Global Wind (グローバル・ウインド)

国際部 グローバルウインド編集部

0.はじめに
 中央支部国際部が毎年度オープンセミナーとして開催している国際部セミナー(2023年も誠意準備中)。今回は、2017年(開催)の国際部セミナー「実践への気づき!海外マーケティング徹底解剖」に登壇された大西澄江さんに編集部としてインタビューをさせていただきました。

1.2017年度国際部セミナーにご登壇されて
編集部(以下―)「この度はお時間をいただき、ありがとうございます。初めに大西さんの現在されている事業について教えてください。」

大西さん「私は、『昭和ビンテージ(R)洋品店スミックス』の店長をしております。良家のご令嬢が大事にご自宅で保管されている昭和20年代から40年代のお洋服を復活させ『世界に誇るべき文化である日本の『昭和ビンテージ(R)』の魅力を伝えたい』というミッションを掲げています。当社は、実際にご令嬢の家に出向いてお話を伺い、エピソードとともに思い出のお洋服をお預かりし、販売しています。日本全国で催事場やECを通じて販売(一部は店舗でも販売)し、テレビドラマなどへの衣装レンタルも行っています。」

写真1_昭和ビンテージ洋品店スミックス写真1:昭和ビンテージ(R)スミックス

-昭和ビンテージ(R)。昭和のファッションや音楽、食べ物、昭和風なインテリアのテーマパークや飲食店など昭和文化が人気ですね!ご登壇された2017年の国際部セミナー※は開催レポートや国際部員の方からも大変盛り上がったと伺いました。セミナーではどのようなお話をされたのでしょうか。

大西さん「2015年にスミックスを立ち上げて2年目。事業を推進するにあたり、公的支援機関に相談するなど様々な施策・制度を活用させていただきました。その中で、海外展開に関連した中小機構さんの『中小企業越境ECマーケティング支援事業』(補助金)に採択されまして、ニューヨークでの展示会が決まりました。そんな時、親しくしている国際部所属の中小企業診断士の方にお声がけいただき、登壇させていただきました。
セミナーでは、ニューヨークの展示会がAll About Japanさんにも連動していて英文記事ができていたこと、また、Instagramのフォロワーが3,000~4,000人に伸び、その半分が外国人だったのでびっくりしたことなど、今後海外展開をされる方や支援者の方のご参考になればとお話をさせていただきました。」

※大西さんが登壇された2017年に開催された第9回 国際部セミナー 開催報告「実践への気づき!海外マーケティング徹底解剖」(グローバル・ウインド)
https://www.rmc-chuo.jp/seminar/hokoku/2017110601.html

写真2_2017年国際部セミナー写真2:第9回 国際部セミナーの様子

写真3_sumixInstagram写真3:スミックスInstagram

―Instagramのフォロワーが3,000人ってすごい反応ですね!なお、実際にセミナーにご登壇されてみていかがでしたか。

大西さん「中央支部のみなさんやSNSマーケティングをされている登壇者のヴィヴィアンさんとのお話は勉強になりました。また、主催者の方や参加者の皆さまがとても暖かくお話を聞いてくださって、私自身も自分の活動を振り返る良いきっかけになりました。しかも、実行委員の方に「セミナー会場にスミックスの雑貨を持ってきていいよ」と言っていただきまして、いろいろ持っていったらそれがめちゃめちゃ売れまして。まさにソールドアウト状態でした(笑)。なお、お名刺交換をさせていただいた方からお仕事のお問い合わせもいただき、本当に感謝しています。」

2.インバウンドに向けた展開(2017年~2020年)
―2017年はインバウンドが注目されてきた頃ですね。2020年の東京オリンピックに向けて、訪日外国人も急増していました。その中で大西さんはどのように海外展開を進められたのでしょうか。

大西さん「ニューヨークでの展示会の後も、海外から時折InstagramのDM(ダイレクトメッセージ)でお問い合わせをいただきました。香港の小売店にアクセサリーを卸しましたし、北欧のファッションメディアからは写真の使用許可に関する問い合わせなどもありました。
国際部セミナーの時に越境ECについて教えていただき、『直接海外へ行けないならECで販売しよう!』と、ターゲットや商品に合わせて様々なマーケットプレイス(電子商取引サイト・プラットフォーム)を使いました。」

―どんなマーケットプレイスを利用されましたか。

大西さん「『Etsy(エッツィ)』というヴィンテージ・ハンドメイド専門のマーケットプレイスでは、テストマーケティングをしました。「eBay」では、ご令嬢の家に伺って商品を仕入れる時にスミックスでは対象外になる男性もので人気のある縫製の素晴らしい三つ揃えのスーツなどを販売したりしました。

―海外に向けても展開されていたのですね。その際気にされていたことなどはありますか?

大西さん「2018年に『昭和ビンテージ』の商標登録をしました。自分の思いが詰まったブランドですし、海外でも展開しているので、弁理士に相談するなど知的財産については意識しています。」

3.新型コロナ以降(2020年~現在)
-海外展開に取り組まれている中、2020年の3月、全世界を新型コロナウイルスが襲いましたが、影響は受けられましたか。

大西さん「海外への販売はオンラインで展開していたので影響はなかったですが、売上の多数を占める国内販売が大きな影響を受けました。
昭和ビンテージ(R)は、どれも1点ものでありそのお洋服に込められたストーリーを説明することで価値をわかって買っていただけること、EC販売の場合は1個1個サイトにアップする必要があり、在庫の保管コストがかかることもあり、展示販売が合っていると感じて積極的に展開していました。その中で、昭和ブームやSDGsでの資源のリサイクルの視点で注目いただき、2020年前半には蔦屋書店六本松店での展示、新宿の大型商業施設への催事出展が決まりました。ただ、新宿に出店していた間に新型コロナウイルスの感染が急拡大し、催事にいらっしゃるお客様の数が急減し、国内販売が大きく打撃を受けてしまいました。」

―打撃を受けられたのですね…。テレビ東京系「ガイアの夜明け」にご出演されたのもその頃でしょうか。

大西さん「はい。2020年3月3日放映でしたので、ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大で行動制限が出始めている頃のことです。密着取材を受けておりまして、2020年2月の撮影ではマスクをしていないのに、3月の撮影ではマスクをしていましたので、1か月でこんなに違うのだと思い知らされました。「ガイアの夜明け」放映後に大型商業施設での催事も決まっていましたが、延期になったりしました。」

写真4_ガイアの夜明け写真4:ガイアの夜明け放映

―放映による反響はいかがでしたか。

大西さん「ありました。放映中には当サイトに9万アクセスあり、その後も全国の良家のご令嬢の方から「お洋服をおゆずりしたい」という問い合わせも数多くいただきました。また、延期になってテレビ放映から6か月経過し、シルバーウイークに開催した催事にも、3月の放映を見た方が訪ねてきてくださり嬉しかったです。それでも商業施設に来られる方はコロナ以前に比べ半分だったそうです。ただ、積極的に取り組んでいた催事の回数もへってしまう中で、新しいことを思いつきました。知人に話したら、『そんなことできるわけない』といわれて落ち込んでしまったのですが…。」

後半編では、新型コロナウイルスの間に立ち上がった新しい計画や未来について聞いてまいります。

■グローバル・ウインド編集部
東京都中小企業診断協会中央支部国際部の診断士が編集長の元、リレー形式で国際にからむコラムをつづっております。ご感想やトピックのご要望など、お待ちしております。
kokusai@rmc-chuo.jp