Global Wind (グローバル・ウインド)

国際部 水口 淳一郎

1.はじめに

  最近は、コンビニエンスストアやレストラン、ファーストフード店などでも、日本人だけでなく、多くの外国人が働いていますし、駅や街、買い物しているときなど、外国人観光客に会わない日も、ほとんどなくなりました。国際化は身近な生活から感じられるように、着実かつ迅速に進んでいることが分かります。

 

2.過去最高を更新した訪日外客数

先月、日本政府観光局(JNTO)から昨年(2017年1月~12月)の訪日外客数(日本に訪れた外国人旅行者数)が発表されました。その数、前年比19.3%増(465万1千人増)の2,869万1千人に!

JNTOは、訪日外客数の統計をとりはじめたのが1964年以降、過去最多の訪日外客数を記録したとのことです。

訪日外客数の国別の割合を表すシェアを比較すると下記のとおりです。

訪日外客数全体のうち、東アジアからの訪日外客数が全体の74%を占めており、東南アジアとインドを含めると、85%を占める結果となっています。訪日旅行プロモーション効果の結果、日本からの距離が近く、短期滞在に適した旅行先として定着してきているようです。

 

水口先生1

出所:日本政府観光局(JNTO)より

 

訪日外客数の対前年比の増加率を高い順に並べてみると、下表のようになります。

 

そのなかでも全体の増加率19.3%を上回る国は6カ国(ロシア、韓国、ベトナム、インドネシア、フィリピン、香港)です。アジア勢がほとんどを占めるなか、ロシアの伸びが著しいのは着目ですね。訪日旅行への働きかけや査証発給要件が緩和されたことが追い風となりました。また、増加人数では、韓国からの訪日外客数が200万人以上増え、全体の増加人数の半数弱を占めました。

水口先生2

出所:日本政府観光局(JNTO)のデータをもとに著者作成

 

以上のように、訪日観光客が顕著に増えている国々がある一方で、日本で外国人街としてのコミュニティを形成している国もあります。

 

 

 

3.日本で外国の文化を感じることができる街をご紹介

(1)神楽坂(かぐらざか)⇒フランス語圏の文化を感じる街

夏目漱石や石川啄木など、著名な文豪にもなじみ深い街として知られていますが、神楽坂は、別名「プチ・フランス」や「日本のモンマルトル」とも呼ばれる街としても知られています。神楽坂の小路には、パリのモンマルトルの街並みに似た石畳も多く見られます。

写真3.神楽坂①

 

それは、1952年に旧東京日仏学院として創立され、今は、フランス語圏の多様な文化を学ぶことができるフランス政府公認の語学学校・文化センターである「アンスティチュ・フランセ東京」があることに由来します。現在は、フランス語を学べるだけでなく、フランスの文化に触れることができる様々なイベントなども開催。フランスの語学や文化の情報発信地となっています。

写真4.神楽坂②

 

周辺には、フランス関係の施設が数多く、フランス人もたくさん住んでいることもあり、美味しいフレンチ・レストランも数多くあります。今回、これを機会に家族と一緒に行ってきたのが、「メゾン・ド・ラブルゴーニュ」です。ランチは肉か魚から選択し、ニンジンのエスプレッソスープも頂きました。フランス人スタッフの温かい接客や素敵な内装で、日本であることを忘れてしまう雰囲気で、居心地の良い空間でした。

写真5.神楽坂③

 

その他にも、神楽坂には、クレープやガレット、ワインを楽しめるレストランのほか、フランスのビスケットやキャラメルのショップもあり、身近にフランスを感じることができました。

 

(2)高田馬場(たかだのばば)⇒ミャンマーを堪能する街

高田馬場は学生の街として有名ですが、1988年の反政府運動をきっかけに日本に住む人が増えてきたとのことです。高田馬場駅周辺に、1つの場所に集積しているわけではないですが、雑貨店やミャンマー料理を楽しめるお店が10件以上あります。いまは「リトル・ヤンゴン」として呼ばれることもあるそうです。

今まで一度もミャンマー料理を食べたことがありませんでしたので、これを機会に、どのような料理なのか家族と一緒に行ってきました。私が今回訪問したお店は、ミャンマー料理の専門店「ノング インレイ」です。

ミャンマーは、地理的には中国、ラオス、タイ、インドに接している国ですが、このお店では、タイとラオスの国境近くに住むシャン族の料理を提供しています。今回注文したメニューは、次のとおり。

(1)牛スープそば・・・米で作られたフォーのような麺に、牛をベースとしたさっぱりとしたスープが良く合っていました。

(2)シャン風高菜漬け炒めともち米・・・シャン風の高菜の古漬けを、生姜と豚や鶏肉で炒めた一品です。やや油が多めでしっかりとした味付けのため、お酒が進みそうな料理でした。ごはんは、タイ米で炊いたライスもありましたが、もち米を注文。もち米を食事のごはんとして食べることはあまりないので、新鮮でした。

写真6.高田馬場

 

4.おわりに

  2020年に向けて、これから益々訪日外客数が増えるとともに、労働力人口を補填するため外国人労働者に期待が高まっています。進みゆく国際化に向けて、外国の政府公認機関や外国人街などに足を運びながら、様々な文化に対する理解をより一層深めていければと考えた次第です。

 

■水口 淳一郎(みなぐち じゅんいちろう)

2016年7月中小企業診断士登録、東京都中小企業診断士協会 中央支部 国際部。

IT会社で培った新事業立案やソリューション営業経験を活かした支援活動を実施中。

システム監査技術者、上級システムアドミニストレータ、物流技術管理士、

健康経営アドバイザー(初級)。