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業種別業界別トピックス「住宅瑕疵担保履行法の本格施行が始まる」(2009年12月)
古賀 元


 本年度の新設住宅着工戸数の100万戸割れが確実と言われる中、平成21年10月1日から「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」(以下、住宅瑕疵担保履行法)の本格施行が始まりました。本法は新築住宅を取得する消費者の保護を目的としたものですが、一方で住宅の建設業者や宅建業者にとっては「保証金の供託」や「保険への加入」を通じて費用の拠出が必要となるなど厳しい面を持っています。


1.法律制定の経緯

 新築住宅については平成12年4月施行の「住宅品質確保法」(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づき、売主および建設工事の請負人に対しては10年間の瑕疵担保責任を負うことが義務付けられてきました。瑕疵(かし)担保責任とは、主に売買の目的物に隠れた瑕疵(欠陥)があった場合に買主が売主に対して損害賠償の請求や契約の解除ができる、というものです。
 しかし、平成17年11月に「構造計算書偽装問題」が発覚すると、分譲したマンションの建て替えを含む大規模な補修工事の費用負担に耐えられなくなったデベロッパーが倒産し、住宅購入者は既存の住宅ローンに加え新たな負担を抱えるといった痛ましい問題に発展してしまいました。
 こういった問題を受け、住宅品質確保法で定められた10年間の瑕疵担保責任の履行を実現するため、裏付けとなる「資力確保」を義務化する必要性から、新しい法律として「住宅瑕疵担保履行法」が制定されることとなりました。


2.住宅瑕疵担保履行法の内容

 本法は平成19年5月30日に公布されましたが、新築住宅を供給する際の仕組みが大きく変わるため、法律施行までの準備期間としておよそ2年半が設けられました。そして、平成21年10月1日から本法の施行が開始されました。
 この施行日以降に「新築住宅」の売主または請負人(宅地建物取引業者や建設業者)が買主または発注者に新築住宅を引き渡す際には、「保証金の供託」または「保険への加入」が義務付けられることになります。
 これによって、売主や請負人は買主や発注者に対しての瑕疵担保責任を確実に履行することができるようになり、また万が一、売主や請負人が倒産等によって瑕疵を補修できなくなった場合にも、保証金の還付や保険金により必要な費用が支払われることになります。
 なお、ここでいう「新築住宅」とは、建設工事完了から1年以内のもので、人の居住の用に供したことのない、戸建住宅・分譲マンション・賃貸住宅・社宅などになります。中古住宅や住宅でない建物(事務所・倉庫・物置・車庫等)は対象とならないので注意が必要です。
 また、対象となる瑕疵担保責任の範囲は、住宅品質確保法で定める範囲と同じ「構造耐力上主要な部分」と「雨水の侵入を防止する部分」になります。


3.資力確保の手段

 資力確保の手段としては「保証金の供託」と「保険への加入」の2つがあり、またその両方を組み合わせて利用することも可能となっています。

①保証金の供託

 新築住宅の売主等が、住宅の供給戸数に応じた保証金を法務局などの供託所に供託するものです。保証金の額は売主が過去10年間に供給した新築住宅の戸数をもとに算出されます。10年間の新築住宅供給戸数の合計が100戸の住宅供給業者の場合、供託する保証金の額は「1億円」となります。供託の場合、保証金は10年間、供託所に預け置く必要があり、その間は基本的に取り戻すことはできません。

②保険への加入

 個々の住宅について保険契約を締結し、瑕疵により損害が発生した場合には保険金が支払われるものです。国土交通大臣が指定した「住宅瑕疵担保責任保険法人(指定保険法人)」との間で保険契約を結びますが、施工段階で指定保険法人の検査を数回受ける必要が生じます。なお、保険料は、掛け捨てであり、契約時前に一括払いを行う必要があります。保険料は、戸建住宅で一戸当たり、概ね7万~9万円程度となっており、住宅価格に含んで買主等に負担してもらうことも可能とされています。


4.おわりに

 消費者保護の観点から制定された本法ですが、住宅供給業者から見ると厳しい内容となっています。よほど資力に余裕のある事業者でなければ、10年もの間、保証金を預け切りにしておく「供託」を行うことは難しいと思われます。また、保険への加入に際しても、一戸当たり概ね7~9万円程度の負担が発生し、現実的には買主への費用負担の転嫁は難しいというのが実情のようです。景気悪化で消費者の購買意欲が冷え込んでおり、新設住宅着工戸数の低迷も長引きそうな情勢のなか、当法への対応についても都度見直しを図るなど、事業者側でも常に気を配っておくことが必要と思われます。

参考文献
・国土交通省ホームページ
 
 
 
■古賀 元(こが げん)
中小企業診断士 / ファイナンシャルプランナー
中小企業診断協会東京支部中央支会 理事


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