尾崎 多佳代

 
「ビッグデータとは・・・」
 巷では、今、ビッグデータが大流行しています。
 そもそもビッグデータとは何なのでしょうか? 大量のデータ? 今まで処理することのできなかった新しい形式のデータ? 新しい技術?
 実は、明確な共通の定義があるわけではなく、従来の技術だけでは分析できなかったような大量で様々なデータの集合をビッグデータと呼ぶことが多いようです。
「ビッグデータの例」
 ビッグデータの例としてよく語られる事例として、ソーシャルメディアの情報を分析して、人々の興味・関心や流行、世の中の動向を読む、具体的には、商品の評判分析や株価の予測等が有名です。また車のようなマシンにセンサーを付けて、たくさんの様々なセンサーから収集される情報を集めて分析するM2M(マシン to マシン)も注目されています。これにより、渋滞情報や気象情報等、今まではリアルタイムに遠隔の情報を入手することが難しかった分野や、その後の事象を未然に防ぐ(渋滞回避等)を予測することも可能となります。先の事例は、一企業というよりも全国規模の政府や公共機関というイメージが強いですが、「データを読む」という本質から言うと、必ずしもビッグデータである必要はなく、眠っている(活用されていない)企業内外の情報から新しい発見の可能性を秘めた宝の山として見直してみることが重要ではないかと思うのです。
「データは宝の山」
 どの企業にも存在する、販売データ。売上管理や予算策定に活用するのは当然ですが、販売傾向を、業種・業態別、顧客・顧客特性別、商品・商品特性別等いろいろ切り口を変えてみることにより、また業種別の市場動向等外部情報や経済情報と掛け合わせて分析してみることにより、商品別、顧客別のポートフォーリオ・マネジメントに応用させることが可能です。特に顧客情報(購買情報や顧客の声)は、今後のマーケティング戦略立案のために非常に重要な示唆を与えてくれる重要な情報となります。
 特にB to Cのコンシューマ向けビジネスをされている方は、不特定多数のお客様相手で、一口に顧客と言われても分からないという感覚かもしれませんが、そんな企業にはアンケートがお勧めです。商品にアンケートはがきを付けても良いですし、専用のホームページを作成したWebアンケートも可能です。自社の商品を愛用いただいているお客様の「なぜこの商品を選んでくださったのか」の理由を知る、「もっとどうしてほしいのか」の要望を聞く、きっと今後の競合他社との差異化戦略立案のためのヒントがもらえるはずです。案外自分が思っている自社の強み。弱みと、お客様から思われている強みは違う可能性があります。客観的に見つめなおすよい機会になるのではないかと思います。
「データとの付き合い方」
 アンケート調査も、データを分析するときも共通するポイントは「仮説も持つこと」です。この分析結果によって、次にどんなアクションをとるのか、ストーリーをあらかじめ決めて、アンケートの設計やデータ分析の準備に取り掛かることをお勧めします、やみくもにデータを振り回しても時間と資源の無駄使いになってしまいます。この分析によって、何が知りたいのか、その結果次に何のアクションをとるのかをあらかじめ仮説を立てて企画しておくことが重要なポイントです。
 この分析をするためには、必ずしも高スペックのマシンや分析ツール、大量のデータが必要というわけではありません。まずは仮説を立て、情報を収集し、エクセルからでもデータを見ることを始めてみませんか。きっと新しい一歩を踏み出すために必要な何らかのファクトが貴方に勇気を与えてくれるはずです。
 
 
 
■尾崎 多佳代(おざき たかよ)
東京都中小企業診断士協会中央支部 執行委員
システムアナリスト