池田 章
<CS(顧客満足)経営の薦め>
■CS(顧客満足)経営で長期的な利益を
いまや、企業にとって最も大切な経営資源は顧客といえます。企業が提供するどんな製品もそれを評価して、売上に結び付けてくれるのは顧客だけだからです。
このため、企業はあの手この手で顧客の獲得に奔走し、次から次へと新製品や新サービスを打ち出します。こうした激しい顧客獲得合戦が繰り広げられる中で、顧客の期待や要望はエスカレートして行きます。
ところが、企業が、全ての顧客の期待や要望に応えることは現実的ではありません。そこで、顧客を限定して、その顧客との良好な関係を維持しながら、生涯にわたって生み出される利益を確保しようとするのがCS経営です。
■3つあるCS経営の原則
CSには、3つの原則があります。第1の原則は、CSの範囲が「企業の提供するあらゆるもの」ということです。製品やサービスはもちろん、店舗の居心地の良さや安全性、配送サービス、購入後のアフターサービス、さらには受付の電話応対など、企業が顧客に提供する「モノ」や「コト」の全てが対象になります。
第2の原則は、「CSの評価は顧客のモノサシで決まる」ということです。企業がどんなに努力し、優れた製品やサービスを提供しても、顧客が満足に感じなければ評価は高まりません。顧客のモノサシに合った製品やサービスを提供しなければ、顧客の満足は得られないのです。企業には、顧客一人ひとりへの個別で、かつ木目細かな対応が求められます。
第3の原則は、CSは全社一丸体制で取り組まなければならないということです。第1の原則で示したように、顧客は企業が提供する「全て」に対して満足や不満足を感じます。購入時点で満足していても、配送サービスでトラブルを起こしたり、その後の問い合わせに時間がかかりすぎたりしては、企業に対する評価が後退します。CS経営は、経営層や管理職から現場のスタッフまで、一丸となって取り組まなければ成功しないテーマです。
■期待を越えるサービスが顧客の満足に結びつく
「満足」は、自分が予想していたとおりか、それ以上のサービスを受けたときに感じます。したがって、顧客の期待が高ければ高いほど、その評価は厳しくなります。また、一度受けたサービスは、いつの間にかそれが当たり前と考えられるようになり、途中でサービスの質を落としたり、打ち切ったりすると顧客を失望させることになります。競合企業との比較で評価されることもあります。自社で最高のサービスをしたつもりでも、競合他社と比較して劣っていれば、期待を超えるものにはなりません。常に顧客の視点で、自社の製品やサービスを検証しなければなりません。
■顧客情報の把握がCSのレベルを上げる
顧客の期待を超えるには、先ずその期待が何かを掴まなければなりません。そこで、顧客情報の収集と分析が重要になってきます。顧客に関するデータを収集し、企業として必要な情報に加工し直して活用します。
たとえば、顧客の購買データを収集し、そのニーズが読み取れるようなグループに分類します。分類されたデータは時系列で見たり、他の顧客と比較したりして、法則性を見つけます。購買データから顧客の次の行動を予測し、適切な製品やサービスを提供します。つまり、顧客の期待を事前に把握して、顧客の購買に先駆けて製品やサービスを提案することで、期待以上の満足を感じてもらうのです。
■顧客なくして繁栄なし
顧客なくして繁栄なし。優良顧客の確保は、どんな企業にとっても重要な課題です。CS経営は、顧客を企業経営の中心に据えてあらゆる戦略を立てます。顧客の立場に立った経営だからこそ、顧客に受け入れられるのです。いま、CS経営が注目される理由がここにあります。
■池田 章(いけだ あきら)
流通コンサルタント
(有)ビジネスナビゲータ代表取締役
著書:「流通コンサルタントの仕事」他