近藤 徹
はじめに
商店街や商圏の来街者調査などでアンケート調査はよく使われる手法である。その他、新製品の開発のためとか、あるいは震災後の意識の変化を見るためなどで、アンケート調査が用いられる。ここでは、Webによるアンケート調査について解説する。
1.各種アンケート調査のメリット、デメリット
旧来のアンケート調査の方法として代表的なものは郵送による調査(ポスティングを含む)と、調査員による対面の聞き取り調査がある。郵送による調査のメリットは相互に多くの情報をやりとりできることである。調査する側からは、調査主体や調査の目的を丁寧に説明することができる。また、調査項目が多岐に及んでも対応してもらえる可能性が高い。たとえば国勢調査がその例である。デメリットは回収に時間がかかることと回収率が低いことである。回収員を使わずに郵送だけで行うと回収率が10%に満たないこともある。
対面による聞き取り調査のメリットは回収率が100%に近くなることである。デメリットは調査項目が限られることである。A4の調査票を使う場合、ウラオモテ、つまり2枚が限界だろう。長時間にわたってアンケート調査に協力をお願いすることはできない。また、調査員の習熟度によって票数にバラつきがでたり、特定の年齢層の票がかたよったりという傾向が出ることもある。
Webアンケート調査の最大のメリットは調査員を使わずにWeb上のやりとりですべてが済む点である。また、調査項目が多岐に及んでも郵送による調査同様に回答していただくことができる。また、性別、年齢などの属性はあらかじめ把握できている。そして、実際に調査を実施してみると驚くべき速さで調査票を回収できることに気がつく。デメリットは調査対象が調査会社にWeb登録している人たちに限られるということだろうか?PCを使いこなすことが絶対条件のため、高齢者の票が少なかったりして、じゅうたん爆撃的に地域の全戸の票を集めるといったことは不可能である。
2.Webアンケート調査のしくみ
アンケート調査には多くの需要があるため、これを業とする調査会社の数は多い。Webアンケート調査も調査会社が請け負って行われる。ヤフーやグーグルなどの検索エンジンのバナー広告を注意深く見ていると、調査会社がアンケート調査員を募集している広告に気がつくだろう。こうしたバナー広告やさまざまなサイトにリンクを貼って広告し、調査会社はWebアンケート調査員を蓄積する。住所、性別、年齢などの属性が調査員の登録時点で把握できる。つまり、調査時にはすでにアンケート回答者の属性を押さえていると言うことができる。アンケートを実施する際は、アンケート項目を目的に合わせて作成し、特定のアンケート調査員、例えば、「A町に居住する女性」をスクリーニングして、メールにアンケート票を添付して送信し、返信を待つ。一般的なアンケート調査では3日間ほどで目標数に達する。目標に達しなかった場合や年齢層にバラつきが生じた場合は再送するか、年齢層を絞り込んだターゲットに送信するといった作業を繰り返す。さて、アンケート調査員に対する報酬はどうなっているのか?一度のアンケートに対する謝礼はほんの数円程度である。以外に安いと思われるかも知れない。金銭が直接、支払われるのではなく、ポイントの形で蓄積され、ある程度たまった時に換金可能であるか、何らかの交換価値を持つポイントとして行使できるというしくみが多い。少しだけアフィリエイトのイメージに近いかも知れない。
3.Webアンケート調査の例
以下に、隣接するA市とB市で行ったWebアンケートによる消費者動向調査の例を挙げよう。A市の人口は約12万人、B市の人口は5万人である。実施期間は3日間である。モニター数は調査会社に登録されているWebアンケートの調査員である。

一般的なWebアンケート調査の回収率は20%程度だが、この例では消費動向に特化した質問内容だったため、回収率は低めになっている。
アンケート調査の票数、標本数の確からしさは以下の式で示される。
N=(λ^2×p×q)/d^2 ・・・標本数
λ:信頼水準(信頼水準95%の場合λ=2)
p:当該比率(0.5)
q:1-p
d:標準誤差(3%~5%)
N=1000~500程度
この調査では、Webアンケート調査の合計票数が232票と想定よりも少なく、なおかつ確からしさを追求するために補完的に対面による聞き取り調査を実施してN=標本数が500を超えるようにした。
おわりに
Webアンケート調査と旧来の調査の調査結果に差異はあるのか?この問いに対して、実は筆者も研究中であるとしか言えない。しかしながら、上記の例の場合も、調査結果は事前の想定の範囲内に収まっており、不都合は感じなかった。上記の例もそうだが、補完的に他の調査と組み合わせるなど、状況や目的に応じて使って行けばよいのではと考えている。調査に携わる機会のある方、あるいは調査結果を分析する方のご参考になれば幸いである。
■近藤 徹
中小企業診断士
中小企業診断協会東京支部中央支会 国際部