社団法人中小企業診断協会東京支部 中央支会
Search
Mail Magazine
詳しくはこちら
専門家コラム 適切なクレーム対応でリピートを増やす(2005年8月)
山川 美穂子

<適切なクレーム対応でリピートを増やす>

クレームに対する意識変革 
 クレーム対応の是非は、企業の命運を左右する。といっても、クレームや不祥事の発生がただちに企業の命運に直結するわけではない。クレームに真摯に対応した企業は、たとえ製品に欠陥があったとしても消費者の信頼を失ってはいない。
クレームは発生したことそのものが問題となるのではなく、いかに適切な対応ができたかが成否を分ける鍵となる。

クレームとは
 クレームとは、消費者・事業所を問わずお客様が期待した水準より提供された製品やサービスの品質・水準が低かった場合に生じる。製品やサービスに対する期待が高ければ、相応の品質を保っていてもクレームになる場合がある。反対に、期待がほとんどなければ、製品やサービスへのクレームが表面化することは少ない。
 表明されたクレームには、今後の製品開発や従業員教育のヒントが隠されていることも多い。使い心地の悪さに対するクレームや誤った取り扱い方法に起因するクレームなどは、製品や取扱説明書の表記に関する改善のヒントを含んでいる。従業員の接客に対するクレームは、自社の提供するサービスを見直すきっかけとなる。
クレームには経営改善のヒントがたくさんつまっている。その場しのぎや、クレーム隠しをしているようでは、このヒントを活かすことはできない。
 以下に掲げる具体的な対応を参考にしてほしい。

(1)クレーム対応の基本原則
 クレーム対応の基本原則は、お客様の立場に立ち、誠実・迅速に対応することである。これが結果としてクレーム対応のコスト、時間を最小化することを肝に銘じておきたい。
 また、クレームには、迅速に対応を始めることが重要である。しばらく様子をみるといったクレームの放置は、事態を深刻化させたり、お客様の気持をこじらせたりする。多くの場合、問題を拡大させ解決をより難しくさせる。

(2)クレーム対応は話を聞くことから
 まず、お客様の話をじっくり聞くことである。そのためには、クレームとわかった時点で、お客様の被った不快感や不便などに対して謝罪をすることが必要である。
(話法例)「せっかく当社の製品をお使いいただきましたのに、ご不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした」
 はじめに不快感などに限定して謝罪を行なうことで、お客様の気持をある程度鎮めることができる。ただし、この時点では状況や原因がまったくわかっていないため、自社の非を認めるような発言は禁物である。

(3)状況確認のうえ具体的対応へ
 お客様の話をじっくり聞くことで、お客様の気持を落ち着かせることもできるし、クレームとなった製品や店舗の特定、実際に被った被害や現在の状況などを確認することができる。電話の場合や、クレームとなった製品の現物が手許にない場合には、実際に被害状況などの確認のため現場を訪問し、現物を確認する必要があるかどうかを判断する。
 状況を把握したうえで、原因を究明したり、そのクレームに具体的にどのように対応するかを決める。具体的対応は、お客様の気持を尊重して適切な行動をとる。サービスの悪さを丁重に謝罪し、再発防止を約束することが対応のすべてとなることもある。製品の修理、交換、返金などの対応や、治療費や損害賠償などの支払が必要となることもある。

(4)中間報告が必要な場合
 原因究明や具体的対応を進めるのに時間がかかるときには、お客様に適宜中間報告をいれ、クレームを放置していないことを明確に意思表示しておく。意思表示がなければ、どんなに熱心にクレームに対応していても、お客様は「クレームを放置している」「無視している」と感じてしまう。また、たとえ原因不明であっても製品に明らかな欠陥が生じているときには、修理・返品などが必要となることもある。

(5)お客様の気持に配慮
 クレーム対応で留意すべき主なポイントは、お客様の「気持」に配慮すること、誰に対しても「公平」であること、たとえお客様が感情的になり理不尽な要求や罵詈雑言を浴びせられたとしても感情的にならないことである。
 クレームを表明されたお客様は、時間や心理的エネルギーを使っているし、期待を裏切られたことで傷ついた状態にある。その気持を配慮せずに、杓子定規に対応すれば、お客様の怒りの火に油を注ぐことになりかねない。
 クレームの原因がお客様の勘違いであっても、正論を振りかざしてはお客様は二度と自社製品などを購入してくれない。ことばや言い方に配慮し遠慮深く説明することで、お客様に納得していただき、円満に解決にもっていく。


 クレームは、かわしたり、もみ消したり、言い負かしたりするものではない。クレーム対応によって、お客様とのよりよい関係を今後継続的に結び、リピート顧客となっていただくことが重要なのである。


□山川 美穂子 
社団法人中小企業診断協会東京支部中央支会理事、中小企業診断士、アクト経営研究グループ代表。著書に「クレームのリスクに正しく対処する法」「配属されたらはじめに読む本 クレーム担当部署」など多数。


Copyright All rights reserved (C)1997-2011 社団法人中小企業診断協会東京支部中央支会
このページのトップへ