土田 健治
1.今求められる顧客志向経営と顧客分析の重要性
すっかり固く締められるようになったお財布のひも。オーバーストアといわれる競合の環境。商品やサービスをならべれば売れる時代は、とっくに終わってしまいました。新しいお客様はそう簡単には増えません。小売・サービス業のビジネスは、いっそうの厳しさを増しています。そんな中、ますます「顧客志向」の経営が求められてきています。
新しいお客様を迎えるにもコストがかかります。ならば、既に自社からお買い上げをしていただいたことがあるお客様には、今後とも確実に自社からお買い上げをしていただくことです。既存顧客を維持するコストは、新規顧客を獲得するコストの5分の1で済むといわれているからです。
そして、ご贔屓のお客様には手厚い対応を心がけ、自社からのお買い上げをさらに増やしていただく取り組みが必要です。また、ご贔屓となってくれるお客様を増やす取り組みも必要です。そのための労力を惜しんではなりません。リアル店舗の世界では、上位2割の優良顧客層が、全体の8割の売上をもたらすといわれているからです。既存顧客、その中でもご贔屓のお客様を育成し、コンスタントに維持することにより、まずは売上の8割を確保するのです。
そのためには、既存のお客様を知り、ご贔屓のお客様、ご贔屓となってくれそうなお客様を把握しなければなりません。そしてお客様にふまえた対応を心がけ、ご満足を感じていただくことです。そしてこの既存のお客様のご満足が、やがてクチコミなどで評判となり、新規のお客様もお店に足を運んでいただけるようになるのです。
こうした好循環をもたらす「顧客志向」の経営ですが、その実現のためには、お客様の購買行動から得られるデータをもとに顧客分析を行うことが有効です。なぜなら、お客様の中には、上得意のお客様もいらしゃれば、バーケンハンターのお客様もいらっしゃるのであり、十把一絡げでお客様に対応することは、明らかに経営的なロスを生じさせてしまうからです。いろいろな購買傾向を示すお客様をそれとして把握し、それぞれに見合った顧客対応を取ることが重要です。
ここでは、顧客分析の代表的な手法であるRFM分析について、その内容に触れながら、顧客志向経営推進のポイントについて整理してみました。
2.RFM分析とは
RFM分析は、顧客識別された購買履歴データをもとに、その購買履歴のRecency(最終購買日)、Frequency(累積購買回数)、Monetary(累積購買金額)の3つの評価軸から、個々の顧客の購買行動を評点付けし、顧客をセグメント分析・評価する手法です。3つの評価軸の頭文字をとってRFM分析と呼ばれており、1930年代に米国の通販業で始まったといわれています。今日では業種を問わず、広くマーケティングの分析手法として用いられています。
3.RFM分析に必要なデータ
「顧客識別された購買履歴データ」と述べましたが、これは、「誰々さんが」「いつ」買い物をして、「いくら」お金を使ってくれたか、といったデータが必要であることを意味します。具体的には、最低必要なデータ項目は、「顧客番号(など顧客を特定する情報)」「購買日」「購買金額」です。
なお、上記のデータ項目の他に、「購買店舗」や「購買商品・サービス」「購買数量」「購買単価」、さらには各種「顧客属性」なども分析対象として加えられれば、より深い分析が可能となります。
4.RFM分析の具体的手法
RFM分析には、いろいろな評価技法がありますが、ここでは、「ランクマトリックス評価法」と「トータルスコア評価法」を紹介します。いずれも、分析の評価対象期間と評価基準値をあからじめ決定します。ここでは評価対象期間を1年とした例で述べます。
①ランクマトリックス評価法
あらかじめ、R(最終購買日)、F(累積購買回数)、M(累積購買金額)の3つの評価軸について、過去1年間で評価した場合の、優良度のランクと、その基準を決めます。その上で、個々の顧客毎に、RFMの3つの評価軸のランクを付与します。
ここでは、3つの評価軸をそれぞれ3ランクで評価する場合の例を挙げます。

顧客Aさんの購買履歴デ-タの直近1年間分を集計・評価したところ、最終購買日は3ヶ月前、累積購買回数は5回、累積購買金額は4万3千円であったとします。この場合、AさんのRFMランクは、Rのランクが2、Fのランクが1、Mのランクが3(RFMランク=2・1・3)となります。
