大谷 秀樹

【質問】
 ブログを立ち上げたのですが、更新がなかなかできません。
【回答】
 ご安心ください。多くの方が抱える悩みです。更新できない理由を訊くと、「何を書いたらいいのかわからない」「時間がない」というお話を多く伺います。結論としては、「何を書いても良い」「時間をかけない」ということなのですが、いくつかポイントがあるので、ご紹介しましょう。
1.テーマは幅広くていい。そして、時にはプライベートのことも含めましょう。
 まず、テーマ(話題)です。テーマについては事業内容に相応しいものを、とお考えの方が多いと思います。ブログは外部に向けてメッセージを発信するものですから、その内容は企業のイメージや信用に関わってきます。また、事業内容を知ってもらうためにも、それに沿ったテーマとすることが理想的です。でもそれは、テーマを限定してしまうことにもなるため選択の幅がなくなり、書きにくくなることにも繋がります。事業内容に沿ってテーマを設けることは大切ですが、それにとらわれすぎずに「こだわらない」ことも大事です。
 また、仕事のことだけでは、ネタがなかなか続きません。また、仕事に関することは、公にできないものも多くあります。そこで、ある程度、書き手のプライベートも取り上げることをおすすめします。ブログは、ある程度の人間味があった方が関心を持たれやすいものです。これは、ご自身を読者の立場に置いてみるとご理解いただけると思いますが、書き手の人物像が見えた方が、親しみがわくためです。また、現代は製品に差異が少なくなりましたので、何を買うかではなく、誰から買うかを選択する時代とも言われています。「この人から買いたい」「この人と取引したい」と思ってもらえるように、売り手の人物を伝えていきましょう。実際には、趣味や最近の関心事など、内面が少しわかる程度で構わないと思います。
 とはいうものの、プライベートに関して書くことに、抵抗がある方もいらっしゃるでしょう。その場合には、SNS(フェイスブックなどのソーシャルネットワークサービス)を活用する方法があります。SNSには読者を限定できる機能があります。SNSに企業のページを設け、プライベートについてはSNSに書き、オープンなブログには業務のことを中心に書くというように、使い分けるのです。そして、既存の顧客や見込み客にはSNSを案内し、その他一般の方に対してはブログを案内すればよいでしょう。ただし、家族のことなど、私生活が特定されるようなことは、セキュリティ上注意が必要です。
2.上手く書こうとしないこと。
 さて、時間がないという理由は、執筆に時間がかかることによるものと思います。その場合は、質より量だと割りきってしまいましょう。また「上手く書こう」としている方も多いのではないでしょうか。企業の信頼性やイメージにも関係しますのでどうしても背伸びをしたくなるところですが、「過度な品質」は不要で、「適度な品質」を心がけることも大切なことだと思います。完成度の高い投稿よりも、世間話程度の軽いもののほうが読む側も気楽に読めるものです。また、ちょっとした投稿がきっかけとなって、コメントのやりとりなどを通じて、話が発展することもあります。雑談的に、読み手と一緒に話題を拡げていけばいいや、と考えると完成度はそれほど必要ではないでしょう。
3.こだわらず、背伸びせず、質より量と割りきってみましょう。
 このように、ブログの運用は「こだわらない」ことや「割りきる」ことがコツです。世間話程度の話題で良ければテーマに困ることは少なくなりますし、上手く書く必要はないとわかれば、短時間で対応できるのではと思います。低コストで情報発信できるブログは中小企業にとって大きな武器です。肩の力を抜いて上手く活用していきたいですね。
■大谷 秀樹(おおたに ひでき)
中小企業診断士。大谷事務所代表。広告会社で表現戦略等の立案業務に20年以上従事した経験を活かして、企業内外のコミュニケーション分野を中心に、組織活性化、販売促進、新ブランド開発などの支援を行う。東京商工会議所エキスパートバンク登録専門家。