【質問】
アクセサリーや雑貨を販売する小売店を開業する予定です。ホームページやメールマガジンなど、手軽に効果のあがるインターネット活用方法について教えてください。
【回答】
まず、「手軽に効果のあがる」という考えはやめましょう。起業時に限らず会社経営というものは、経営者自らが汗をかきながら、必死の思いで運営していくものです。楽に効果のあがる方法はないと考えましょう。インターネットの活用は、一見は手軽ですが、効果をあげるためには、実店舗の運営と全く同様の手間や気遣いが必要となります。
しかし、インターネット活用時の創意工夫によって、費用対効果の高い策を打ち立てることは、確かに可能です。いわゆる広告宣伝だけではなく、営業・販売役まで果たすことができるインターネットを、起業時にはぜひ活用していただきたいものです。
それでは起業時にインターネットを活用する際のポイントを簡単にまとめてみます。
1.インターネット活用の前に
起業にあたり、当然ながら、自社の事業計画をしっかりと立てられたことと思います。その際には、「なぜ創業するのか」「経営を通じてどうしたいのか、どうなりたいのか」について何度も検討を重ねたことでしょう。この際にたてた企業理念・経営理念が、インターネット活用時にも根幹となります。
改めて、自店の存在意義を確認して、心構えを固めましょう。
2.インターネット活用の方法
インターネット活用には、主に以下の2つの方向があります。
1)ホームページ・掲示板・ブログ
インターネット上に開設して、大勢のお客様が訪問してくれるのを待つ方法です。買い物カゴ設置による販売、新商品の広告宣伝、当社のこだわり等の情報提供、掲示板の活用による連絡受付や情報収集など、さまざまなことができます。
ただし、お客様がホームページのURLをクリックして訪問してくれるのを待たなくてはいけません。そのためには、検索エンジン対策や(2)で紹介するメールマガジン等のプッシュ戦略による誘導が必要です。
さらに、最近はブログを活用する例が増えました。ブログとは、「ウェブサイトへのリンクを張り、そこに個人の評論を書き加えた情報が時系列に表示されるウェブサイトで、ある程度頻繁に更新されるもの(総務省の定義)」といわれるもので、ここ2年ほどで急激に進歩しています。簡単な操作で、写真やコメントをアップできるのが特徴です。携帯電話からでも気軽に更新できますので、店舗に立つ時間の長い小売店には特にお勧めします。また、お客様が気軽にコメントを書き込めますので、お客様との一対一のコミュニケーションの場ともなります。
2)Eメール・メールマガジン
メールの形でお客様との連絡をとる方法です。ホームページとの大きな違いは、お客様のもとへ直接、情報を届けるという「プッシュ型」であるということです。自店のことを思い出していただく、有益な情報を提供してホームページに誘導するなど、さまざまな効果が期待できます。
メールマガジンは、基本的に「一対多」です。お店からお客様宛に一括送信するのです。「3回以上お買い上げのお客様」などお客様の属性を限定して送信する場合もありますが、それでも個別対応ではありません。
しかし、クレームのついたお客様への対応、限定商品をぜひ特定のお客様に紹介したいなどの時には、個別にメールを送ることになります。個人メールは、お客様とお店の密着度を高めるために効果的ですので、ここぞという時にはぜひ活用しましょう。
つまり、インターネットの活用においては、「プル型」「プッシュ型」、ならびに、「大勢のお客様対お店」「一人のお客様対お店」という2種類の切り口があります。2×2の4つの象限それぞれの特徴をよく考えて、もっとも有効なお客様へのアプローチについて考えましょう。
3.起業時に注意するポイント
資金的・人的余裕がなくても、いったんインターネット上へ飛び出したら、大企業も中小企業も、また起業したばかりの企業も全く同じ土俵に乗ることになります。いかにも素人が作ったというサイトや、リンク切れが多い・画像が×になっているなどの整備されていないサイトでは、お客様からの信用を失うばかりです。また、メール発信と同時にウィルスを撒き散らすようなことがあっては、二度と自店からのメールを受信していただけなくなります。
最初は、無理をしてたくさんの商品をアップしたホームページを作ったり、長い文章を載せたメールマガジンを用意しなくても構いません。以下に、ぜひ押さえていただきたい2つのポイントをご説明します。
1)手軽に更新・発行できるシステムを利用する
起業時は、人的・資本的余裕がないので、手間隙かけるといっても限界があります。そのため、インターネット活用においては、専用のソフトやシステムを利用して、できるだけ省力化を図ることが必要です。大きな金額の投資はできませんが、数千円~1万円程度で、十分に効果のあるソフトウェアを購入することができますので、経営者の人件費との兼ね合いをよく考えて、ソフトの購入は積極的に進めましょう。
また購入しなくとも、フリーウェアとして十分に活用できるソフトが、インターネット上で簡単にダウンロード可能です。これらのフリーソフトも、存分に活用してください。
以下に、アクセサリー・雑貨ショップを運営するにあたって必要となるソフトの一例を列挙します。
a.ホームページ・ブログ作成ソフト
b.メール同報ソフト
c.画像処理ソフト
d.機種依存文字チェックソフト
e.ウィルス対策ソフト など
また、これらのソフトを使っても、誤字脱字やリンク間違いなどのミスは避けられません。人間がやる以上、これはいたしかたないことです。しかし、起業したばかりで従業員がいないケースでは、チェック役を務めてくれる人が社内にいません。
これだけは、一人ではいかんともしがたいので、なんとか家族や友人に頼んで、チェック役を引き受けてもらってください。経営者一人だけで抱え込まないことも必要です。
2)効果測定による軌道修正を図る
費用対効果の高いインターネット活用をするためにも、効果測定ならびにその分析に基づいた軌道修正は欠かすことができません
効果測定の代表例としては、アクセス解析によるホームページ訪問者の分析や、メルマガへの反応チェックがあります。
アクセス解析では、アクセスの数そのものよりも、どのようなキーワードでホームページにたどり着いてくれた人が多かったかに着目しましょう。「手作り パール」というキーワードが多かったとしたら、手作り風のパールアクセサリーを求める人が多いことになります。その時には、手作りというキーワードを、ホームページのいろいろなところに書き足したり、強調する工夫をしましょう。また、パールのアクセサリーの取り扱いを増やすなど、自店のお客様にあわせた品揃えが必要です。
メルマガの反応を見るには、読者からの激励メールや問い合わせメールの数などが参考になります。またメルマガで紹介した商品の売れ行きも、有効な指標でしょう。反応が良い時と悪い時の違いを明確に把握し、好反応の確率をあげていきましょう。
この紙面では詳しい説明はできませんが、とにかく、「一生懸命やれば、費用対効果の高い」のがインターネット活用です。中小企業でも独立したばかりでも、大企業に伍して勝負ができるという、有意義なツールであることは間違いありません。ぜひ、情熱をもってインターネット活用に励んでください!私も心から応援しています。
■長戸 美樹
中小企業診断士、ITコーディネータ
コンサルティングオフィスプロッシモ代表
中小企業診断協会東京支部中央支会常任理事、NPOちゅうおう経営支援(特定非営利活動法人東京都中央区中小企業経営支援センター)理事
イー・マネージ・コンサルティング協同組合、NPO埼玉ITCに所属
学校法人田中千代学園東京田中短期大学非常勤講師(「起業論」「起業時のインターネット活用」担当)