姫野 剛慶
1.プロモーショナル・マーケティングとは
プロモーショナル・マーケティングは、従来SPと呼ばれてきた「マス広告以外のプロモーション活動全般」の分野に戦略的な視点を強化した販売促進体系のことであり、(社)日本プロモーショナル・マーケティング協会(旧日本POP広告協会)では「ブランドの顧客開拓と維持のために、特定化された市場での、消費者、小売業者あるいは卸売業者に向けた直接的購買動機づけを中心にするマーケティング活動である。」と定義している。
2.従来の SPとの違い
従来のSPは広告の付随的な活動と認識され、実施のタイミングや内容、制作物の表現などは広告戦略に基づき行われる場合が多く、「直接的動機付け」というSP特有の機能に着目し展開されることが少なかった。そのため、従来のSPは販促ツールの作成に関する技術的な取り組みを中心に発展してきた。
しかし、現在は消費者の多くが購買商品を店頭に行ってから決めると言われており、広告による認知だけでは購買には結びつかず、売り場(購買決定時点)を起点としたマーケティング活動の総仕上げが重要となってきた。この最後のひと押しを担うのがSPであり、広告の一部としての機能ではなくマーケティング活動全般との関連性を図る戦略的な視点が求められるようになり、プロモーショナル・マーケティングの体系が作られた。
3.プロモーショナル・マーケティングの概要
(1)プロモーショナル・マーケティングの機能
プロモーショナル・マーケティングの機能は以下の4つである。
①広告機能
マスメディア以外の媒体により、ブランド認知やイメージ向上を図る機能。
②広報機能
イベント展開やパブリシティ等により、ブランド認知やイメージ向上を図る機能。
③購買動機づけ機能
試供品配布やプレミアムの提供、割引券の配布などにより「今、買う気にさせる」機能。
SPが持つ独自機能である。
④販売関与者動機づけ機能
販売コンテストや各種の刺激策により、流通チャネルや営業担当者を「売る気」にさせる機能。
(2)プロモーショナル・マーケティングの手順
①プロモーション戦略の設定
対象商品・サービス、目的、ターゲット、実施エリアなど戦略目標の設定。
②プロモーション手法の開発
戦略目標達成のための手法の選択と展開プランの作成。
<プロモーション手法4つの基本分類>
試用手法 :試用機会を提供し購買を刺激する(例:サンプリング、モニターなど)
プレミアム手法 :特典を提供し購買を刺激する(例:プレミアム、オープン懸賞など)
プライス手法 :限定的な価格割引で購買を刺激する(例:クーポン、お試し品など)
制度手法 :制度的に特典を提供し購買を刺激する(例:会員制度など)
※日本プロモーショナル・マーケティング協会 ホームページを参考に作成
③メディア&ツールの開発
プロモーション手法を展開するためのメディアの選択とツールの作成
<プロモーション・メディア&ツール>
印刷系ツール :ポスター、パンフレット、ちらし、カタログなど
映像系ツール :DVD、ビデオなど
ネット系ツール :ネット広告、ホームページなど
POP広告 :POP、什器、バナー など
イベント :展示会、見本市 など
SPメディア :交通広告、屋内広告など
パブリシティ :ニュースリリース、新製品発表会など
※日本プロモーショナル・マーケティング協会 ホームページを参考に作成
(3)中小企業での活用
中小企業におけるプロモーションは、インターネットや業界紙、展示会参加、口コミなどによる認知の獲得、クーポン券や会員制度、サンプリング等による購買刺激、ポスターやパンフレット、チラシなどの印刷物の作成など様々な取り組みがなされているが、上記のような手順を踏まず場当たり的に実施したり、機能、手法、メディア&ツールとの適合性や各ツールの表現(デザイン、キャッチフレーズなど)の統一を考慮しない取り組みを行ったり、戦略的な視点が欠けてしまい効果が出ない場合も多い。プロモーショナル・マーケティングは広告会社や印刷会社を中心に浸透しているが、顧客が限定され広告予算が限られている中小企業にとっても、業種を問わず有効な考え方や手法であると言えるであろう。
参考文献:
プロモーショナル・マーケティング第二版(社)日本POP広告協会編纂(宣伝会議)
日本プロモーショナル・マーケティング協会 ホームページ
■姫野剛慶
中小企業診断協会東京支部中央支会理事。
広告代理店、メーカー宣伝部等を経て独立。
企業や自治体の研修、セミナー、コンサルティングを中心に活動中。