松栄 英史
< 事業承継における経営革新のメリット >
事業承継は経営革新の良い機会です。事業承継計画の中に経営革新計画の申請承認を盛り込むことで、効果的な後継者教育が実現し、円滑な世代交代が促進されます。同時に、新たな気持ちで新規事業を実現していく体制が整備できるので、経営革新の実現性も向上します。
■ 経営革新とは
経営革新とは、中小企業新事業活動促進法に基づく中小企業支援策の一つです。中小企業が新しい取り組みを行う際に、ビジネスプランを作成して都道府県に申請し、承認が得られた場合に、様々な公的支援を受けられる制度のことです。経営革新の承認を得ると、低利融資、信用保証枠の拡大、留保金課税の免除、補助金等様々な支援策への道が開けます。また、経営革新計画の作成と実行を通して、企業の方向性を組織全体が共有し、全社一丸となって経営目標の達成に努力するモチベーションの高い組織体制が実現できます。
■事業承継における経営革新のメリット
事業承継に経営革新計画の承認申請を組み入れることで、以下のような効果が期待できます。
(1) 後継者教育に役立ちます。
後継者に経営革新計画の策定を任せることで、効果的な後継者教育が実現できます。経営革新計画を策定する過程では、自社の経営状況を全体的な視野で把握して、今後の経営戦略や進むべき方向性をじっくりと見定める作業が必要になります。また、経営革新計画を実現するためには、組織体制、資金調達、情報システム、マーケティング等、経営に関するあらゆる分野の状況を分析し、実現可能なアクションプランを策定していかなければなりません。これらの作業を、後継者が現経営者のアドバイスを受けながら実施していくことで、後継者は経営全般の知識を身に付け、経営者としての資質を磨いていくことができるのです。
(2) 経営革新計画の実現性が向上します。
後継者自身が経営革新計画を策定することで、経営者としての責任感が醸成されます。また、組織の世代交代を良いきっかけにして、新たな気持ちで新規事業を実現していく体制が整備できるので、経営革新計画を実施しやすくなります。新規事業の実行はできるだけ後継者に任せ、現経営者は既存事業に注力しつつ、後継者のサポートに回るなど、役割分担を明確にするのも一つの方法でしょう。
(3) 事業承継が進みやすくなります。
後継者を推進者とした経営革新計画を立てることで、事業承継が円滑に進みやすい環境を作ることができます。後継者がリーダーシップを発揮して経営革新計画を実行していくことで、組織内外にその地位を認めてもらいやすくなります。経営革新計画を実行していく過程の中で、後継者を中心に組織の結束が強化されていくのです。
このように、経営革新を事業承継に活用することで、経営革新の実現性がアップすると同時に、世代交代も円滑に進めやすくなります。
事業承継を目前としている企業様は、経営革新計画の策定と実行を通して円滑な世代交代も実現してみてはいかがでしょう。
□松栄 英史
CMS導入支援など、Webコンサルティングおよび、経営革新申請支援など、中小企業施策の活用支援を専門とする中小企業診断士。