西岡 昭喜

 最近、TwitterやFacebookなどのソーシャル・メディアが企業と顧客の関係構築の手段として着目、利用されてきている。今回は米国におけるソーシャル・メディアの統合とCSについてレポートしてみたい。
1.スマートフォンやスマートIVRの活用
 日本と同様に、米国でもスマートフォンユーザが急増しており、米国成人の56%がスマートフォンを所有していると言われている。(35%はガラケー携帯電話の所有で、9%は携帯電話を一切持っていない)。特に若者ではその傾向は顕著である。
 IVRとは、企業のコールセンター等の電話窓口で、音声による自動応答を行うコンピュータシステムのことであるが、スマートフォンのUI(ユーザインターフェース)を活用した新しいIVRシステム(スマートIVR)が導入されてきている。
 スマートフォンのUIを介して、既存のIVRへ接続するため、企業にとっては、従来からあるお客様の音声基盤を活用し投資額を抑えることができるメリットがある。またコールセンターの業務効率化、スマホの画面を商品PR等へ活用できるメリットがある。
 一方で、お客様側も、長い音声ガイダンスを最後まで聞く必要がなく、ビジュアルでコミュニケーションを図れることから、お客様の負担が少なく満足度が高くなるメリットがある。
2.インテリジェントIVRの主な機能
・お客様が自身でサービスメニューを選択できる機能
・アンケートやCS満足度調査を行う機能
・クーポンを提供する機能。QRコードをスマホで読み取りインターネット接続することや、瞬時にWEBサイトへの誘導やメッセージの発行、クーポンの発行も可能である。
・アプリダウンロードできる機能
・折り返しアポを依頼できる機能
・地図や方向をあらわす機能。位置情報を利用して実際の店舗やサービスセンターへ誘導することも可能であり、仮想世界と現実世界を統合することが可能となる。
3.効果的な顧客エンゲージメントへの6つのステップ
 ソーシャル・メディアの市場への浸透する時代においては、その新しいルールを採用する意思がある企業だけが成功を期待することができるのではないだろうか。より競争力を高めるための6つのステップとしては次のものがあげられるだろう。
ステップ1:お客様とマルチチャネルを持つ
ステップ2:お客様と賢明なコミュニケーションを持つ
ステップ3:お客様へ継ぎ目のないサービスを提供する
ステップ4:お客様とビジネスの協働を可能にする
ステップ5:関連会社、パートナー会社とのレバレッジを図る
ステップ6:運用インテリジェンスを高める。具体的には、迅速にサービス品質を測定し、適応・修正を繰り返すことである
4.ソーシャル・メディアの統合とCS
 ソーシャル・メディアにおいてCSを活用することは、新規事業を推進したり、現在の顧客を維持するうえで、費用対効果の高い戦略である。
 ソーシャル・メディアを企業のブランドイメージを傷つけないようにするためだけに利用することは効果的ではない。
 CSスタッフへのエンパワーメントを進めれば、次の通り、顧客のエンゲージメントへの効果は大きいだろう。サポートチームの業務の軽減、1対1対応の削減により、CSの戦力を顧客の希望するメディアへ集中できる。ソーシャルメディ上でのCSスタッフへのエンパワーメントにより、どこでも解決を提供し、顧客が一番望む分野へ集中することが可能となる。
■西岡 昭喜(にしおかあきよし)
中小企業診断士
消費生活専門相談員、消費生活アドバイザー、消費生活コンサルタント
東京都中小企業診断士協会中央支部執行委員
NPOみなと経営支援理事、東京商工会議所エキスパート、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会会員、
【著書】
BRICsがみるみる分かる本、NEXT11がみるみる分かる本、BRICsとNEXT11のすべて、経営法務、流通ネットワーキング他