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グローバル・ウインド [第4回] アラブとイスラエル異聞(2007年10月)

Global Wind (グローバル・ウインド)
[第4回] アラブとイスラエル異聞(2007年10月)

 少し仰々しいタイトルで恐縮である。イスラエル製ソフトウェアの販売を20年近く行っており、幾度となくイスラエルを訪問してきた。アラブとイスラエルの問題は、なかなか出口が見えないが、ここでは、時事解説に出てこない、少し違った観点をご紹介したい。

レバノンとの戦争に遭遇
 昨年7月に、私はイスラエルを訪問した。最近少しキナ臭くなったので訪問回数が減ったとはいえ、時おり行かないことには仕事にならない。「北の方は安全です。40年以上テロがありませんから。」と向こうの人間が言うので、北のレバノン国境に程近いツファットの街のホテルに落ち着いた。

 ところが、である。そこで3日間の会議を行っている間に、何とイスラエルとレバノンの間で戦争が始まってしまった。日程を終えて、南のテルアビブに移動したところ、その翌日ツファットにレバノンからヒズボラのミサイルが飛んできたのである。1日遅ければ危ないところであった。

イスラエル人の言い分(強がり?)
 イスラエルは、ハイテク産業の盛んな国である。優秀な技術者を求め、IBMやマイクロソフトなどが開発拠点を構え、振興企業も多い。ただ、アラブ諸国との対立やテロ事件が、この国のアキレス腱であることは間違いない。そのことを向こうの人間に問うと、こんな返事が返ってくる。

 「日本には、地震や台風があって、人も死ぬだろう。イスラエルには、地震も台風もないが、代わりにテロがあるだけだ。だいたいテロより交通事故で死ぬ人の方がずっと多いんだ」

 彼らも今の情勢が好ましいとはもちろん思っていないが、冗談めかした精一杯の強がりなのだろう。

アラブ人とユダヤ人は共通の先祖から
 今は深刻な対立関係にあるアラブとイスラエル(ユダヤ人)であるが、実は、彼らは共通の先祖から出ているのである。アラブ人とユダヤ人の共通の先祖アブラハムは、4000年ほど前の人物で、今のイラク南部の出身とされている。(英語読みは、エイブラハムで、アメリカ第16代大統領リンカーンのファーストネームにもなった。)

 このアブラハムの家庭において、あるドラマがあった。(旧約聖書などの記述による)
"アブラハムの妻サラは、年をとっても子供ができなかったので、家系を残すため、召使の女性ハガルを妻として夫に与え、子供を産ませた。無事に男の子が生まれ、イシマエルと名付けられた。
ところが、その後、アブラハムに神の言葉があり、「サラは、男の子を生むので、その子を跡取りとしなさい」と告げた。果たしてサラは、男の子を生み、その子はイサクと名付けられた。

 このように、アブラハムにイシマエルとイサクという二人の男の子が生まれた。先に生まれたのはイシマエルであったが、アブラハムは、神の言葉に従い、イサクが跡取りとなった。イシマエルは、神の加護を受けながらも、母ハガルに連れられて他の地に去って行った。"
 そして、このイシマエルの子孫がアラブ人、イサクの子孫がユダヤ人となったのである。この4000年前の出来事が、(恐らくは少し複雑な思いを伴って)今もアラブ、ユダヤ双方の人びとの意識に残っているのである。

ある市民運動
 先述したツファットには、アラブの人々も住んでおり、イスラムのモスクも見られた。その街で、観光客向けに版画を売っている一軒の画廊を訪れた。そこの主人であるユダヤ人の若者は、我々一行を座らせ、しばしスピーチを行った。
 いくつかの版画の説明ののち、彼がアラブとイスラエルの対立に心を痛めており、その融和のために力を尽くしたい、ということを熱心に話した。毎日世界中から訪れる人々に、同じように訴えているのであろう。その若者の名前は、何と「アブラハム」であった。

s-ツファットの街.jpg s-画廊のアブラハム氏.jpg
      <ツファットの街>           <画廊のアブラハム氏>

 この若者のように、アラブ、イスラエル双方で、対立を克服しようとする市民運動があると聞く。彼らの健闘を心から祈りたいと思う。


近藤雅之 (中央支会 ワールドビジネス研究会)


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