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経営者向けQ&A「資本金の額により有利、不利がありますか?」(2011年10月)
齊藤 民治


【質問】

 法人を設立しようと思いますが、資本金の額により有利、不利がありますか?


【回答】

 法人を設立するということは、一般的に個人事業主よりも信用が高くなります。そして、資本金の金額も、1円の法人と1億円の法人とを比較するとわかるように、大きいほうが安定しているとみられます(実際は中身が大事ですが)。したがって、資本金額が大きいほうが見た目の良い会社となります。
 しかし、法人を設立すると、様々な税金を支払わなければなりません。法人の支払う主な税金として、法人税と消費税があります。資本金の金額により、税金の支払額に差異があるのか、主に2つの税について考えてみます。


1.法人税

 法人税は利益に課税されますが、法人の利益と法人税を課税する利益(税法上は課税所得という)には若干の違いがあります(下図参照)。


<課税所得の計算>

s-齊藤民治.jpg


 上記の様に違いがありますので、会社計算の利益に調整を加えて所得を求めます。算式で示すと下記の様になります。

  利益+①-②-③+④=所得


 調整をするもので多いのが、④の会社の費用ではあるが、税金を計算するうえで損金にならないものです。その代表的なものが交際費です。
 交際費は全額損金(税金を計算するうえでの費用)にはなりません。資本金の金額によって損金になる金額が異なります。資本金が1億円超の場合は全額損金にならず、1億円以下の会社は、年間600万円までは支出した金額の1割が損金にならず、600万円を超える部分は全額が損金になりません。
 例を示すと下記のようになります。

<利益が1,000万円で交際費が700万円の場合>

 ①資本金が1億円以下の法人(大法人の子会社等を除く)
  1,000万円+(600万円×10%+(700万円-600万円))=1,160万円に課税
 ②資本金が1億円超の法人
 1,000万円+700万円=1,700万円に課税

 ①と②では540万円の差が出ます。
 これは、法人税が課税標準となる法人住民税の税割額や、法人税の課税所得とほぼ同じ事業税にも影響がでます。税割額や事業税をも合わせた実効税率を40%とすると216万円となります。交際費の例をみましたが、他にも期末の資本金が1億円以下の法人は、法人税率も低いなど優遇されています。


2.消費税

 法人税以外で影響があるのが消費税です。消費税は法人の場合、前々期の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで、消費税を納める事業者になるかどうかが決まります。
 では、設立したばかりの会社はどうでしょうか?1期目、2期目については前々期がありません。この場合、消費税を納める義務があるかないかは資本金の金額によって決まります。1期目、2期目で期首の資本金が1,000万円以上であれば1期目、2期目で消費税を納める義務が生じます。
 このような益税(本来支払うべきものを払わない)をなくす目的で、平成25年1月以降に開始する事業年度では、前期の上半期の売上が1,000万円超(課税売上高に代えて支払給与の額で判定することもできる)の場合には、消費税の納税義務が免除されなくなります。

s-齊藤民治2.jpg

 しかし、平成25年からも1期目は消費税が免除されますし、売上が多くても上半期の給与総額が1,000万円以下であれば2期目も免除されます。
 この他にも、法人住民税の均等割(利益が出ていなくても、毎期支払わなければいけないもの)も資本金の金額により変化します(資本金が大きくなるほど高額、1,000万円以下は同じ)。
 以上のことから、1,000万円未満の資本金でスタートすることが節税になります。ただし、大法人の子会社など適用できない法人もありますし、税制の改正等もありますので、詳しくは税理士等の専門家にご相談ください。
 
 
 
■齊藤 民治(さいとう たみはる)
中小企業診断士
税理士
株式会社T・K・S(Tax・Kind・Support)取締役


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