石川 秀朝

 「宝くじで6億円当たったら、あんなことやこんなことをしたい。」なんて思ったことはありませんか。こんな夢を別の言葉で例えると「妄想」となりますね。あなたも会社をよくするためにもっと妄想をしてみませんか。
 私も幼少の頃、「大きくなったら野球選手になる、弁護士になる」なんて思ったことがありました。またドラえもんを見て「あんなふうに自由に空を飛びたいな。空を飛べたら学校まで数秒で通学できるな。外国までひとっ飛びし、行ったことのない知らない場所で沢山の友達を作りたいな。」なんて想像して楽しんでいました。これは夢ではなく私の妄想だと思っています。
 妄想の意味を調べると一般的には、「根拠もなくあれこれと想像すること。また、その想像」と解釈されます。別の意味では、仏語として「とらわれの心によって、真実でないものを真実であると誤って考えること。また、その誤った考え。妄念。邪念。」と解釈もされています。医学的には「根拠のないありえない内容であるにもかかわらず確信をもち、事実や論理によって訂正することができない主観的な信念。現実検討能力の障害による精神病の症状として生じるが、気分障害や薬物中毒等でもみられる。内容により誇大妄想・被害妄想などがある。」とされています。
 ここでは妄想の定義を議論するのではなく、最初の「根拠もなくあれこれと想像すること」が妄想であるとして理解してください。
 現在の私の妄想は、「少しでも多くの人を幸せにすること」であり、この妄想をどんどん膨らませています。一体どんなふうに膨らませているのでしょうか。
 以下に一例を記載します。
①私と関係のある人がみんな幸せ(笑顔)になっている。
②どうすれば幸せ(笑顔)になれるのだろう。
③幸せ(笑顔)の定義は何だろう。
④会社であれば、売上拡大、利益アップ、従業員満足度・お客様満足度アップ、かな。
⑤売上拡大であれば、年率いくら伸ばせばいいのだろうか。その方法は?
ターゲット市場、お客様をどこに設定するのか。何を提供すべきか、その方法は?
⑥利益アップであれば、どれだけ増やせばいいのだろうか。その方法は?
高付加価値商品(サービス)創出方法は?、原価改善策は?、販管費抑制策は?
(年率何パーセントの利益率が必要、売上高営業利益率**%維持)
⑦従業員満足度は、どうすれば高められる(得られる)のだろうか。その方法は?
仕事の充実度、お客様の笑顔、感謝の言葉、給料、休暇
 では、具体的に何時までに何をどうすればいいのかを考えよう。
 ・・・・・と上記のように妄想しています。
 ここで注意するのは、妄想する際は、思いつきで行うのではなく体系立てて行い、整理することです。思いつきで妄想をしていると限りなく妄想が膨張し、整理が出来なくなります。
 また大事なのは、妄想をする際に短期間で到達できるゴールを決めることです。
 実現できそうな妄想のゴールは目標値となります。何時になるか時期が不明(目標値の実現達成時期未定)な妄想のゴールは夢であり、全員一丸での努力は継続しません。
 たとえば、現在年商5億円の企業であれば、翌年度目標値の年商5.5億円(年率10%の伸長)は、経営計画を立て全社員一丸で努力すれば実現できるかもしれませんが、目標を年商50億円(現在の10倍)に設定すれば何時頃達成できるか計画が無ければ困難ですね。この場合は中期経営計画を立てた上で短期(クォータ、半期、年度)経営計画を立案し、実現するようにしましょう。
 参考までに体系立てて整理するために以下の「経営戦略策定プロセス」を記載します。
20140826.png
 このように、「どこの市場(誰に)」で「何(ニーズ)を提供する」ために「どのような仕組(手段)を立案」し、「リソースを活かす」かが、経営者が力を発揮する際の最大のポイントです。
 そして、経営者が描いている妄想を具体的な戦略に落とし、会社一丸で確実にゴールに到達するために、お手伝いできるのが、我々診断士だと思っています。
 皆様方も「妄想」を具現化した「中期経営計画書」を作成・全社員で共有し、「社員全員が共通の目標に向かって活動・妄想を現実化」するための第一歩を踏み出してみませんか。
■石川 秀朝(いしかわ ひでとも)
中小企業診断士 ITコーディネータ 事業再生アドバイザー 第一種衛生管理者