Global Wind (グローバル・ウインド)
EU(欧州連合)の今後
河合 裕
Ⅰ.EUの世界への影響力
1.COP15
ちょうどこの原稿を作成している現在(2009年12月13日)、デンマークの首都コペンハーゲンにてCOP15の国際会議が開催されている。COP15とは、conference of partiesの略で、15回目の気候変動に関する国連主催の会議という意味であり、世界から192ケ国、約15000人が集結して大議論を行っている。
この会議は国連主導による全世界を対象にした国際会議ではあるが、その推進の原動力はまちがいなくEUのメンバーである。
EUリードによる、環境をテーマにした「世界標準をとる」壮大な計画のひとこまとしか筆者には思えてならない。
2.世界標準
これまでもEUは「世界標準」をとることに腐心してきた。日本企業も多大なコスト負担を強いられているISOはその典型である。特にISO14000シリーズは、その標準を持たない企業は、サプライチェーンからはずすというもの。また、化学物質を扱う、メーカー、商社、ディーラーのビジネスに多大な影響が出てくると思われる「REACH」規制も、間違いなく欧州発の世界標準である。REACHは、来年度から実際に発動され日本企業にも影響が出てくる。
3.リードすることによるメリット
標準をとり、リードする立場になればさまざまな点でどれほど有利かおわかりであろう。全EU27ケ国の壮大な深謀遠慮としか思えない。
この有利さを求めて、トルコをはじめ更に加入を希望する国はあとをたたない。
Ⅱ.EUの基本知識
1.歴史
第二次大戦後、1952年に6ケ国の参加にて設立された欧州石炭鉄鋼共同体を母体に、その後のさまざまな条約、議定書を経て、最終的に1992年にマーストリヒト条約が成立し翌年にEUが発足。その後拡大を続け、現在の加盟国27ケ国、総人口5億人に規模に至っている。
今年、紆余曲折を経てリスボン条約が批准され、EUの更なる深化が進むことになった。
2.組織
行政の役割を持つEU理事会、EU独自の司法裁判所、議会、中央銀行を持ち、ひとつの巨大な擬似国家組織を持つ。
加盟国各国は「EU指令」があるものについてはその内容に従わなければならない。
マーストリヒト条約を修正するためのリスボン条約が2009年12月に発効し、初代EU大統領にベルギーのファン・ロンパウ氏が選出された。
英国のブレア元首相が当初、有力であったが、カリスマ性がありすぎ、特に独仏等の反対があったと聞く。独仏からすると、政治、経済面でEU内にて独仏と並び力を持つ英国よりも、小国でEUのさまざまな機関を持つベルギーのほうがなにかと都合がよかったという論評がなされている。
3.経済環境悪化の影響
リーマンショック以来の大不況によりEU内の多くの国が痛手をこうむったが、EU未加入、あるいは共通通貨ユーロ未加入の小国は特に経済環境の悪化が著しい。
スロバキアが今年、ユーロ導入を決めたのも小国単体では、今後の大きな変動に対応できないことが明白になったためである。
Ⅲ.日本あるいは日本企業としてなすべきこと
1.大きな流れの絶え間ないwatch
世界の流れを見る場合、米国のほか、中国、インド、ロシア等いわゆる新興国に加えて、今後、更に拡大、深化するEUの動きに注意する必要がある。知らないうちにものごとがEUで決められ、それがいつの間にか世界標準になり、日本あるいは日系企業が後追いでコストをかけてついていくという構図は避けたい。
今後、ますます世界の意思決定の場から取り残される可能性が高まる日本としては、せめてwatchの度合いを強めて、少しでも遅れを取らないようにすることが現実的な策である。企業においても同様である。
以上
オランダにて