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専門家コラム 「組織変革」成功の視点とヒント(2007年12月)
銘苅 康弘

< 「組織変革」成功の視点とヒント >

 経営革新や組織変革が叫ばれる中、成功した例が少ない。ということを耳にします。なぜ、失敗するのでしょうか? 私自身の経験をもとに考えてみたいと思います。

外部コンサルタントを活用したA社の例
 A社は、地方の物産を扱う中堅卸売業です。数年前から市場が成熟し売上が伸び悩んでいました。そのため営業や事務部門の生産性を向上させるために業務プロセスの見直しを中心とした改革を行おうということになりました。さっそく、業務改革で実績のある外部のコンサルタントC社に計画立案を依頼しました。コンサルタントから提出された提案は素晴らしい内容で経営陣の評価も高いものでした。
そして各現場の管理職をリーダに設定し実行が指示されました。並行して販売管理システムの導入も行い。改革はうまくいくと思っていました。
 しかし、せっかく大金をかけて導入したシステムも十分に活用されずに従来どおりの仕事のやり方のままの状態がいたるところに残っています。現場からも以前より不便になったとの声が聞こえてきて、残業も減っている様子はありませんし、改革前と雰囲気も変わった様子はありません。

開発部門の草の根活動から始まったB社の例
 W氏が、B社の開発部門に中途入社で入ってきました。W氏は、トヨタ生産方式を導入し成果を上げている某メーカー出身です。入社早々、現場の活気の無さや生産性の低さに失望し、有志をつのり身近な改善活動から始めていきました。
 社長も彼らの活動を評価し、口出しはせず自由に活動をさせていました。また、折に触れ「現状のままでは業界での地位も危ぶまれる」ことなど、社員に危機感を意識させるような言動を意識して行いました。
 しかし、ミドル層や他部門は、W氏の活動を冷ややかな目で見ています。そのうち、W氏も繁忙を極める部門へと異動になり、同様な問題意識をもった有志に広がりを見せていた活動もしだいにマンネリ化し、立ち消えになっていきました。

前述の活動はそれぞれ何が問題なのでしょうか?
 組織変革のメカニズムを理解するために、変革をドライブする要素として“人間軸”と“技術軸”という考え方を取り入ると理解しやすくなります。

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 組織及び個人は、環境が変わることに対して抵抗するという習性があります。また、いったん環境が変わることを受け入れても、環境対応のための道標(具体的なルールやプロセス)が提示されないと日々の仕事として定着するに至りません。
 変わらないといけないという問題意識を醸成させるもの、それが人間軸です。表現を変えると変革を受け入れる余地(下地)づくりです。一方、変わるための方法論や変革後の仕事の業務プロセス等が技術軸となります。
 前者の事例の場合は、人間軸の対応が不十分で、変化に対する心構えや必要性を組織が十分認識しないまま、ルールの変更や情報システムの導入といった技術軸の対応に偏ったため、社員に受け入れられず頓挫した例です。(図中(1))
 一方、後者の事例は、トップが掛け声だけで、具体的なルールの見直しやそのために必要な投資等を行わず、仕事として定着しないパターンです。現場主導で盛り上がった活動の場合でも、会社がその活動から生まれた提案を具体的なルールやプロセスとして公式化していかないと、スタッフやミドル層の参画が促進されず、最終的には現場のモチベーションも失ってしまうのです。(図中(2))
組織に揺らぎを起こし変革を促していくためには、人間軸と技術軸のバランスをとりながら進めていくことが必要です。

人間軸と技術軸を意識した改革のプロセス
 そのために、まず最初に人間軸の面で揺さぶりをかけます。トップが直接社員に対し会社の現状を説明し、変わる必要性を示すことも、効果的なやり方の一つです。その後、技術軸、すなわち、プロセス改善の検討を始めたりします。コンサルタントに知恵を借りるのも良いでしょう。
 しかし、緊張感を持続し改善し続けることは難しいこと。社員全員が同じような意識に持っていくためには、人間軸の働きかけを継続しなければなりません。

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               組織変革のパス

 以上のようなことを意識し改革を進めていけば図中(3)のようなパスをたどっていくことになります。
現場の社員を改革の計画作りに参画させることが好ましいと言われますが、その理由としては、技術軸の検討を行うという直接的な効果だけでなく、実はその作業を通じて参加者に人間軸の影響も与えていることになるからです。

参考文献)企業組織と文化の変革、高木 晴夫、慶應ビジネススクール

■銘苅 康弘(めかる やすひろ)
ネクストシステムコンサルティング 代表
(社)中小企業診断協会東京支部中央支会理事
組織変革、情報戦略立案等のマネジメント支援


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