このようにして、顧客全員分のランクを付与します。そうすると、RFMランク=3・3・3の顧客が何人で、RFMランク=1・1・1の顧客が何人で、というように、ランクの組み合わせごとの顧客の人数が把握できます。上記の例の場合、RFMランクの組合せは、3×3×3で27通りとなります。
「ランクマトリックス評価法」は、RFMの各評価ランクが独立した変数として扱われるので、RFM、それぞれの評価ランク自体に分析の重きを置く場合、あるいは、RFM、それぞれの評価ランクの組み合わせ(マトリックス)を用いて分析を行う場合に適している手法といえます。
②トータルスコア評価法
あらかじめ、R(最終購買日)、F(累積購買回数)、M(累積購買金額)の3つの評価軸について、過去1年間で評価した場合の、優良度のスコアと、その基準を決め、さらにRFMの各評価軸の重み付けを決めます。その上で、個々の顧客毎に、RFMのトータルスコアを付与します。
ここでは、3つの評価軸をそれぞれ3ランクのスコアで評価する場合の例を挙げます。

顧客Aさんの購買履歴デ-タの直近1年間分を集計・評価したところ、最終購買日は3ヶ月前、累積購買回数は5回、累積購買金額は4万3千円であったとします。この場合、AさんのRFMトータルスコアは、(Rのスコア×Rの重み)+(Fのスコア×Fの重み)+(Mのスコア×Mの重み)=(2点×重み5)+(1点×重み3)+(3点×重み2)=19点 となります。
このようにして、顧客全員分のトータルスコアを付与します。そうすると、RFMトータルスコア=30点の顧客が何人で、RFMトータルスコア=10点の顧客が何人で、というように、トータルスコアごとの顧客の人数が把握できます。上記の例の場合、RFMトータルスコアの最大値は、(3点×重み5)+(3点×重み3)+(3点×重み2)=30点で、RFMトータルスコアの最小値は、(1点×重み5)+(1点×重み3)+(1点×重み2)=10点となります。
「トータルスコア評価法」は、RFMの総合評価結果をシンプルに取得する場合、および、RFM各評価軸のウェイトを重視する場合に適している手法といえます。
5.RFM分析で何がわかるのか、どう使うのか
ここでは、上記の「ランクマトリックス評価法」にもとづいて、その分析・評価の仕方を説明します。
上記の「ランクマトリックス評価法」では、RFMそれぞれの評価ランクを3ランクとしました。累積購買回数(F)と累積購買金額(M)の観点は、高いランクであればあるほど、顧客の優良度が高いことを示します。
最終購買日(R)の観点は、高いランクであればあるほど、すなわち最終購買日が間近であればあるほど、自社での購買に積極的である(自社での購買に消極的でない)、すなわち再購買を期待できる、したがって優良度が高い、と評価します。逆に、最終購買日が過去であればあるほど、自社からの購買から遠ざかっている、つまり店離れをしている、したがって優良度が低いと評価します。
①優良顧客層
とすれば、RFMランク=3・3・3の顧客層は、全ての指標において、優良度の高い顧客層、すなわち上顧客のお客様の層であると評価できます。この層のお客様は、自社の収益および利益の相当程度をカバーしてくれているはずです。「上位2割の顧客が、全体売上(全体利益)の8割をもたらす」というパレートの法則が、おおむねどの小売・サービス業態でも当てはまるからです。この顧客層は、このまま自社のご贔屓で居続けてもらえるよう、言い換えれば、絶対に競合他社にスイッチされないよう、働きかける必要があります。その方法は各社各様に工夫するべきですが、例えば、ご来店時はお名前をお呼びして日頃のご愛顧を感謝する、心のこもったおもてなしを行う、丁寧に情報提供を行う、特別な謝恩企画にご招待する、などが考えられます。
②優良顧客における店離れ傾向層
