私は、本年2016年に中小企業診断士に合格・登録、国際部に入部いたしました。今までの記事は出張や滞在のお話が多い中、出張の機会もなく、診断士受験を志してから海外旅行も行けていない事もあり、日本で感じた身近な国際化について書かせていただきます。

 

昨年、韓国のグループ会社の専門職チームが、私のいるオフィスに短期出張をしていたのがきっかけで世代の韓国人ウェブデザイナーのAさんと出会いました。母国にお子さんを残し、日本に来ているときいて、そのプロ意識に尊敬し、意気投合し、仲良くなりました。(Aさん自身はお子さん思いの愛情深い方ですが、ご主人とご親戚の方の理解があり、キャリアアップのためと送り出してくれたそうです。先日も仕事でフィリピンにいるという連絡があり、世界を超えてアクティブに活躍しています)

 

私も10年ほど前、1か月アメリカに短期留学した時、ホストファミリーの惜しみないフォローに感動した経験があります。アメリカ滞在時、世界の様々な国の方と比較すると東アジアの国々は見た目や文化のベースが似ていて、「ご近所だな」と感じることが多く、韓国をはじめ東アジアの国々には親近感を持っています。ご縁があって「世界ではご近所」である韓国から日本に来られていることに嬉しく感じました。

1. 同僚との交流からの気づき

(1)コミュニケーションはたどたどしい英語とメッセージアプリの自動翻訳で可能

以前、韓国語を勉強した時、ハングルの母音の多さについていけず、挫折した私と、大学で日本語は習ったけど、日常会話まではわからない彼女。2人のコミュニケーションは、たどたどしい英語と走り書きのような筆談・図解、メッセージアプリ『LINE』の同時翻訳チャットで行っていました。

01_メッセージアプリ画面

右図が実際のメッセージアプリの画面です。コミュニケーションをとる目的が、感情の共有と簡単な会話であれば、文字以外の画像やスタンプを交えながら意思伝達が成り立つのだと感じました。

 

同時翻訳について話した時、彼女が「人工知能(AI)の進展で翻訳精度があがるから、コミュニケーションは大丈夫!」といっていたことがありました。その通り、自動翻訳の記録がビッグデータとして蓄積され、人工知能(AI)の進歩により、翻訳精度があがれば、言葉の壁は低くなることでしょう。

 

(2)自国のブログで書かれた情報を信じる

彼女は滞在中、よく「ここにいきたい!」とリクエストしてくれました。日本人にも大人気のカフェ等もありましたが、たまに日本人の私も詳しくは知らないものをリクエストしてくることもありました。「なんで知ったの?」ときくと「ブログ」ということでした。

 

「日本のお土産として韓国でお世話になっている方にソンバーユ(美容クリーム)をプレゼントしたいのだけど、どこに売っているの?」と聞かれたことがあります。彼女は、「ソンバーユは日本の老若男女、特に日本女性のほぼ全員が使っているとブログで見たから」と答えました。

「ソンバーユは、馬油をベースにした有名なクリームの1つですが、日本には圧倒的なシェアを持つ美容クリームはないのよ」と伝えましたが、「ソンバーユ」がとても気になる模様でした。深夜でお店が閉まっている時間だったので、インターネットで探し、売っているドラッグストアを伝えました。

実際に紹介されたブログを教えてもらったものの1つ(ブログの画面)は、メッセージアプリのスタンプのような絵とともに熱烈に紹介をされていました。

02_ブログの画面

ブログの日本語訳
【ソンバーユ馬油クリーム】イ・ハニさん※も半年間使っているクリーム!

※イ・ハニさん。ミス・コリア優勝者、「ミス・ユニバース世界大会」に韓国代表として出場した有名モデル・女優

 

イ・ハニさんが使用するソンバーユ、初めて知ったソンバーユに 目が光って~~ !!!興奮させた、その効能に♡ 運命だったの〜(笑)

 

以下略

 

このようにブログで、芸能人の方のコメントと愛らしいスタンプで、効果をアピールされていれば、「ほしい!」って思ってしまうかもしれません。

 

観光庁「訪日外国人消費動向調査」によると、平成27年(2015年)1-12月期に訪日外国人が出発前に得た情報源で役に立ったものについてグラフを下図に示します。

旅行会社のホームページや旅行ガイドブック、日本政府のホームページを超えて、「個人ブログ」がトップになっています。特に、韓国の方は6割近い方が「個人のブログ」があげています。国の施策でもブロガーを国から呼んで記事にしてもらうツアーがあるそうですが、まさに彼女のようにブログの情報を信じる方がいるからなのですね。

 

図表 訪日外国人出発前に得た旅行情報源で役に立ったもの(複数回答)

03_JTA訪日外国人実態調査訪日前に見て役立ったもの

資料 観光庁「訪日外国人消費動向調査」平成27年(2015年)1-12月期

http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

 

越境ECでも有効な施策になるかもしれません。越境ECついては2016年6月に後藤さえさんが「本当にお手軽?越境EC」を書かれています。
http://www.rmc-chuo.jp/globalwind/2016061601.html

 

2、新しい国際化にとって大事なもの

訪日外国人の増加や国際的にビジネスや様々な場面で交流を行う機会が増えることで、国際化は海外に出かけることだけではなく、日本にいても感じるようになりました。また、ビッグデータやAI(人工知能)による自動翻訳の性能向上で、言葉の壁も低くなっていくと思われます。

以上のトレンドで、場所(海外か日本か)や言語の習得に依存しない「新しい国際化」の訪れを感じます。その時に国際化にとって大事なものは2点と感じています。

 

  • 伝えたい気持ちや本質を的確に表現するキャッチコピーとしての翻訳

日本語も日々新しい言葉や表現が登場しています。言語の置換としての翻訳は機械に代替され、人間の行う翻訳は、その国に根付いた文化や時代の空気をどのような表現で伝えるべきかいうといわゆる「キャッチコピー」をつけるような作業になっていくのだと感じます。

 

(2)相手の国の文化や価値観の深い理解

国際化の機会が高まる中、「ある国の方」という1つでとらえるのではなく、「ある国かたきた相手の方個人」として個人の状況(年齢、触れてきた日本文化や個人としてのバッググラウンド、嗜好など)をわかったうえで、その方にどう伝えられるかを考えていくことが重視されてくると思います。

手段として、スタンプなどの非言語コミュニケーションやブログを含め、様々なツールを適切に用いるかというのも重要と感じました。

 

国際部の一員として、語学の習得はもちろんのこと、相手の文化や価値観を理解して、適切なおもてなしができるよう、心がけてまいりたいです。

 

■藤田 有貴子(ふじた ゆきこ)

平成28年(2016年)中小企業診断士登録。マーケティング調査会社、シンクタンク、事業会社のインハウスで調査分析マーケティング業務に従事し、現在は中小IT企業にて新規事業プロジェクト担当。企業にある資源とオープンデータで安価に調査を行いつつ、下からチームで提案する形と仕組み化でじわじわ推進していくスタイルを好む。今年の目標は、コンプレックスだったスピーチと英語の解消。中央支部国際部所属。