金綱 潤
< お客様目線で考える顧客満足のポイント >
顧客満足は顧客の評価によって決まることが前提です。今回は「顧客目線」についてそのメカニズムや構造を押さえる際のポイントの一つをご紹介します。
1 マーケティングミックスの考え方
マーケティングでは、環境分析から導き出される基本戦略に基づいて具体的展開(戦術)を組み立てます。これはマーケティングミックスと言い、企業として市場に提供する製品・サービス(Product)、価格(Price)、流通チャネル(Place)、販売促進(Promotion)を具体的にどうするか?について検討する作業です。頭文字をとって4Pとも言います。
2 マーケティングミックスの弱点・限界
このフレームワークはマーケティングの基本中の基本の事柄ですからこの作業は大変重要なことです。しかしながらこのフレームワークには罠があります。例えば「清涼飲料水の銘柄を選ぶ際の生活者の購入行動はどのようなものでしょうか?」ある人によっては、「たまたま喉が渇いたから・・」という動機が引き金になる場合も考えられます。またある人によっては、「ビジネス相手と打合せをするために・・」「仕事で疲れたので気分転換に・・」ということが購入行動の引き金になっているかもしれません。つまり銘柄選択の大前提には、お客様それぞれに生じている事情や気分と言うものを考慮しないと「真実が見えない」ことになります。
3 お客様目線から考える問題点と課題
先に挙げた4Pは「より良い商品を適正な価格で適正な流通ルートで適切な販売促進を展開すれば売れる」ことを前提に組み立てているとも言えます。しかしながらこの考え方はあくまでも提供側の論理です。しかも前述したように生活者は、商品選択に際して必ずしも合理的な行動を取るとは言えません。もっと言うとかなりいい加減です。
例えば、皆さんは普段自宅で食べている味噌や醤油の銘柄や特徴を理解していますか?洗剤や電子レンジは如何ですか?極めて正答率は低くなるのが実態ではないでしょうか?
4Pをしっかり考察することは大切ですが、それだけで顧客満足を獲得できない理由は此処にあります。ではお客様目線とはどんなものでしょうか?人それぞれ、買い手の状況や認識具合によって異なりますが原点は「問題解決」です。
ではお客様目線ではどんなことが重要なポイントになるでしょうか?
4 4Pの前に3Aをじっくり練り上げる
コンサルティングの場面では私は以下の3つのAを使って説明しています。
1):お客様にとっての商品・サービスの使い勝手(Availability)
2):お客様にとっての商品・サービスへの接近しやすさ(Access abilty)
3):お客様にとっての商品・サービス購入に対する負担感(Afford ability)
の3つです。
1)については、どんなに良質の商品・サービスでも利用する際の使い勝手が良くなければ購入する際には購入銘柄候補リストからは圏外になってしまうということです。何故ならば、欲しいのは商品・サービスではなくそこから得られる便益だからです。
2)については、どんなに良質の商品・サービスでも利用したいと思った時に手軽に素早くアクセスできることが重要だと言うことです。例えば皆さんが引越する際の業者選択基準はどのようなものですか?おそらく、知名度や口コミや過去の体験等が大きな要素になりますが、選択肢の一つに入るためには、連絡先の電話番号やホームページにアクセスしやすいことが大前提になります。大手引越業者がTVCMで電話番号を連呼するのもこの傾向を重要視しているからです。
3)については、どんなに良質の商品・サービスでも自ずとお客様の値ごろ感や限界意識を配慮しなくてはならないということです。例えば同じ一万円でも一杯1万円のラーメン(フカヒレ入りの高級ラーメン)と一泊1万円の宿泊パック(高級ラグジュアリーホテルのシングルユース+朝食・夕食+スパ付)では値ごろ感は全く違います。前者の購入に躊躇する方は多いと思いますが後者はこれが本当ならば多くの方が購入を検討すると思います。何故ならば、支払う負担感(支出金額)の割には獲得できる満足感(利用価値)が大きいと容易に推定できるからです。
以上
■金綱 潤(かねつな じゅん)
中小企業診断士、ターンアラウンドマネージャy-、
社団法人中小企業診断協会東京支部中央支会理事。
企業再生、飲食サービス業態革新の支援等でコンサルティングを展開中