RFMランク=2・3・3の顧客層は、最終購買日(R)の指標がランクダウンしています。ご来店(購買)の直後は、Rの指標は必ず3になるのであり、Rが2ということは、そのお客様が、店離れの傾向を示しつつあることを意味します。ところで、この顧客層は、累積購買回数(F)と累積購買金額(M)は、それぞれ最高ランクです。つまりこの層は、上顧客のお客様の中で、最近少し店離れの傾向を示している顧客層を表しているのです。この顧客層には、直ちに「再び自社にご愛顧いただく」という「呼び戻し」のプロモーションが必要です。このまま放置してしまうと、完全な離脱客=他社への完全なスイッチ客(RFMランク=1・3・3)となってしまうかもしれません。
③優良顧客からの完全な離脱客層
優良顧客層からの完全な離脱客層(RFMランク=1・3・3)には、「呼び戻し」の働きかけをしても、実際に呼び戻すことは困難と言われます。もし機会があれば、「何故、自社から去ったのか」のご意見ご・感想をお尋ねしてみることです。菓子折代を負担してでもお釣りのくる貴重な「顧客の声」が聞ける可能性があります。
④優良顧客予備軍層
RFMランク=3・2・2(3・3・2、3・2・3)の顧客層は、優良顧客層の予備軍です。購買頻度を引き上げてもらうため、あるいは客単価を引き上げてもらうため、目的を絞ったプロモーションを講ずべき候補の層のひとつです。
⑤新規顧客層
RFMランク=3・1・1の顧客層は、自社での購買経験が浅い、新規顧客の層です。この中には、将来の優良顧客が潜んでいるはずです。自社での購買を定着してもらうプロモーションが打てれば効果的です。ただし、この層の中には、一見客も相当含まれているはずですから、深追いは禁物です。
⑥一見客層
RFMランク=1・1・1の顧客層は、1度は購買してくれたものの、それ以上の関係が期待できない顧客層です。こうした顧客層に販促経費をかけること自体がムダになるため、チラシやDMなどの販促経費のかけ方には注意が必要です。
6.RFM分析のポイント
①さらに効果的な分析・評価
(1)過去との推移比較
過去に実施した分析結果と、現在の分析結果を推移比較してみることです。優良顧客層は増えているのか、減っているのか。当然優良顧客層は増えていかねばなりません。また、各顧客セグメントに応じて対策(プロモーション)を実施した場合の効果検証としても、当該顧客セグメントについての過去との比較が必要です。
(2)店舗比較
また、複数店舗での営業を実施している場合は、各店舗での顧客の傾向比較をしてみることです。X店では全店平均以上に優良顧客層が増えている、逆にY店では全店平均以上に一見客のウェイトが高い、そのような店別の傾向が把握できます。成功裏に優良顧客を伸ばしている店からは、その成功要因を抽出し、他店へも波及させていくことが重要です。
(3)各種顧客特性と絡めた分析
各種の顧客属性(性別、年代、その他)もデータとして取得できるならば、それら顧客属性と絡めた分析が有効です。なお、最近は、性別や年代といったデモグラフィック(人口動態的)属性よりも、趣味・嗜好などといったサイコグラフィック(心理学的)属性の方が、より的確な顧客セグメンテーションにつながると言われています。
(4)購買商品・サービスに落とし込んだ分析
顧客識別可能な購買履歴データから、購買した商品・サービスにまで落とし込んだ分析ができると、大変奥深い顧客対応ができます。優良顧客層が好んで購買する商品・サービスは何か。これを把握することにより、まだその商品・サービスを購買していない優良顧客を抽出し、その顧客に向けそれら商品・サービスを訴求し、成果を上げている実例があります。また、販売量は少ないが、優良顧客のコンスタントな購買を得ている商品は何か。これを把握することにより、ABC分析上のCランク商品を単純に死に筋として商品カットすることなく、「私の好みの商品を品揃してくれているお店」として優良顧客から支持を得ている実例があります。
(5)正味客数、購買頻度、一客あたり点数、一点単価まで掘り下げた分析
