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業種別業界別トピックス 土壌汚染対策法の概要と土壌汚染状況調査の方法(2005年11月)
齋藤 裕

<土壌汚染対策法の概要と土壌汚染状況調査の方法>

近年、工場跡地の再開発などにより土壌汚染が判明する事例が全国各地で増えています。人の健康に害を及ぼす恐れがあり、また土地の流動化を妨げる要因にもなるなど大きな社会問題となっています。このような問題は一部で報道されているような大企業に限ったものではなく、中小企業者にとっても経営上のリスクとして認識しておかなくてはなりません。環境省は土壌汚染対策法を施行し各都道府県の条例と合わせて対策を進めておりますが、その内容を改めて確認し、具体的な調査の流れもあわせてご紹介いたします。

【所有者における一般的な土壌汚染リスク】
Risk 1 汚染土壌浄化費用が発生する浄化費用リスク
Risk 2 所有する不動産が汚染されている為に売却できなくなるリスク
Risk 3 過剰な報道により会社の社会的評価に影響を及ぼすリスク
Risk 4 周辺住民への健康被害リスクとそれに伴う訴訟リスク

【法律の目的】
人の健康被害に対する懸念や対策の確立についての社会的要請が高まってきたことを受け、土壌汚染状況の把握、人の健康被害の防止に関する措置などを定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、国民の健康を保護することを目的としたものです。

【法律の仕組み】
1.土壌汚染状況調査
土地の所有者、管理者または占有者は、以下の場合に指定調査機関に土壌汚染状況調査を実施させ結果を都道府県知事に報告することが義務付けられています。
・有害物質使用特定施設の使用の廃止時
・都道府県知事により調査を命じられた場合
2.指定区域の指定及び公示
調査基準が指定基準に適合しない場合、都道府県知事がその土地を特定有害物質で汚染された区域として指定、公示します。更に指定区域台帳に記載、台帳を保管し誰でも閲覧することができます。
3.健康被害の防止措置
(1)汚染辞去等の措置
指定区域において健康被害が生ずる恐れがある場合には、都道府県知事は汚染原因者に対して、汚染除去等の措置の実施命令をすることができます。また、土壌汚染の除去(浄化)が行われた場合には、指定区域の指定が除去されます。
(2)土地の形質変更の制限
指定区域内の土地の形質変更は、その14日前までに都道府県知事への届出が義務付けられています。また都道府県知事はその計画が適切でないと認める時は計画変更を命令することができます。
(3)汚染土壌の処分・処分の確認
措置を命じられた土地所有者や汚染原因者、土地の形質を変更しようとする者が指定区域から汚染土壌を搬出する場合は「汚染土壌管理票」を交付して確認しなければなりません。

【クリーニング店・工場の廃止時における土壌汚染状況調査の方法について】
工場などの生産施設と並んで多い事例がクリーニング店です。そもそも土壌汚染対策法や各都道府県の条例には特定施設の規模要件がなく、そのためクリーニング店の場合はその対象の多くは中小企業者となります。そこで土壌汚染対策法および東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(略称:環境確保条例)による具体的な調査の流れをご紹介します。
1. 実施規定
環境確保条例では、クリーニング店や工場を廃止したり、ドライ機などの撤去・更新を行う場合に、土壌汚染状況の調査や汚染土壌の対策を実施することが規定されています。土壌汚染状況調査は土壌汚染の有無を確認するため、対象地の敷地内において行います。「東京都土壌汚染対策指針」で示す方法により行います。なお環境大臣が指定した指定調査機関の実施させることになっています。
2.調査対象物質
有機溶剤(分解生成物含む) 土壌溶出量基準
テトラクロロエチレン 0.01mg/L 以下
1,1-ジクロロエチレン 0.02mg/L 以下
シス-1,2-ジクロロエチレン 0.04mg/L 以下
トリクロロエチレン 0.03mg/L 以下
1,1,1-トリクロロエタン 1.00mg/L 以下
1,1-ジクロロエチレン 0.02mg/L 以下
3. 調査方法
(1)単位区画の設定
敷地の北端を起点として10mメッシュ(画)に線を引き区画を設定します。
(2)調査地点の決定
ドライ機、スラッジ保管場所などが存在する単位区画の中でこれらの施設に近い地点を調査地点とします。
(3)試料の採取と測定
調査地点で土壌ガスを測定し、ガスが検出された場合には深度方向の汚染の範囲を確認する詳細調査を行います。(土壌ガスが検出されなかった場合は汚染無しとして調査は終了します)
(4)詳細調査
当該地点の周辺で検知管などを用いた絞込調査を行い、濃度分布図を作成します。濃度が高い汚染中心部においてはボーリング調査を行いますが、調査深度は表層、50cm、1m、以下10mまで1m間隔で試料を採取し分析します。深さ1m以深において基準を超えない値が2深度続いた場合には以深の分析は不要です。汚染が帯水層(地下水脈)に達している場合には地下水を採取し分析します。
(5)調査結果の報告
結果が得られ次第、速やかに区市環境担当課に調査の結果を示した「土壌汚染状況報告書」を提出します。

■齋藤 裕
中小企業診断士(社団法人中小企業診断協会東京支部中央支会理事)
宅地建物取引主任者


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