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専門家コラム「『日本版CSI』による顧客満足度向上の視点」(2010年8月)
森田 貴美子


 厳しい経済情勢の中、顧客満足度を高めて既存顧客を維持することは重要ですが、どのように取り組んだらよいか分からないという悩みも少なくないものと思われます。そこで、顧客満足度向上に向けたひとつの視点として、「日本版CSI」の概要をご紹介します。


◆顧客満足度向上の重要性

 依然として厳しい経済情勢の中、企業にとって既存顧客の維持は重要な課題といえます。自社のお客様に継続して利用していただくためには、顧客満足度の向上が不可欠となりますが、顧客満足度向上にむけた取組みで、苦労されている企業も少なくないと思われます。
 そこで、顧客満足度を高めるひとつの視点として、日本版CSI(顧客満足度指数)の見方が参考になるため、ご紹介します。


◆日本版CSIとは

 日本版CSI(顧客満足度指数:Customer Satisfaction Index)とは、サービス生産性向上協議会が経済産業省の依託を受けて取り組んでいるもので、日本のサービス産業の競争力強化と生産性向上を目的として、22業界、200社以上の実証調査を踏まえて構築されたものです。
 日本版CSIを活用することで、業界内外の優れた企業の取組みに学ぶことが可能となります。また、単なる満足度指数だけでなく、なぜ満足/不満足となったかの原因と、満足/不満足がどのような影響をもたらすのかの結果に関係が明らかになることで、具体的な経営改善への活用が期待されます。
 顧客満足度指数で世界的に有名なのは、ACSI(American Customer Satisfaction Indexであり、ミシガン大学の運営により1994年から調査・発表が行われ、調査対象業界のGDP比率は全米の66%に達しています。日本版CSIは、このACSIモデルをもとに開発されたものです。


◆日本版CFIにおけるCS向上の枠組み

 日本版CSIのモデルは、「顧客満足度」だけでなく、顧客満足の原因となる「顧客期待(利用する前の期待・予測)」、「知覚品質(実際に利用した後での顧客の主観的な品質評価)」、「知覚価値(価格への納得感)」、ならびに顧客満足の結果である「クチコミ(他者への推奨度)」や「ロイヤルティ(再利用意向)」といった6つの指数から構成されます。
 これらの指数を用いて、「顧客満足」を向上させる重点が価格面であるのか、品質面であるのか具体的に把握することができます。また、顧客満足度が向上した結果、クチコミやロイヤルティが向上したかも把握することができます。
 各指標の関係をみると、知覚品質や知覚価値が顧客満足度に影響を与え、その結果、クチコミやロイヤルティに影響を与えていることが、データでも提示されています。

 
◆日本版CFIによる業界別満足度の比較結果

 過去に日本版CSIで調査した22業界の結果を比較すると、顧客満足度が高いのは「レジャー・イベント」業界であり、高い「顧客期待」と「知覚品質」により非常に高い顧客満足を生み出し、その結果「クチコミ」や「ロイヤルティ」も高くなっています。その他に、顧客満足度が高い業界として、通信販売業界、旅行業、宅配便、シティホテル、ビジネスホテルがあがっています。


◆自社の顧客満足度向上に向けた日本版CSIの活用視点

 日本版CSIとして公表されているデータは限られていますが、調査結果や指標の枠組みを利用して、顧客満足度向上に向けた課題を検討することは可能です。
 例えば、満足度が高い業界についてについて、なぜ満足度が高いのかをベンチマークして、自社でも取り入れられることはないかを検討することができます。
 また、日本版CSIの指標の枠組みを利用して、自社のお客様は「何を期待しているのか」、「期待する品質が提供できているか」、品質に対して「妥当な価格か」、その結果「満足していただいているか」、そして「ロイヤルティの高いお客様はどのくらいいるか」などをアンケートで聞いてみることで、顧客満足度向上の課題を明確にして改善に活かすことも可能です。
 
 
 
■森田 貴美子
中小企業診断士
中小企業診断協会東京支部中央支会理事


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