RFM分析に最低必要な「顧客番号(など顧客を特定する情報)」「購買日」「購買金額」の他に、「購買商品・サービス」「購買数量」「購買単価」のデータまで採取できる場合は、掘り下げた分析が可能となります。小売・サービス業における売上=購買は、一般的に「客数(レジ通過客数)」×「客単価」に分解されますが、「客数」は、「正味の客数」×「購買頻度」に、「客単価」は、「一客あたり点数」×「一点単価」に分解できます。RFM分析で得られる各顧客セグメントにおいて、これらの数値指標まで分析を深めることができると、顧客セグメントごとに、対策するべきポイントがより明確に見えてきます。たとえば、優良顧客予備軍のセグメントにおいて、今対策を講ずべきは、客数対策か、客単価対策か。客数対策の場合は、正味の客数を増やす必要があるのか、それとも購買頻度の向上を促す必要があるのか。また、客単価対策の場合は、お客様が一度に購買する商品・サービスの点数を増やすべきなのか、それとも購買する商品・サービスの一点あたりの平均単価を引き上げるべきなのか。そうしたことが見えてきます。
②ランク分けの仕方
「ランクマトリックス評価法」のランク分けは、その企業のビジネスの態様により決まります。例えば百貨店では、高額なものから低額のものまで扱うため、累積購買金額(M)にかなり多段階のランク分けを要します。はじめてRFM分析を用いて顧客セグメント分析を行うのであれば、ランク分けは、例示したように3ランク程度にシンプルにしておいた方がよいでしょう。
③評価期間、ランク基準の設定
評価期間、ランク基準(何をもってRランクの最高ランクとするか、など)は、「正解」があるわけではありません。食品SMでとるべきRFM評価期間・評価基準と、家電専門店でとるべきRFM評価期間・評価基準は、当然異なってきます。自社の業種の態様、顧客の現況、それまでの顧客評価基準などを勘案して決めるしかありません。一定の試行期間の中で、見直しをかけ、設定していくべきでしょう。
なお、一度本格的に分析・評価運用を開始して以降は、むやみには設定変更しないことです。評価期間やランク基準を変更してしまうと、過去に実施した分析・評価との比較ができなくなるからです。
④ランクマトリックス評価
RFM分析の「ランクマトリックス評価法」で分析を行う場合、RFMの3つの評価軸を同時に用いるとかなり複雑な評価が必要となり、容易ではありません。RとFの2つの評価軸の組み合わせ、またはRとMの2つの評価軸の組み合わせで分析を行うのが妥当です。FとMは、累積購買回数(F)×客単価=累積購買金額(M)の関係があり、正の相関が成り立つため、評価軸の組み合わせにもとづいた特徴点が生じにくいという関係があります。
7.RFM分析の効果的活用
①大切なことはアクションと検証
RFM分析自体は、単に「データを分析すること」にすぎません。重要なことは、そこから得られる顧客の様々な実態にふまえ、優良顧客に対する「維持・深耕」の働きかけ、優良顧客予備軍への「育成」の働きかけ、離反傾向客への「呼び戻し」の働きかけ、新規顧客への「定着化」の働きかけなどの、具体的なアクションに取り組むことです。そして、その具体的な取り組みの成果を、再びデータとRFM分析の手法を使って検証し、見直しのサイクルを廻していくことです。
なお、アクションといっても、プロモーションに限定して考えてはいけません。品揃え、価格政策、店づくり、接客サービス、アフターサービス、あらゆる領域で、顧客の満足を得るための取り組みがあるはずです。
②顧客とのコミュニケーションによる補完の重要性
RFM分析は、顧客識別された購買履歴データを用います。このデータには、いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、いくつ(How many)、いくらで(How much)で購買したかの要素は含まれますが、なぜ(Why)の要素は含まれません。なぜ、このお客様は、あの店ではなく、この店で買ったのか、買わなかったのか。あの商品ではなく、この商品を買ったのはなぜか。この答えは、購買履歴データからは得られません。
しかし、顧客志向経営のもと、お客様に満足をしていただき、リピートしていただくためには、この「なぜ」の領域を、できるだけ理解していくことが重要です。そのためには、RFM分析というデータ分析だけに依存するのではなく、お客様の観察とコミュニケーションが極めて重要です。顧客の「なぜ」=購買の決めてとなった理由は、実はお客様に聞いてみてもわからない場合も少なくありません。しかし、それでもなお、お客様を不断に観察し、積極的にコミュニケーションを取ることは不可欠です。
