テレワークは、既に皆さんが働き方の一つと認識するようになりました。そのきっかけは、新型コロナ感染症の流行で多くの企業が導入したことだったわけですが、その発生から6年経ち、この働き方も社会に定着してきたかと思われます。
【テレワークの導入状況】
では、テレワークはどのぐらいの企業に導入されているのでしょうか?
東京都では、都内企業1万社に対して、テレワークに関してアンケート調査「令和6年度多様な働き方に関する実態調査(テレワーク)」を行っています。これによると、テレワークの導入状況について、従業員30人以上の企業は、58.%が導入していて、従業員30人以下の企業は、31.5%が導入しているというのが、現状です。
ここでは、従業員30人以下の企業についてみていきたいと思います。
従業員数が多くなるほど導入率が高く、30人以下の内訳をみてもその傾向があります。とはいえ、2~9人の企業で25.3%となっていて、4分の1の企業がテレワークを導入していることになります。
【導入の目的】
では、その導入している企業の「導入の目的」はなんだったのでしょうか?
導入の目的として挙げられているのが、「非常時(感染症、自然災害、猛暑等)の事業継続対策」が67.0%で最も高くなっています。これは新型コロナ感染症の流行で外出自粛となり、オフィスへの出勤をせずに企業活動継続するために、多くの企業がテレワークを導入したという経緯があるからだと考えられます。
次いで「柔軟な働き方への対応」(64.0%)、「従業員の通勤時間、勤務中の移動時間の削減」(48.2%)、「育児・介護中の従業員への対応」(33.6%)となっています。
【導入のメリット】
そして、導入のメリットとしては、「非常時(感染症、自然災害、猛暑等)の事業継続対策」が72.7%と最も高くなり、次いで「柔軟な働き方への対応」(71.8%)、「従業員の通勤時間、勤務中の移動時の削減」(61.6%) 「育児・介護中の従業員への対応」(38.4%)となっている。導入目的と同じ選択肢を選ばれ、複数回答ができたため、それぞれの回答率が上がってます。
【導入後の課題】
一方、導入後の課題(デメリット)について複数回答で聞いたところ、「社内コミュニケーションの減少」が56.4%で最も高く、次いで「従業員の勤務状況の把握」(42.1%)、「セキュリティの確保」(29.1%)、「利用できる従業員と利用できない従業員との間に不公平感が生じる」(25.4%)となっているのが現状です。
【育児・介護休業法の改正】
さて、2025 年 4 月施行の育児・介護休業法の改正では、3 歳未満の子を持つ従業員と、家族を介護する従業員に対し、テレワークが利用できるように措置を講じることが事業主の努力義務となりました。
あくまで努力義務ではありますが、これまでテレワークを導入していなかった企業は、どう進んでいったらよいのでしょうか?
それは、電子化です。
【テレワーク導入・定着に必要な事】
「テレワークの導入・定着に向けて必要なこと」という項目への回答に、テレワークの導入・定着のために必要なことを複数回答で聞いたところ、「ペーパーレス、はんこレスなどの決裁の社内手続きの電子化」が68.3%で最も高く、次いで「テレワークに関する社内ルールやテレワーク規程(規定)の整備」が49.2%となっている。
新型コロナ感染症流行で、テレワークが広がった時でも、決裁や押印のために出勤するという事態になった企業もありました。こんなところからも、テレワーク導入の前提として電子化、デジタル化ということが必要な事がうかがえます。
【業務の電子化、社内ルールの見直し】
社内決済を紙ベースで行っている企業は、まだまだ多いと思われます。紙を使っての手続きは安心感があります。またその紙の書類に押印が必要な事も多いです。取引先との取引をデータでやり取りしていても、自社でプリントアプトしなければならず、その伝票に押印して控えを保存するという様々な手間がかかります。決裁が必要なものに限らず、紙を使う事を前提とした業務とすると、テレワークがうまく機能しません。
そして電子化するには、社内のルールを見直さなければなりません。社内のルールには、規定として決まっているものから、処理のルールといったものがあります。
紙で行っていた時と、電子化した時に業務にどのような差が出るのか、影響が売上や経費に直結してしまうことはないか、不安は沢山あります。印鑑を使わなくて良いものか、いままで、印鑑が押していないに苦労したことが思いだされ、それでいいのかと考えてしまいます。法令で定められている事を守りながら、進める必要があります。
このような様々な取引先との契約方法やその形態を書面とするか、電子データにするか、記載内容や管理の方法は、社内で決めていることと思います。その社内の規定が、押印した書面ということであれば、当然のことながら必要となりますから、規定の変更が必要となります。言い換えれば、見直せば、不要になるということです。
そして、テレワーク導入には、テレワークの社内ルール、テレワーク規定を決める必要があります。
【業務改善からテレワーク導入へ。まずは相談】
企業内の規定、様々なルールを整備していくことは、業務改善にも結び付きます。決裁業務や書類の電子化のメリットは、スピーディ化、紙の削減、紙の保管のスペース削減、机の上に紙の山もなくなります。
東京都では、中小企業へのデジタル化の支援があります。そしてテレワーク化にも、色々な支援があります。自社にどんな課題があるのかもわからない一緒に整理したいといった状態でも、是非、相談してみてください。
育児参画する男性も増えていますし、親の介護に関わる人の増加もあります。テレワークが利用できると通勤時間がなくなりますので、時間の余裕が生まれ、対応が可能になることがあります。今後ますますテレワークという働き方を必要とする人が増えてくると思われます。
まだテレワーク導入を考えていない企業でも、テレワーク導入する必要が出てから、対応していくのではなく、環境は整えておくことが重要です。まずは業務改善として書類の電子化からすすめてはいかがでしょうか?
企業が、さらに発展していくために、一度考えてみませんか?
多様な働き方に関する実態調査(テレワーク) | テレワーク活用に向けた支援 | TOKYOはたらくネット
略歴
◆小暮 美喜(こぐれ みき)
中小企業診断士
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会 研究会部部長
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会 中央支部研究会部副部長/執行委員















