グローバルウィンド

グローバルウィンド「中央支部国際部「国際派診断士リーダー養成講座」(国際社中)第2回開催報告 – 日本にいながらにしてできる市場調査・販路探索」(2025年8月)

2025年7月21日

中央支部・国際部 伊藤 英幸

はじめに

2025年7月1日(火)、中央支部国際部主催による2025年度第2回「国際派診断士リーダー養成講座」(国際社中)が中央支部事務所とオンラインのハイブリッドで開催されました。今回のグローバルウインドでは内容を報告します。

国際社中とは

中小企業の経営支援を行うなどの活動において、事業の海外展開について、関わったことはないがその方法を知りたい、海外展開の支援をやってみたい、また支援要望を受けたがどうすべきか分からない、と感じる方も多いのではないでしょうか。

中央支部国際部は、「海外に関わる中小企業診断士の知見向上を目指した機会の提供」を方針に挙げ、海外展開支援のために必要な基礎知識を身につけ、海外展開支援の実務に携わりたいと考える診断士会員に、その目標へ一歩も二歩も近づくための機会を提供する講座の1つとして、「国際派診断士リーダー養成講座」(通称「国際社中」)を開催しています。

2025年度よりリニューアルした国際社中では、海外展開支援に取り組む診断士としての基礎知識を得るべく、テーマに精通した講師にご登壇いただきます。第2回は7月1日(火)三多摩支部副支部長である酒向敦(さこう あつし)さんをスピーカーとしてお迎えし、上記のテーマで解説頂きました。今回は会場とZoomのハイブリッド開催となり、94名の参加となりました。

セミナー模様1(実行メンバーにより撮影)

日本にいながらにしてできる市場調査・販路探索

酒向さんは、JETROのハンズオン支援専門家であり、株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツ取締役、ワールドビジネス研究会の代表幹事です。30年以上にわたり、海外ビジネスの最前線で活動し、独立後、中小企業の挑戦を約10年支えてこられたベテランです。
最初に、講師から学びの目標として以下を掲げられました。

・ 日本にいながらにして行う支援手法
・ 現地市場における当該製品に関する動向、競合、販売代理店候補を事前調査し、企業へレポートとして提供する方法

セミナーにおいては、「海外展開ビジネスの基本的な進め方」「調査の参考例」「ビジネスモデル(案)とフィージビリティスタディ(事業化調査)調査事項」「販路開拓の調査準備」の順で話題を進め、最後に質疑応答を行いました。

初めに、まず知っておくこととして海外ビジネスを取りやめた企業の声が紹介されました。上位3点としてあげられたのは、「情報量が不足していた」「現地のパートナーに恵まれなかった」「売上が上がらない」であり、事前の準備の重要性が強調されました。

続いて、海外ビジネスの進め方が、輸出・拠点進出それぞれに説明され、事業化計画の進め方が解説されました。その際のステップとして、

・ 企業(依頼主)の依頼内容と現在の状況を把握する
・ 想定されるビジネスモデルを聞き出す
・ そのモデルを実現するのに必要な情報を確認する

が説明されました。また、

・ SWOT分析で支援対象企業の可能性を具現化する
・ PEST分析で事業化計画調査の基本事項をまとめる

を行う際には、SWOT分析において、人・モノ・金・情報の視点から整理すると、理解が進むことが説明されました。

その後、調査の参考例を東南アジアの国を例として説明されました。

・ ネットワークや仲間が大切。まずは行動、失敗から成功につなげる
・ 日本にいながら調査できることはたくさんある
・ JETROのハンズオン支援では、事前作業は70~80%を日本でできる。その後に現地において確認する重要性は高い
・ 現地の慣習を知る。ネットからの情報に加えて日本に来ている外国人からも意見を得る
・ 現地では紹介による訪問が有効。公的機関に加えて、金融機関に紹介を依頼するのも効果的である
・ 訪問時には自社の製品・サービスの特徴に加えて、相手のメリットを具体的に示す
・ 「中小企業の海外展開支援業務と知識体系(2023年改定)」(一般社団法人中小企業診断協会のサイトに掲載)を活用する

講師によるプレゼンテーションが終了、質疑応答に移りました。会場・Zoomの参加者から、講師が実際に海外に出張時の交通手段の手配や、現地における専門家との連携に関しての質問が出ました。講師はそれらに明解に返答され、質疑応答も盛り上がりました。

セミナー模様2(実行メンバーにより撮影)

セミナーを終えて

参加者からは、講師の実務や経験に基づいた具体的な内容に関して感謝の声が多数寄せられました。

・ 現地調査の進め方の第一歩が分かった
・ 日本と外国の違いを知ることが大切だと感じた。インドでは冷蔵庫に鍵が付いている(セミナー内で紹介)は日本の感覚だけではわからない
・ 海外進出を考えている企業のSWOT分析しっかり行いたいと思った
・ 現地進出に関しては、経営者のモチベーション(その国が好きか、進出したいか)が重要なのは実際に支援をしている方からの視点で、新たな学びとなった
・ 診断協会のウェブサイトにある知識体系にも取り組んでみたいと思った

との感想・意見がありました。

まとめ

全体を通して、日本にいてもできる内容を多数、具体的に紹介されたので、取り組んでみたいとの声が参加者から多くありました。
次回は、2025年9月9日(火)19時から能力開発推進部と国際部のコラボイベント「貿易の基礎知識と得られるJETROのサービス」を開催予定です。

■伊藤 英幸(いとう ひでゆき)

2021年中小企業診断士登録、Case Western Reserve Univ., MBA(米国MBA)、証券アナリスト、国際公認投資アナリスト。
上智大学在学中は、英語研究会(ESS)で英語ディベートを行う(グローバルウインド2023年7月「英語ディベートのすすめ」)。日本ディベート協会会員。
日本・外資の金融業界(銀行・証券)に約40年勤務、うち30年間、与信審査に従事。1990年代以降、日系・外資の金融機関(銀行・証券・保険)の信用分析に携わる。
2025年3月に中小企業診断士として独立。

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