べていました。
テトの贈り物
 テトでは取引先や会社から従業員、その家族へ贈り物が贈られます。この贈り物のことをベトナムではクアテト(Quà Tết)と言います。この贈り物はベトナム人にとって非常に大きな意味を持つようです。
       04_quatet.jpg
 こちらは欧米系スーパーマーケット「Metro」の入口に設けられたテトの贈り物の特設売り場。少々見難いのですが、かごに商品を詰めてビニールでラッピングしているものが一般的です。ギフトの中身は日常的な調味料やお酒、お茶、コーヒー、お菓子など日本のお歳暮と似ていますが、お歳暮とは違って多くの種類が少量ずつ入っているのが特徴です。
ベトナムにもあるお年玉
 ベトナムにも日本のようなお年玉という文化があり、南部ではリーシー(Lì xì)、北部ではムントゥオイ(Mừng Tuổi)と呼ばれています。「大吉大利」や「吉祥如意」などと書かれている赤い袋が使われます。ベトナムでは昔は漢字を使っていた事があり、その頃の名残で上記のような漢字表記が使われます、今ではその漢字を理解できるベトナム人はほとんど居ません。ただ、今のベトナム語にも同じ意味の言葉は残っており、大吉大利はダイカットダイロイ(Đại Cát Đại Lợi)といいます。
       05_lixi.jpg
 こちらの写真は先月ホーチミン市に開店したイオンモールタンフーセラドン店の文具売り場にあったお年玉袋。お年玉の金額は相手との関係にもよりますが数万~十万ドン(数百円~数千円)程度です。子供だけがもらえるわけではなく、上司から部下へ贈ることも一般的です。
三宅 秀晃(みやけ ひであき)
2012年7月よりベトナム在住。日系人材研修企業のベトナム担当としてホーチミンで勤務。ベトナム情報サイト「ベトナム生活・観光情報ナビ」でベトナム情報を発信しています。
ベトナム生活・観光情報ナビ:http://vietnam-navi.info
Facebook:https://www.facebook.com/infibility