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グローバル・ウインド インドネシア大統領選挙の結果を見て (2009年7月)

Global Wind (グローバル・ウインド)
インドネシア大統領選挙の結果を見て

井上 義博

 2009年7月8日インドネシアで大統領選挙が行われ、現職のユドヨノ大統領が再選を果たした。まずは順当な国民の審判であったと思う。

 筆者は、2008年1月掲載の第7回グローバル・ウィンド、及び、2008年3月に出版された「【入門】NEXT11がみるみるわかる本」の中で、ユドヨノ再選とその後の安定的発展を希望的に予測したが、今回の大統領選挙結果を見、当時以上にインドネシアの安定的発展の可能性に期待を高めている。その理由は以下の通り。


(1)
大統領選挙に先立ち2009年4月に行われた議会の総選挙でユドヨノ氏率いる民主党が最大議席を獲得し、少数与党という立場で議会対策に困難を強いられた第一期ユドヨノ政権に比べ、議会の支持基盤が強化されたことで政治運営の円滑化が期待できること。

(2)
2008年後半から世界経済の減速が顕著になり、それまで順調に成長を続けていたインドネシア経済にも相当な悪影響が出ると危惧された(従って、前掲「NEXT 11」に記述した内容と違った方向に動き出したと思って筆者もヒヤッとした)が、結果的には大きな混乱もなくインドネシア経済の底固さが証明され、むしろ最近外資系投資銀行を含めインドネシア経済に対する外部からの評価も高まって来ていること。

(3)
第二期ユドヨノ政権を支える副大統領に第一期で中央銀行総裁等として経済政策を率い危機を乗り切ったブディオノ氏が就任し、主要経済閣僚にもテクノクラートが配されると予想され経済政策実行に安定感が増すであろうこと。

(4)
第一期政権ではゴルカール党のカッラ総裁が副大統領にあり議会での最大勢力という力を背景に副大統領が経済運営を担当するといった政経分離が行われ、これが正副大統領間の勢力争いを惹起して政権の安定感が損なわれる傾向を呈していたが、第二期ではこういった要素がなくなり、事務はテクノクラート閣僚に任せ、大統領は議会での最大勢力を背景に腰の据わった政治決断ができる環境が整ったと思われること。

(5)
今回の大統領選挙で自薦他薦の予選を勝ち抜き、ユドヨノ氏に戦いを挑んだ対立候補はメガワティ前大統領・カッラ前副大統領であり、今回の大統領選挙のプロセスは過去10年間インドネシア政界を彩った代表的政治家間の最終戦であったといえる。また、両氏がペアを組んだ副大統領候補はそれぞれプラボウォ元戦略予備軍司令官・ウィラント元国軍司令官であり、いずれも過去10年間ある意味で(スハルト時代を実質的に支えた)国軍の代表選手であり、ヨドヨノ氏も国軍出身であることから、今回の大統領選挙をもって国軍内部の勢力争いにも決着がつき、政治と国軍の二重構造にも一応の決着が着いたという見方もできると思われること。


 以上の通り、今回の大統領選挙はスハルト政権崩壊後10年にわたった政治闘争の総決算と言っても差し支えないと思う。ユドヨノ再選は日米を始め世界から歓迎され、インドネシアが東南アジアの安定勢力として着実な発展を遂げることにますます期待が高まっている。第二期ユドヨノ政権の成功を祈りたい。


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