金綱 潤
東日本大震災の影響は残念ながら未だ収束していません。それだけに消費マインドは例年以上に冷え込み、中小企業の皆様の経営に暗い影を落としています。
しかしながら、こんな状況でも手堅く業績を上げている事業者さん、結構います。
彼等に共通するのは、確実に売上につなげる顧客満足の施策の勘所を身体で理解していることです。野球に例えるならば今は、ホームランを狙うのではなく確実に「塁」に出ることに専念すべきです。
<決めるのも評価するのもお客様>
お客様が、皆さんの企業の商品、サービスを「選択する」キッカケは何でしょうか?「明確な理由」がある方もいますが、「何となく・・」という方も多いのが実情です。
いずれにしても良し悪しを評価するのも買うか買わないかを決めるのもお客様です。では、提案側である皆さんは「何処で何に」留意して準備をしていくべきでしょうか?
それは、「アクセスチャンス」「顧客理解」「情報提供・提案」の3点がポイントになります。消費者の購買行動の心理過程では、商品・サービスの選択過程は、AIDMA原則で説明されます。この原則は注目⇒興味⇒欲望⇒記憶⇒購入の英語の頭文字をとったものです。自分の中に明確に生じた問題や沸々と大きくなりつつある問題が在るとき、問題解決につながりそうな商品やサービスに出会うと「試用や購入」と言う行動が生まれる可能性が高くなります。その際に、お客様の注目度が高く、より興味を持ってもらえて、欲しい気持ちや理由を与えて、試したくなるような仕掛けが受け入れられると「選択される」と言う成果に結びつきます。つまり、お客様との接触機会でお客様の関心に合わせて商品やサービスの問題解決能力を伝え、気持ちよく思っていただければビジネスは成功します。
しかしながら、ひたすら、自社の視点だけで商品やサービス開発をしている企業も実はまだ多いです。そしてそれらの企業の多くは「これだけいい材料を使っているのに」とか「これだけ安くしているのに」と言う愚痴をこぼしています。いわば、パスの来ないところでボールが来るのを待っているサッカー選手のようなものです。その意味で、ここではこの3点の勝負処について掘り下げたいと思います。
1.「アクセスチャンス」
お客様が商品やサービスと出逢う機会です。この機会を増やすことも大切ですが、もっと大切なのが質の向上です。お客様のそれぞれの問題解決に相応しい雰囲気や機能がその場所、瞬間に備わっていることが鍵です。
2.「顧客理解」
お客様は自分の抱える問題や欲望について明確に分析しているわけではありません。つまり、どうしたら良いかが分からない方が多いのです。そのためには、個々のお客様のことを良く理解出来ているか否かで成果が左右されます。性別、年齢、年商等の「どんな人、会社」と言う「プロフィール情報」も重要ですが、「相手が意識、無意識に抱えている問題」を理解し察知する力が問われます。
3.「情報提供・提案」
お客様の問題を理解した上で、その問題解決に相応しい情報提供や提案をされるとお客様は嬉しくなります。問題が片付く目途が立ちホッとしたり気分が良くなるからです。自社が伝えたい情報ではなくお客様が知りたい情報、役に立つ提案がポイントになります。
■金綱 潤(かねつな じゅん)
J,sディレクションズ経営研究所 代表
中小企業診断士、ターン・アラウンド・マネージャ-、キャリアコンサルタント
(社)中小企業診断協会東京支部理事兼中央支会常任理事(渉外部 部長)
①経営不振の飲食店の早期売上回復、②地域の潜在力を活用した商品開発・ブランディング、③収益力向上につながる顧客満足度アクションプログラム策定の3つのテーマが得意な支援分野。著書は「顧客満足のすべてが面白いほど分かる本」中経出版等、多数。