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専門家コラム 「営業とは ~どうすれは売れるのか~」(2008年12月)
木村 信彦

< 営業とは ~どうすれは売れるのか~ >

 景気が低迷し、消費マインドは落ち込み、市場では全ての物やサービスが売れない深刻な状況が続いている。しかし、このような厳しい環境の中、どの業種でも必ず売れている営業マンというものが存在している。彼(彼女)達はどのように売っているのだろうか?

 コンピテンシー(competency)とは、ある職務や状況において、期待される業績を安定的・継続的に達成している人材に、一貫して見られる行動・態度・思考・判断・選択などにおける傾向や特性のことであるが、このように営業部門において期待される業績を安定的・継続的に達成している人材が持っているコンピテンシー(competency)とはどのようなものであろうか?

1.自社製品を売ることだけが営業の仕事だとは考えていない。
 売れない営業マンの多くは、自社商品を売ることが自分に与えられた仕事の全てと考え活動している。その結果として、初対面のお客様に対して最初から他社商品と自社商品の性能比較や価格比較を必死に行っている。売れる営業マンは。最初から細かな商品説明などは行わない。彼らは、最初は、自分がお客様にとって安心でき、かつ役に立つ存在であることを一生懸命アピールするのである。

2.お客様にはニーズやウォンツはないと考えている
 売れる営業マンは、巷にモノやサービスが溢れている今日では、お客様から明確なニーズやウォンツを聞き出すことは難しいと感じている。しかし、実際には、お客様は、自分の欲しいものがないのではなく、欲しいものに気づいていないだけだと考える。
 そこで、彼らは、自社の商品やサービスを「必要だ」「欲しい」と思わせる「気づきを与える作業」に集中して取り掛かる。

3.話し上手より聴き上手である。 
 話術でお客様を説き伏せるような営業手法は、今や時代遅れであると考えている。物騒なことが多い今の世の中では、誰もが騙されたくないと身構えている。営業マンの話は「怪しい」「信用できない」と一般的には思われていると感じている。
 今、必要なことは、お客様の話をよく聴くことである。「聞く」ことではなく「聴く」ことを実践している。そして、さらに売れる営業マンは、お客様の話をただ「聴く」だけでなく、分からないことは聴き返し、そこからさらに話を展開し、お客様とのコミュニケーションを広げている。

4.自分のことを知っている人を増やしている
 営業マンは一般的に多種多彩な人脈を持っている。つまり、この自分のことを知っている人脈を活かしながら営業活動を展開している。但し、ここで売れる営業マンと売れない営業マンの大きな違いがある。それは、売れない営業マンは、この親密な関係にある人に対して性急に「売り」に入るのである。学生時代の友人に直ぐ購入をせまるようなケースである。このような場合にはそこで、これまでの関係が崩れてしまうことが多い。
 一方、売れる営業マンは、自分を知っている人を味方に付けることに専念する。味方につけることで、その周囲の人を紹介してもらい人脈の拡大に努めている。 

5.情報を積極的に行っている
 売れる営業マンは、初回訪問では自社商品の売り込みをしないことは前述の通りである。「買わされるかもしれない」「騙されないぞ」というお客様の猜疑心を取り払うことがここでの基本である。
 この場面で多くの売れる営業マンが使用しているのが、お客様との信頼関係を構築するために有効な武器となるコミュニケーションツールである。
 具体的には、お客様が関心を持っているテーマに関する資料や情報の提供を行っている。また、公的機関や業界団体等が発行している公共性の高い会報やレポートなどをさり気なく提供している。
 このようなコミュニケーションツールを提供することで、お客様が持っている「買わされないぞ」というバリアが低くなるとともに、価値ある情報を提供できれば、「役に立つ奴」として認知されるのである。

 以上、営業部門における、高業績者のコンピテンシーを経験からまとめたものである。優秀な営業マンの育成は、今後の企業の生き残りのためには重要な課題である。これまでの既成概念にとらわれない柔軟な発想で、売れる営業マン作りに取り組まれる際の参考になれば幸いである。


■木村 信彦 (きむら のぶひこ)
 社団法人 中小企業診断協会 東京支部中央支会理事
 中小企業診断士


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