Global Wind (グローバル・ウインド)
「気軽な国際交流~人形町てんてん祭・外国人江戸まち歩きツアー」

国際部 井村 正規

 10月8日の良く晴れた土曜日に中央支部事務所からほど近い人形町のまちで「てんてん祭」が開催されました。人形町大通りと甘酒横町の一部を歩行者天国として、人形町商店街をあげての年に一度の大きなお祭りです。
 このお祭りに合わせて東京青年会議所中央区委員会(以下JC)では今年度の新規事業としての「ウェルカム中央」イベントの一環として外国人観光客向けの無料「江戸町歩きツアー」を開催しました。NPO中央に対して協力のご要請があり、支部渉外部・青年部及び我々国際部としても、腕の見せどころとして、有志での参加を行いました。
 JCからFacebook、及び各宿泊施設に対するビラまきにより、当日人形町近辺に宿泊している外国人ゲストに参加を募ろうというものでした。
何人集まるかふたを開けてみなければわからない、ドキドキの集客方法です。

GW1chirashi

 当日、朝9:15に日本橋公会堂に診断士チーム総勢22名が集合。
 渉外部金子副部長の説明後、JC・中央区観光協会派遣のガイド及び中央支部会員が8班に分かれてツアーに同行します。
 我々2チームは馬喰横山にほど近いツアー集合場所で外国人観光客に人気のHostel IRORIに移動。

 これまでHostelや民泊というものにあまり接する機会がありませんでしたが、実際に見てみるととても居心地がよく、価格もホテルに比して誠に格安です。人気がでることも大いにはら落ちするものでした。

GW2Irori

 集合場所となった、ホステルIRORIさん。
 炭のある囲炉裏を囲んで日本情緒に触れながら、外国人観光客が情報交換をするには絶好の場です。

 観光協会から派遣されたガイドのAさん・Sさんも合流し、ざっくり説明されたい概要をお聞きしました。人形町にはその昔、魚河岸・歌舞伎座・吉原が存在していて、一日で千両を稼いだというのがガイドAさんのご説明。Aさんが千両って今のいくらくらいですかね?と問うと、もう一人のガイドSさんが「私は千両=1億円って説明してますよ」と。私の方からすかさず、「ではUS$3Million per dayですね」と茶々をいれると、お二人ともその説明がわかりやすい!とさっそくのチームプレイが出来上がりました。
 当初お二人のガイドさんは観光客だけでなく、青年商工会・診断士の混成チームに少し遠慮と不安が感じられましたが、このアイスブレイク中に「我々が楽しめば、お客様も必ず楽しんでもらえる!」という声が診断士チームから出て、その途端にチームの結束が醸成されたように感じます。

 IRORI出発の2チームに参加をご希望した観光客の方はお二人のみ。フィリピンからいらっしゃったCさんと韓国から来たKさん。
 二人しかいないので、2チーム合同にして全員でおもてなししようと即決。まずは馬喰横山から徒歩で人形町に向かいます。
 ツアーの最初にガイドのAさんが古地図を示しながら、人形町の歴史として魚河岸・歌舞伎座・吉原で一日3百万米ドルを稼いでいたという話でCさん・Kさんともにびっくり。
 1657年(明暦3年)1月の明暦の大火(振り袖火事とも言われる)で町全体が消失したことから、魚河岸は日本橋に、吉原は浅草に、歌舞伎座は銀座にそれぞれ移転したというご説明でした。
 歩きながら、メンバーが代わる代わる観光客のお二人に声を掛けます。
 まずは、日本橋大通りに2か所あるからくり時計。毎正時に動きますが、時間は既に10時過ぎ。動いているからくり時計をCさん・Kさんにお見せすることはできませんでした。残念!

からくり時計
からくり時計。江戸落語と町火消しの2タイプありますが、両方正時に動くとなると、両方見るのは相当忙しい?

