齋藤 裕
<自然災害に対するリスク対策>
1.天候デリバティブ保険で売上高を補填
火災保険、地震保険とならんで、現在注目されているのが天候デリバティブ保険です。気象庁がデータを公表している全ての気象要素が対象で、気温と雨に関するものが全体の7割を占めています。具体的には冷夏、猛暑、降雨、少雨、暖冬、厳冬、多雪、少雪など、異常気象発生時に約定に従い受取額が支給されるもので、被災による売上の減少などを補填することができます。契約者は中小企業が多く保険料が50~100万円のものが中心で、最近の異常気象の影響もあって契約高は急増しています。

2.免震構造・免震装置で地震に強い建物を
(1)建物を守る免震構造
積層ゴムを建物の基礎に設置して揺れを吸収する免震建物は鉄筋コンクリート造のマンションなどに多く見られますが、最近では木造やプレハブ造等の小規模な建物にも適用可能な免震装置が普及しています。ベアリング支承とオイルダンパを組合せて建物基礎部に設置して揺れを吸収する仕組みで、建坪20坪で2階建、延床面積40坪の建物仕様の場合200万円(装置のみ)くらいから販売されており、小規模事業所や戸建住宅などに今後ますます普及すると思われます。
(2)精密機械を守る機器免震
床免震とも呼ばれますが、建物全体は従来構造のままで、床組みおよび床だけを主構造から絶縁して免震化し、その上に乗る機器類を転倒・破損から守る技術です。サーバーラック、非常用電源や消火設備、美術品などの社会的共有財産の設置場所などに利用されます。新潟中越地震の時も建物の倒壊は免れたものの機械・装置が破損したケースが多く報告されており、このような部分免震技術が注目されています。
3.災害時用伝言ダイヤルで安否の確認
被災地内の電話番号をメールボックスとして安否などの情報を音声により伝達するボイスメールで、家族や従業員の安否を確認する有効な手段です。平成10年よりNTTが提供しているサービスです。伝言も再生も「171」をダイヤルし音声ガイドに従い簡単な操作で誰でも利用できますので、事前に試行してみましょう。
4.国・地方自治体による復旧支援・援助
事前の対策が万全でも完全に被害を避けられるとは限りません。被災した場合、被災後に受けられる行政からの支援・援助も復旧にあたって大きな力となります。そこで新潟中越地震の際に実行された支援策を紹介します。
【中小企業庁 事業環境部企画課経営安定対策室の支援策】
・小規模企業者等設備導入資金における既往貸付金の償還期間等の特例として、2年を越えない範囲で延長を認める。
・中小企業信用保険法の特例として、通常の付保限度額と同額を別枠として設定し保険料率の引下げ等を行った。
・政府系金融機関(国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫)の災害復旧貸付につき1.7%から0.8%へ金利を引下げ、限度額を1,000万円に設定した。
災害の内容、被害の状況により支援・援助の内容も異なります。同庁とは別に各自治体も独自に実施しているので事前に確認しておくことをお勧めいたします。
以上
■ 齋藤 裕
中小企業診断士(財団法人中小企業診断協会東京支部中央支会理事)
宅地建物取引主任者