経営再建には次の5つのステップがあるが、今回はそれぞれのステップの注意点を中心にまとめてみた。特に再建の式をとるということはあまり実行されていないようであるが、利害関係者の心を一つにするという意味で活用していただきたい。
ステップ1:予備診断
(1)紹介者からの情報収集(第三者の意見として重視する)
(2)経営者の再建への意欲(これがなければ再建は不可能)
(3)トップ構造と再建メンバーの確定
(4)トップの家族関係と再建への協力
(5)再建の可能性の判断
【注意点】
(1)実質的なオーナーは誰か。
(2)オーナーが痛みを伴う覚悟があるか。
(3)家族の協力は得られるか。
(4)どのくらいの期間で再建したいのか。
※ポイントは実質的な責任者の絞り込みと家族の協力である。特に夫婦の心が一つになって再建を進めないと、途中で崩れる。
ステップ2:経営診断の契約
(1)利害関係者の意向の把握(金融機関、仕入れ・外注先)
(2)診断の範囲の確定(グループ全体か、子会社か)
(3)診断の内容の確定(依頼事項の明確化)
(4)診断期間、費用の確定
(5)経営診断契約の締結
【注意点】
(1)利害関係者の協力の障害点は何か。
(2)再建の条件で特筆することはあるか。
(3)診断の範囲を明確にできるか。
(4)診断契約は先方が了解できる内容か。
※再建は利害関係者の協力がないと不可能である。利害関係者の協力を得る為には様々な条件がつけられることがある。これらを考慮した診断計画を作成する。
ステップ3:経営診断の実行
(1)財産確定・企業行動力診断(財務診断)
(2)企業性格診断(経営人的診断)
(3)業務診断(市場、技術、管理システム)及び業務改善計画の作成
(4)利益・資金計画の作成
(5)社内診断報告会の実施
【注意点】
(1)経営者に計数情報は開示してもらえるか。
(2)診断者が業務改善に対する知識を持っているか。
(3)利益・資金計画は利害関係者を満足させられるか。
(4)診断報告会に必要な人を集められるか。
※簿外の負債が診断終了後に出て来ると診断そのものが無意味なものになるし、利害関係者の協力も得られなくなる。本人はもちろん、利害関係者全体が再建に協力する体制を作ることがポイントである。
ステップ4:再建組織の確立
(1)再建組織と役割の明確化
(2)利害関係者(金融機関・仕入先)との交渉
(3)再建の式の実行
(4)家族の協力(これが無いと利害関係者の協力は難しい)
(5)従業員への説明会
【注意点】
(1)再建組織に必要なメンバーが入っているか。
(2)利害関係者の要望は吸収できているか。
(3)説得力のある改善計画になっているか。
(4)関係者が集まっての再建の式であるか。
※再建の式とは再建に関わる人々の心を一つにすることである。ここから再建が始まると考えるべきであろう。
ステップ5:継続的経営指導
(1)月次決算システムの確立
(2)組織活性化研修会の開催(早朝会)
(3)業務改善内容のフォロー
(4)月次検討システムの確立
(5)利害関係者への報告の仕組み作り
【注意点】
(1)月次決算が正確に出せる体制か。
(2)早朝勉強会(実践報告)が継続できるか。
(3)業務改善内容が継続的に実践されているか。
(4)利害関係者に定期的な報告がされているか。
※利益・資金計画に基づく実績検討会は再建のためには不可欠である。計画通りに進んでいることに感謝しながら、定期的な報告を忘れないことである。
まとめ
再建企業を取り巻く環境は日々変化していると考えること。再建は個人の力だけで出来るものでなく、多くの利害関係者の協力が不可欠であると考えること。約束したことを確実に実行すると同時に、報告と感謝を忘れないこと。
■岩崎 明(いわさき あきら)
株式会社ソウケイ・ハイネット 代表取締役社長
中小企業診断協会 東京支部中央支会理事
経営革新及び情報システム改善コンサルティング
経営再建コンサルティング
著書「幸福企業を作る情報管理」「トラック物流」「トラック経営革新」他多数
連絡先 株式会社ソウケイ・ハイネット
〒113-0033
東京都文京区本郷2-10-9 富士ビル5F
e-mail:23akira@sokei.co.jp