鴨志田 栄子
 ~「報・連・相」を効果的に機能させるために~

 職場において「報・連・相」は大切なコミュニケーションシステムである。一般に「報・連・相」は、部下が上司に行う行為とされている。しかし一方通行のコミュニケーションではない。上司がしっかりと受け止めなければ、「報・連・相」は効果的に機能しない。上司も「報・連・相」の受け方を心得ておく必要がある。
1.「報・連・相」のはじまり
 1982年、当時、山種証券の社長だった山崎富治氏が、組織の動脈硬化を防ぎ、活性化させるには、報告・連絡・相談を徹底させることが大事ということから、全社員に野菜のホウレン草を配って「ほうれん草運動」を行ったのがはじまりである。
 ○「本物のほうれん草に、光と水と肥料が必要なように、会社の”ほうれんそう”にも水と光が必要である」   
  ⇒ ここでの「水」は人間関係を、「光」はやりがいのあるポストを意味する。
 ○「”ほうれんそう”は”賛成”土壌には育たない」  
                   引用文献:山崎富治著『ほうれんそうが会社を強くする』ごま書房
2.報告と連絡の違い
 報告も連絡も、同じように捉えられがちだが、厳密には、以下に示すような違いがある。報告とは、与えられた任務について、その遂行の状況・結果を述べることである。一方、連絡とは、関係ある人々に情報などを知らせること、相互に意思を通じ合うことである。
3.「報・連・相」の受けるときの留意点
(1)報告を受けるときの留意点
① 報告の内容を判断する(進捗報告/結果報告、良い報告/悪い報告など)
② 適切なタイミングで報告が行われているかを意識する
③ 客観的事項と主観的内容を聞き分ける
④ 進捗報告の場合は、現状報告の他に、今後の見通しをたてているかを確認する
⑤ 結果報告の場合
 ア.悪い報告の時は、報告者を叱責するよりも問題解決を優先する
 イ.良い報告の時は、理由をつけて褒めると同時に、自分の嬉しい気持ちを伝える
⑥ 報告手段が適切かを確認・指導する(口頭報告/メール報告/報告書)
(2)連絡を受けるときの留意点
① 他にも連絡をすべき関係者はいないか、確認する
② 連絡内容を確認した旨のレスポンスを行う。可能なら、復唱することが望ましい
③ 連絡に対する感謝の気持ちを示す
④ 連絡手段が適切かを確認・指導する(口頭連絡/メール連絡/メモによる伝言)
(3)相談を受けるときの留意点
① 解決を急がない
② 自分の考えは、後回しにして、まずは客観的な状況把握に努める
③ 何がおきているのか、どのような状態なのか、
   6W3Hや因果関係を中心に事実を確認し、整理する
④ 相談者が、今起きている事実についてどのように感じているのか、
   相談者の気持ちや感情を受けとめる
⑤ 本心は、どうありたいのか、どうしたいのか、何を望んでいるのか、
   言動と気持ちが一致しているのかなど、相談者の真意を 確認する
⑥ 以上の後で、必要ならば結論に導く
⑦ 相談者の心理状況によっては、話しを聞いて悩み事を整理してあげれば、
   本人が解決策に気づくこともあることに留意する
⑧ 常に、一緒に考えていく姿勢を示す
■鴨志田 栄子
中央支部国際部長
中央支部認定マスターコース「稼げる!プロコン育成塾」塾長
有限会社CSマネジメント・オフィス代表
中小企業診断士、キャリアコンサルタント、消費生活アドバイザー、メンタルサポーター