木伏 源太

 あなたの会社は、金融機関から経営改善計画の作成を求められてはいませんか?
 もしかして、中小企業金融円滑化法にもとづいて返済の条件変更を行った後、経営改善計画を提出しないままになってはいませんか?
 あるいは、業績が改善せず、金融機関にどう説明していいか、困ってはいませんか?
1.経営改善計画の作成が求められている
 今、実は多くの会社では「経営改善計画」の作成が求められています。
 金融機関からの支援(もしかすると支援を受けているという認識自体がないかもしれませんが)を受けている会社は、当然作成を求められています。
 さらに、金融支援先の予備軍とも言える業績悪化企業もきちんとした経営改善計画を作成することで、経営自体の改善を図るとともに金融機関とのコミュニケーションを改善することができるのです。
 逆に、経営改善計画作成の求めに応じないでいると、最悪の場合、企業としてサドンデス(突然の死)に追い込まれることもあります。
 今日ほど「経営改善計画」の重要性が高まっている時期はないと言って良いでしょう。
2.どんな経営改善計画を作れば良いか
 では、どのような「経営改善計画」を作成すれば良いのでしょうか。
 経営改善計画は単なる決意表明や努力目標ではなく、金融機関に対する約束=コミットメントとなるものです。
 安易な気持ちで作成することは、却って逆効果になってしまうこともあります。
 経営改善計画には、(1)事業 と (2)財務 の2つの視点がきちんと織り込まれている必要があります。
(1) 事業の視点
 事業の視点では、以下のようなことが求められます。
・ 会社のことを何も知らない人に対して、自分の事業をきちんと分かりやすく説明する
・ 客観的な視点で顧客やマーケット、競合の状況について分析する
・ なぜ窮境に陥ったのか、誰かのせいにするのではなく、きちんと説明できている
・ 誰の目から見ても確実に経営改善が達成できるような改善プランを打ち立てる
(2) 財務の視点
 財務の視点では、以下のようなことが求められます。
・ 改善プランと連動した損益計算書の計画ができている
・ 損益計算書だけでなく貸借対照表の計画もできている
・ キャッシュ・フローが十分に確保できる計画になっている
・ 金融機関が納得できる債務弁済計画になっている
・ これら全体が、希望的観測によるのではなく、確実に達成できる数値計画になっている
3.中小企業診断士は「事業」と「財務」のプロフェッショナル
 そのような「経営改善計画」を自力で作成できる企業は、私の経験から言っても、少ないと言わざるを得ません。
 そこで、外部専門家として、中小企業診断士の出番となります。
 中小企業診断士には様々な専門分野を持つコンサルタントがいますが、総じて言えば、中小企業診断士は「事業」と「財務」のプロフェッショナルです。
 特に「事業」については、それぞれの専門分野に精通しており、税務の専門家では作れない事業の本質を突いた改善プランを作成することに長けています。
 その点で、経営改善計画作成のベストパートナーは中小企業診断士なのです。
 今回の専門家コラムでは、経営改善計画に求められる「事業」と「財務」の2つの視点をご紹介しました。
 経営改善計画の作成を求められている経営者の方には、手遅れになる前に中小企業診断士にご相談いただきたいと思います。
 
 
 
■木伏 源太(きぶし げんた)
日本経営システム株式会社 マネジメントコンサルタント
中小企業診断士
一般社団法人中小企業診断士協会東京支部中央支部 執行委員・診断実務向上支援部長