増野 雅之
経営者向けQ&A「共同店舗内 総合衣料店の売場づくり」
【質問】
地方都市の共同店舗で総合衣料の売場を展開しています。手探りで売場づくりを行っていますが、売場全体が雑然とした状態になっています。現在は中位のグレードの商品を扱っていますが、近隣に低価格訴求型のロードサイドショップがオープンしたため、品揃えについても検討中です。これらについての留意事項を教えてください。
【回答】
各地の共同店舗内の総合衣料店で散見される売場の状況をベースに、ゾーニング・陳列・品揃えについての留意事項を回答させていただきます。
(1)ゾーニングにおける留意事項
ここでは総合衣料店の婦人服のゾーニングについてお話させていただきます。共同店舗内の総合衣料店は、核店舗として、食料品売場と同様、広い売場面積で展開されています。また壁面を背負わない店舗中央に配置されているケースもあり、売場づくりに苦労されている様子を見かけます。売場の中でも顧客層の厚いミセスの婦人服は、売場面積を広くとる場合が多いため、ゾーニングをアイテム単位でくくってしまうと全体的に単調な提案になってしまいがちです。またそれなりのグレードの商品を提案しても、お客様にはそのグレード感が伝わらない場合があります。この場合は所々に固定什器を配置して、商品のテイストやテーマ毎のコーナーをしっかりと設けることが必要になります。キャスター付きのラックだけで売場を構成すると、見た目が締まらないだけでなく、什器を多く設置しすぎてしまい、客動線を塞いでしまうこともあります。また基本的に衣料品などは商品の特性上、お客様に売場を自由に回遊しでもらい、足を止めてもらうポイントをつくることが大切です。バーゲン会場ではありませんので売場を単純に什器で区分けしていくのではなく、ストーリーを持ったゾーニングを常に考えるようにしてみてください。その上でゾーニングした個々のエリアが、どの位の効率を上げているのかといったことを検証することが必要です。これを実施しないと売場を手直しする際の判断材料にも乏しくなります。これらについては紳士服、子供服、肌着のゾーニングについても同様のことが考えられます。
(2)陳列における留意事項
先ずは個々のゾーン、什器において適量の商品を陳列しているかどうかということから確認してみる必要があります。在庫スペースの縮小や陳列時間の短縮といった理由で、お客様が商品を取り出せないほどハンギングしては、陳列している意味がありません。ラック什器いっぱいにハンギングしている場合には、その3割程度は商品を減らしてください。もちろん棚什器も商品の山済みは困りますが、そもそも商品の素材や特性を考慮せず、棚什器を使用していない売場も共同店舗の中には散見されます。カラー配列を考慮した陳列テクニックの活用は次のステップといえるでしょう。しかし陳列にメリハリをつけるための簡単な工夫は取り組まれると良いでしょう。例えば、同素材で多色展開しているデザイン違いの商品を同一のラックにハンギングする場合には、2つの商品の境にセパレート効果のある無彩色を持ってくるなどの工夫です。
(3)品揃えについての留意事項
今後、売上を伸ばしていくのであれば、客数か客単価のいずれか又は両方の要素を引き上げることが必要となります。近隣の低価格訴求型のロードサイドショップに対抗し、自店の品揃えの価格帯を全般的に引き下げた場合、当然、客単価も引き下がる可能性が高くなります。そうなると客単価が引き下がった分、今以上の客数の増加が見込めなくてはなりません。これを検証するための情報が必要となります。近隣のロードサイドショップの客単価を把握することもそのひとつです。アイテム毎の商品単価やお客様がレジで精算している商品点数などをリサーチして、おおよその客単価を把握してみてください。自店によほどの優位性がない限り、同じ低価格訴求において、このロードサイドショップの客単価を大幅に上回ることは難しいといえるでしょう。目標とする売上高を達成するために必要な客数をこのロードサイドショップの客単価を使って試算してみてください。その客数が、共同店舗全体の環境や自店の集客力から見て可能かどうか、見極めていかなくてはなりません。もちろん大幅に商品を入れ替えるのであれば、その他にも様々な角度から情報収集、分析が必要になります。
■ 増野 雅之(ますのまさゆき)
中小企業診断士/ITコーディネータ
マスノコンサルティング代表
中小企業基盤整備機構登録アドバイザー