 次に大観音寺(おおかんのんじ)を拝観。足の速い神様の韋駄天もまつられていて、アスリートの方々が大会前にお参りすることも少なくないとか。
 馬を頭に乗っけた馬頭観音もあり、当時は馬が大切な交通手段だったことがわかります。

GW4Idaten

アスリートも試合前にお参りに来る韋駄天の神。大観音寺。
入口そばには昔からの防火用水の井戸も残っています。

 一旦人形町大通りを渡って、甘酒横町へ。創業明治40年のお豆腐の双葉さんを訪問。

GW5tofufutaba

お豆腐の双葉さん。
豆乳が濃い!豆乳ではなく、豆腐そのもののよう。大豆の味が素晴らしい!
がんもどきも大きくておいしそう。

 古い土間のあるお店には大豆のいい香りが漂います。当日は夏のような暑さでのどの渇いた我々は試しに豆乳を購入。この濃さには驚きました。豆乳というよりもとってもやわらかい豆腐のような濃さ。おおきながんもどきもこのお店の名物のようです。

 次は人形焼きの名店板倉屋さんに移動します。店主の方は親切に作業場の見学もさせて下さり、観光客のCさん、Kさんは焼き立てほかほかの人形焼をサービスで頂いて大喜びでした。

GW6ningyoyakiItakuraya

人形焼の板倉屋さん。職人芸がさえわたります。

 その後、再び人形町大通りをまたいで、江戸手ぬぐいのちどり屋さんに向います。その途中の路地では両サイドに古くからの料亭があったり、古い作りの太田鮨さんを眺めながら日本橋小学校が西郷隆盛の旧居であったこと、谷崎潤一郎が人形町の生家の跡、そもそも銀を扱う銀座は人形町に所在したことなどなど、観光ガイドのお二人の豊富な知識に我々自身が感服しながらの楽しい江戸の情緒を再発見するツアーです。
 ちどり屋さんでは色とりどりの綺麗な手ぬぐいの数々に観光客のお二人も息をのんで、お土産に購入されていました。

GW7tenugichidori

ちどり屋さんの色鮮やかな手ぬぐいの数々。

 ツアーの終点は人形町で外せない、水天宮。ちょうど戌の日であったようで、境内には多くの赤ちゃん連れのご家族がたくさんおられました。
 フィリピンから来た女性のCさんは子宝・安産の神様と聞いて、ツアー終了後にお参りしていくと言って我々と別れました。Kさんもツアーにいろいろな発見があり、大変喜んで下さったようです。

GW8suitengu

最終ゴール地点の水天宮にて全員で記念写真。心に残る町歩きツアーになったことでしょう。

 十月十日にちなんだてんてん祭には、町歩きだけじゃなく、相撲部屋のブースが出たり、人形町の芸者さんが出演したりと盛りだくさん。
もっと興味をひくチラシや集客ができれば、さらなる観光客への訴求が可能というのが今後のテーマです。

IMG_1675

若くてきれいな芸者さん、確認取れなかったので残念ながら素顔はお見せできません。

 この街歩きツアーはJCの新規事業として企画されましたが、JCでは新規事業は単年度計画であり、来年は計画できないとのお話で、人形町商店街と診断士が引き継いでくれればという気持ちを持たれています。
 支部事務所から徒歩5分の人形町にこんなに知らないことが山ほどあったというのは私にとっても、極めて新鮮な驚きに満ちたツアーでした。このような手軽に誰でも参加できる国際化という案件はぜひ継続して取り組んでいきたいと考えています。

GW10profile写真顔だけ

■井村 正規 (いむら まさのり)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、ニチメン株式会社(現双日株式会社)に勤務
2010年診断士登録
中央支部執行委員、国際部副部長
マスターコース 経営革新のコンサルティング・アブローチ主催団体BCNG 幹事
ブログ 中小企業診断士一発合格道場創業 初代JC
診断士三田会幹事長代理
双日グループ診断士会 会長
北京診断士会/上海診断士会