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専門家コラム 「香港の金融機関を活用した資産運用」(2008年6月)
田島悟

< 香港の金融機関を活用した資産運用 > 

 香港の金融機関(銀行や証券会社)は、日本の金融機関と比べて、手数料や税金等の点で大きなメリットがある。本稿では、香港の金融機関(香港上海銀行とBOOM証券)について、筆者の体験も交えて、具体的な口座開設方法や活用法を述べる。

1.香港の金融機関を選ぶ理由
 最近は経営環境が厳しくなり本業で売上や利益を伸ばすことが難しくなっている。そのような時代には、資金運用によって少しでも利益を上げたいと考えることは自然な心理である。しかし、日本の金融機関は、預金金利も低く、株や投資信託の購入手数料も高い。そこで、海外での資産運用が注目を集めている。海外の中でも香港の金融機関は以下のような理由によって、多くの日本人の人気が高い。

 (1)香港は日本からの距離が近く、航空運賃も比較的安い。
 (2)タックス・ヘイブンである香港は、金利やキャピタル・ゲインに対する課税がない。
  (ただし、多くの収益が出た場合は、日本の法律に基づいて日本で確定申告をする必要がある。)
 (3)株、投資信託、ETF(株価指数連動型上場投資信託)などの手数料が安い。
 (4)外貨の売買の際の手数料が日本の金融期間よりもはるかに安い。

2.HSBC(香港上海銀行)のメリット
 HSBC(香港上海銀行)は、総資産が世界最大の銀行で、アメリカのシティー・グループやバンク・オブ・アメリカと肩を並べるような銀行である。また、ほぼ全世界を活動地域としてカバーしており、信頼性、安全性、利便性が極めて高い。

3.HSBC(香港上海銀行)で銀行口座を作る。
 昨年の秋に香港へ行き、実際にHSBCの香港の本店で銀行口座を作った。地下鉄セントラル駅近くにある地上49階建てのビルは、夜に正面から見ると蟹の足のような形が見えることから蟹ビルと呼ばれている。ここで、口座を新規開設したい旨を伝えるとスタッフが親切に対応してくれる。英語によるコミュニケーションが難しい人のためには口座開設をサポートする業者が多数あり、自分が口座を作っているときにも、すぐ隣で日本人が口座開設支援業者と一緒に口座を作っていた。

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                HSBC香港本店(通称:蟹ビル)

 日本よりはるかに便利だと感じたことは、キャッシュカードがその場で即座にでき、当日から使えることであった。日本の銀行は旧大蔵省の時代から保護され続けていたため、いつの間にか国際競争力の点で外国の銀行に負けてしまっていることを痛感した。
 口座を開設して約1週間後に、国際郵便でキーホルダーサイズのセキュリティデバイスが送られてきた。これを使って乱数でセキュリティーコードを発生させる。インターネットでアクセスする場合は、ユーザーネーム、パスワードとともにセキュリティーコードを入力すると、取引が可能となる。セキュリティーという点でも世界最高レベルの銀行は非常に優れていると感じた。

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            セキュリティデバイス

4.BOOM証券のメリット
 BOOM証券は香港にある代表的なオンライン証券会社であり、多くの日本人が口座を開設している。また、日本の資産運用関係の雑誌でもかなり取り上げられ、香港の証券会社の中では、日本人にはかなり知名度が高い証券会社である。

 BOOM証券のメリットとしては、以下のような項目があげられる。
 (1)株式、投資信託、ETFの購入手数料が日本の金融機関より安い。
 (2)香港株、中国株(上海B、深センB)以外に、米国株、台湾株、韓国株、タイ株、シンガポール株、
  マレーシア株、インドネシア株、フィリピン株、オーストラリア株、日本株 がネット上で売買できる。
 (3)香港株のIPO株(株式新規公開銘柄)の申し込みを代行してくれる。
 (4)口座を作った人は、インターネットによるオンライン操作の日本語の操作マニュアルを無料でもらえる。
 (5)HSBCと同様に、配当やキャピタル・ゲインは無税である。
 (6)日本人の顧客が比較的多いので、スタッフも日本人顧客に対して丁寧な対応をしてくれる。

5.BOOM証券で実際に口座を開設した体験記。
 HSBCで口座を開設した後、砲台山駅のAIA TOWERにあるBOOM証券本店へ行った。HSBCの書類を持参して、BOOM証券の口座開設申込書に必要事項を記入して提出した。ここも隣のブースではHSBCと同様に日本人が口座開設業者と一緒に口座を開設していた。書類提出後20分程度待つと口座ができ、担当者が説明をしてくれた。
 また、日本語のオンライン操作マニュアルをその場でもらった。

6.備考(深セン中国銀行での口座開設体験記。)
 香港でHSBCとBOOM証券の口座を作った後、深センへ観光を兼ねて行き、中国銀行で普通預金口座と定期預金口座を作り、2つの口座に人民元で初期の入金を行った。中国銀行でも、普通預金口座の場合は、数分間待つとその場ですぐにキャッシュカードを受け取ることができた。定期預金口座は通帳だけでキャッシュカードはない。総合受付のスタッフは英語が堪能で書類も英語で書けばよいが、口座作成のブースでは、中国語でのコミュニケーションも必要となる。
 今後人民元の為替レートが上がり続けることはほぼ必然なので、一度中国に口座を作り入金しておくと、次の中国旅行の際に、為替差益と金利の両方が得られる。
 ある程度の頻度で中国へ行く人はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

7.日本に帰ってからの対応
 日本からある程度まとまった資金を香港の銀行等に送金するには、「ゆうちょ銀行」(つまり旧郵便局)または「ロイズTSB銀行東京支店」を使うと、手数料が安く、手続きも簡単なのでお薦めである。自分は「ゆうちょ銀行」から送金を行った。香港上海銀行へ送金を行い、その資金の一部を、インターネットを用いてオンラインでBOOM証券へ送金した。
 その後は、香港上海銀行もBOOM証券もオンラインですべての取引が行えるので非常に便利である。また、定期的に取引明細書が国際郵便やEメールで送られてくるので、安心感がある。

8.資産運用を日本の国技に!
 著名な経営コンサルタントである大前研一氏は、彼の著書「心理経済学」の中で、主要先進国の中で日本人が最も資産運用に無頓着であることを嘆き、資産運用を日本の国技にすることを提唱している。世界最低レベルの金利である日本の銀行に預金するより、運用に関する基礎知識を習得してグローバルに投資することの重要性を大前氏は説いている。資産運用をする場合は、日本国内だけに目をむけるのではなく、広く海外に目を向け、全世界の中で最も経済成長をする国や地域に投資をすることが、右肩上がりの成長を期待できない日本人にとっての重要課題であると感じた。


■田島悟(たじまさとる)
 中小業診断士 中小企業診断協会東京支部中央支会理事
 ブレークスルー株式会社 代表取締役社長


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