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専門家コラム 環境経営(2005年6月)
中野 成蹊

 ロシアの承認により、京都議定書は今年2月16日に発効しました。これにより、我が国は2008年から2012年の温暖化ガスの排出量を、1990年比で6%削減する必要があります。

 現在地球規模で気温の上昇が観測されています。地球46億年の歴史においては、過去に幾度か気候変動が起こっています。しかしそれらはいずれも100万年から1000万年単位での変化で、生物が順応できる程度の緩やかな変化でした。今我々が直面している気温変化は、20世紀に地表の平均温度が0.6℃上昇し、さらに上昇速度は年々増しています。我々の経済活動に使用されるエネルギーのほとんどが化石燃料に由来し、燃焼に伴い温暖化ガスである二酸化炭素が排出されます。世界人口が爆発的に増加し、人々が豊かになれば、エネルギーの消費が益々増え、二酸化炭素の排出増加により、地球温暖化に拍車がかかります。温暖化ガスの排出以外にも、経済活動からは有害物質や廃棄物が大量に排出されています。これにより地球環境の破壊は確実に進行しています。我々に今必要なのは、美しい地球環境を次世代に残し、持続的に成長する「持続可能な社会」に向けての「大量生産・大量消費・大量廃棄」時代からの大きな方向転換です。

 環境関連の法律や規制に対応することは、余計な経費や労力がかかり、コスト増になると考えがちです。しかしながら、環境保全活動は、製造業における歩留まり向上や不良品の削減による廃棄物の低減、あるいは生産効率アップによる使用エネルギーの削減により、環境負荷の低減が可能となり、コストダウンと環境配慮を両立させることが可能となります。製造業以外でも、業務の効率化により環境負荷を低減し、コスト削減に結びつけられます。このように環境に配慮して環境負荷を低減し、同時にコストダウンにより利益増を図る経営を「環境経営」と呼んでいます。これからは、環境対策を押し付けられた責務としてとらえるのではなく、積極的に経営に取り込んで、業績を向上させる経営が必要です。これには、環境マネージメントシステムを導入するのも一つの方法です。ISO14001規格は導入費用が高いという印象がありますが、中小企業向けに低費用で容易に導入できる環境マネージメント規格としてエコアクション21、エコステージあるいはKESがあります。どの規格も、目標管理とPDCAサイクルによる継続的改善活動です。これらマネージメントシステムの導入においては、環境改善目標と経営目標を整合させることがポイントです。

 京都議定書発効による温暖化ガス排出の制約が、新たな技術革新の引き金になるかも知れません。地球温暖化の進行や世界各地で起こる異常気象が益々健在化すれば、人々の感心はさらに環境保全に向いてきます。それにより社会の企業に対する評価もCSR(企業の社会的責任)の視点が重要視されます。例えば、環境に配慮した商品やサービスを優先的に購入する消費者行動や、環境に配慮した経営を行なっている企業に優先投資するCSIも増えてくるでしょう。今すぐ環境経営を実践されてはいかがでしょうか。 


□中野 成蹊
中小企業診断協会東京支部中央支会理事、中小企業診断士、現在ISO9001審査員、ISO14001審査員補、環境カウンセラーとして、ISO審査及びコンサルティング活動を行なっている。


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