社団法人中小企業診断協会東京支部 中央支会
Search
Mail Magazine
詳しくはこちら
専門家コラム「ITを導入する企業が気をつけたいこと」(2010年1月)
城和 広之


 近年、企業のIT化はすさまじい勢いで広まりました。
 会計処理や販売・在庫の管理、受発注といった企業の基幹となる業務をはじめ、ホームページを開設して、インターネットで自社の情報を発信したり、またお客様にネットを通じて商品販売を行うことも珍しいことではなくなりました。

 そうしたIT化の進展によって、企業は様々な業務を効率化するとともに経営のスピードアップを図り、コスト削減や売上拡大などに取り組んでいます。

 その一方で、せっかくITを導入したのに特段の変化がないと感じる事業者の方も少なくありません。IT投資をそうした期待外れに終わらせないためには、どのようなことに気をつけるのか考えてみました。

 ITを導入するにあたっては、自社のIT能力を知ることから始まります。雑誌等で、IT化の成功事例が数多く取り上げられていますが、パソコンを導入したことがないのに、同じようにやれと言われても無
理な話ですよね。

 IT能力とは、例えば、次のような活用状況や成熟度から考えることができます。

レベル1:
 コンピュータを利用したことがなく、事業との関連性がない状態。
レベル2:
 手書き処理からコンピュータ入力化に移行された状態。ただし、個人での利用に留まり、組織的なデータ活用には至っていない。
レベル3:
 コンピュータで得られた(管理された)データを組織的に業務に活用するとともに、日常の業務効率化(改善)に繋げられる状態。
レベル4:
 コンピュータがネットワークで企業の内外と接続され、電子商取引などで高度に活用されている状態。

 POS(販売時点情報管理:Point of saleの略称)は、一般商店でも普及が進んでおり、皆様ご存知だと思います。POSの元々の目的はレジ担当者の不正防止や誤った売価で販売することを防ぐことでした。
 しかし、POSはなんといっても、「いつ・何が・いくらで・いくつ売れたのか」といった販売実績の情報が収集できる利点があります。

 POSを導入し、レジ業務が正確になりスピードアップもなった小売店があります。その小売店ではPOSのデータを全く活用せず、経験と勘に頼った仕入・品揃えを行い、その結果として在庫が増加していました。このケースでは、売れるか売れないか分からない商品を明確な根拠もないまま仕入、在庫を増やしてしまったことが問題です。
 従って、POSを活用し、それで得た販売データを分析して売れ筋商品を掴み、それをベースに仕入・品揃えを行うことで、在庫の削減ひいてはコスト削減に繋げていくことがITの目的になります。

 ITは使い方によっては大きな力を発揮します。自社のIT能力を知り、現在抱えている問題点や課題を整理すること、ITを活用してそれらを具体的にどう克服していくか、あるいはどういう効果を狙うか
検討すること、これらにより事業に変化が生じるのです。
 
 
 
■城和 広之(しろわ ひろゆき)
中小企業診断協会東京支部中央支会理事 
中小企業診断士


Copyright All rights reserved (C)1997-2011 社団法人中小企業診断協会東京支部中央支会
このページのトップへ