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専門家コラム 「経営後継者~悩みと課題~」(2008年2月)
加藤 治孝

< 経営後継者 ~悩みと課題~ >

1.後継者の出番時期が来ています
 総務省の調査によると2002年に、年齢が70歳以上、60歳代の経営者は17.5%、25.8%であり60歳以上の合計が43.3%と経営者の約半数を占めています。
 一方、経済産業省の「経営者の年齢と企業の従業者数成長率」のデータでは、経営者が30歳代以下では+14.5%の成長、以下、40歳代+5.2%、60歳代-1.0%、70歳代以上-4.5%と経営者の年齢が上がるにつれて企業の成長率は低下しています。これは製品ライフサイクルに導入期・成長期・衰退期がある如く、経営者にも経営のライフサイクルがあり、明らかに年齢が上がると守りの経営に徹した現状維持志向に陥り、新たな事業展開、事業の拡大戦略志向が低下してくるものと考えられます。
 企業に伺い話してみると、3社に1社の割合で社長交代を考えている経営者がいるのが実態で、後継者の出番が近いことを伺わせられます。

2.後継者の悩みと課題  
 後継者は、後継者としての意識を持ち、仕事に意欲的に取り組んでいますが色々の悩みや課題を抱えています。

(1)従業員との信頼関係が弱い
 30~40歳代の若さで親から経営を託される後継者は従業員との信頼関係の構築に苦労しています。後継者は一般的に豊かな時代に育ち知識は豊富で時代の変化を理解し、個人商店から企業に脱皮しなければならないと感じ企業体質の変革を求めます。
 一方、従業員の方は意識が変わっていないところに変化を求められると拒絶反応を示し信頼関係を構築できずにいます。特に抵抗があるのはベテラン従業員です。
 後継者として功をあせらず、最初は時間が掛かりますが、一歩一歩小さな実績を積み重ね、変革の芽を大きくしていくことにより従業員との信頼関係も増幅されてきます。

(2)リーダーシップを発揮したいが、できない
 これは従業員との信頼関係の裏返しとなりますが、従業員は社長と後継者の2人に仕えたりしますが、後継者にはベテラン及び年齢が高い人ほど抵抗感があります。
 従業員の抵抗の内容が危機感のない過去の成功体験だけに乗っかったものや理不尽なものであるなら、組織の見直しなどにより風通しを良くすることにより浄化作用が働き、後継者を支える次世代幹部が育ったりします。

 後継者が従業員との信頼関係を形成し、リーダーシップを発揮しようとしたら企業としての仕組みをしっかり作っておくことが大事です。

 次に述べることは、あたりまえのようなことですが、あたりまえにできれば一流です

(1)経営理念、ビジョン
 ・どういう企業にしたいのか明確な意思を持ち、文書化しておく必要があります。
 ・100話したつもりでも理解されるのは、その半分さらに実行されるとなるとその2割、
  言ったことをやってもらえるのは1割です。粘り強く説明する必要があります。
(2)組織として取組む仕組み作り
 ・組織的な活動ができるように、組織、業務の流れ、役割と責任を明確にしておく必要があります。
  個人商店から企業への脱皮が図れます。
(3)中長期計画
 ・目標を立て、方向性を定め、従業員には説明し、理解・納得・実行してもらわなければなりません。
(4)社内コミュニケーション
 ・指示・命令の上位下達のコミュニケーションから改善に向けてのコミュニケーションが重要となります。
  コミュニケーションの場作りも心掛ける一つです。
(5)人材育成
 ・時間は掛かるが、どういう人材を望んでいるのか明確にし、自社にマッチした人材を育てていかなけ
  ればなりません。
(6)IT活用、ISOの取組
 ・ITはかなり普及しているが、更に進化させ業務の効率化を図っていくようにします。
 ・ISOに取り組んでいる企業は、仕組みづくりは一応できているが、従業員を巻き込んだ取組が必要
  です。


■加藤 治孝
社団法人中小企業診断協会東京支部中央支会理事
経営創研(株)所属
経営改革、工場改善、技術・技能の伝承、ISO認証取得支援等のコンサルティング
経営者・管理者・監督者階層別研修、プロジェクト・マネジメント、マネジメント・スキル
の向上、ヒューマン・スキルの向上等の研修講師


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