そして、多くの顧客を抱え、全ての顧客の購買行動を観察し、コミュニケーションを取ることが実際には困難である場合、自社の売上の多くを支えてくれているご贔屓の顧客層からはじめるべきでしょう。その際、誰が優良顧客なのかをきちんと把握することが前提となります。ある百貨店で、売場の担当者に、覚えている優良顧客を書き出させてみたところ、購買データから集計された優良顧客リストと、何割も食い違っていたという事例がありました。経験と勘頼みで優良顧客を「識別」するのではなく、RFM分析といったデータにもとづいた手法で優良顧客を識別し、その方々とのコミュニケーション面での補完も実施していく、そんなスタイルが求められています。
8.RFM分析の適用分野
RFM分析は、以下の分野で適用可能です。
①顧客が識別できること。
(顧客が自らの購買を秘匿したがるような分野はなじみません。)
②適度なサイクルで再購買が発生すること。
(一生で一度きりのような購買分野はなじみません。)
③一定期間における顧客あたりの収益が一定程度確保できること。
(ある程度の手間・コストがペイできる分野でないと適用できません。)
実際は、多くの分野で適用が可能です。
9.顧客識別された購買履歴データの採取の仕組みとIT化
RFM分析は、顧客識別された購買履歴データを用いますが、「顧客識別された購買履歴データ」は実際にはどのようにして採取したらよいのでしょうか。一般には、購買時にポイントカードなどの提示をもとめ、そこからデータ収集を行うケースが多いようです。ITシステムの活用が可能であれば、もちろんそれに越したことはありません。場合によっては、顧客志向経営の推進のため、多少の投資を惜しまずシステム構築すべきケースもあることでしょう。
しかし、最低必要な「顧客番号(など顧客を特定する情報)」「購買日」「購買金額」が採取できるのであれば、手間さえ惜しまなければ、手作業でもRFM分析はできるのです。Excelの便利機能(マクロ機能)などをご存じであれば、Excelレベルでも、相当の自動化処理が可能です。
「顧客番号(など顧客を特定する情報)」「購買日」「購買金額」は、ポイントカードなどを用いずとも、注文伝票や配送伝票などから取得できるのであれば、それを使えばよいのです。また、IT化されたポイントカードの仕組みを使わずとも、紙のスタンプカードなどの発行でも、工夫の仕方によっては、顧客識別された購買データを取得・蓄積していくことができます。
10.顧客志向経営の推進にむけて戦略的アプローチを
顧客志向経営は、厳しい消費者環境、激化する競合環境における優れた顧客戦略です。RFM分析は、それを支えるデータ分析の技法ですので、本来は、経営を「顧客志向」で組み立て直してみるという戦略アプローチが重要です。
その場合、「自社の経営理念を顧客の観点から再整理してみる」→「顧客にかかわる自社の現状と、競合先や業界内外の現状を整理してみる」→「数年後をイメージして、どんな顧客志向の経営を実現したいのかビジョンを整理してみる」→「ビジョンを実現する大まかな方針を顧客戦略として整理してみる」→「顧客戦略を実現するための、商品・サービス政策、価格政策、店舗政策、顧客政策、サービス政策、プロモーション政策などを具体化する」→「業務運用・組織体制を顧客志向で見直しする」→「顧客戦略を補完するITの利活用を検討する」→「従業員スタッフへの、顧客志向面での教育・動機づけをはかる」→「顧客志向経営の評価指標とモニタリングの仕組みを検討する」→「中期・年度・短期の目標、計画をたてる」→「実際に運用し、モニタリング・評価を経て見直ししながら進めていく(PDCAサイクルの実現)」といった進め方が望ましいでしょう。
顧客分析(RFM分析)は、このうち、「実際に運用し、モニタリング・評価を経て見直ししながら進めていく(PDCAサイクルの実現)」のフェーズで用いられるとともに、「顧客にかかわる自社の現状を整理してみる」局面においても、活用されるのが望ましいでしょう。
■土田 健治(つちだ けんじ)
tsuchida@sunny.ocn.ne.jp
中小企業診断士・ITコーディネータ
社団法人中小企業診断協会東京支部中央支会理事