八木 田鶴子

「中小企業・小規模事業者への支援施策を活用しましょう!」

(1) 中小企業の支援施策について
2014年6月27日に、小規模企業振興基本法、商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律(以下「小規模支援法」)が公布されました。これにより、中小企業、中でも小規模事業者に対する支援施策が大幅に拡充されました。
また、2015(平成 27)年度補正予算案が12月18日に閣議決定し、事業費総額約3兆5,030億円にも上ります。
その内訳は図表1のとおりですが、そのなかには、多くの中小企業支援策が含まれています。経済産業省関連だけでも2,901億円(財務省・復興庁計上分含む)平成 27 年度予備費996 億円(財務省・内閣府計上分含む)となっています。このほかにも厚生労働省関連(6,874億円)や農林水産省関連、国交省関連などにも多くの中小事業者向け対策が組まれています。
こうした支援施策は上手に活用したいものです。

図表1 2015(平成 27)年度補正予算案

1 一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策等 1兆1,646億円
2 TPP関連政策大綱実現に向けた施策 3,403億円
3 災害復旧・防災・減災事業 5,169億円
4 復興の加速化等 8,215億円
5 その他喫緊の課題への対応 3,037億円
6 その他 3,560億円

また、補正予算とともに、12月24日には、過去最大となる96兆7,000億円(一般会計歳出総額)の2016年(平成28年度)予算を閣議決定しています。
安倍首相は、「補正予算とともにこの予算を一日も早く成立させて、景気回復の実感、そして、『一億総活躍社会』に向けた新たな希望を、全国の皆様にお届けしたい」と言っています。年明け1月4日からスタートする通常国会において、平成27年度補正予算とともに、平成28年度予算の早期成立を目指しています。

(2)中小企業の定義
中小企業対策の支援を受けられる中小企業の定義は、資本金の額と従業員数によって定められています(図表2参照)。
なお、支援施策によっては、この定義とは別の要件になっている場合がありますので、活用する施策の「対象者の要件」を十分理解しましょう。

(3) 中小企業者の数など
中小企業者は日本全国に385万者 (企業全体386万者に占める割合99.7%)、うち小規模事業者数は334万者(同86.5%)となっています。日本の産業は、中小企業・小規模企業によって支えられているといっても過言ではありません。
こうした中小企業者は、昨今の経営環境の厳しさから、廃業を余儀なくされている企業も少なくありません。

図表3にみるとおり、2009年から2012年の3年間で、全企業における減少率が8.3%であり、その減少事業者のほとんどが小規模事業者となっています。

下記の図表4は、全企業に占める中小企業者、小規模事業者の割合です。

(4) 中小企業者・小規模事業者支援施策の利用について
中小企業者・小規模事業者への支援施策は、直接的に補助金・助成金がもらえる支援、融資面や税制面での優遇施策、専門家派遣によるコンサルティング支援、展示会出展やパンフレット作成などの販路開拓支援、などさまざまなメニューがあります。中小企業診断士の専門家派遣をうけて、各種の補助金・助成金応募などについての紹介や助言を受けることもできます。
補助金・助成金については、自社内で検討している経営戦略や経営革新計画、事業計画に合致したものであれば、応募することをお奨めします。たとえば「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」や「小規模事業者持続化補助金」などがあります。地方創生に関連する支援施策も数多くあります。また、新たな創業や第2創業を検討している方にも、助成金や融資面での支援策があります。
前述したとおり、2015年度補正予算や2016年度本予算について、1月4日から始まる国会において審議され、早期の決定がされる見込みです。とくに補正予算については、決定されるとすぐに募集が始まります。今後の事業計画に合致した支援施策について今から情報を入手して準備しておくとよいでしょう。

以下に、登録をすると、メールマガジンなどにより、無料で情報を入手できるおもなWebサイトを記載しますので、参考にしてください。

● 中小企業庁ホームページ
http://www.chusho.meti.go.jp/

中小企業庁/中小企業向け補助金等の公募情報
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/koubo/index.html

● J-NET21(中小企業基盤整備機構、ビジネス支援サイト)
http://j-net21.smrj.go.jp/index.html

● ミラサポ(中小企業庁委託による中小企業・小規模事業者向けサポート)
https://www.mirasapo.jp/

● そのほか、全国各地の中小企業支援センターなど
東京の場合には公益財団法人東京都中小企業振興公社
https://www.tokyo-kosha.or.jp/

● そのほか、「よろず支援拠点」や全国各地の商工会議所や商工会などにも、気軽に相談できる窓口がありますので活用しましょう。

(八木 田鶴子(やぎ たづこ) 中小企業診断士・ITコーディネータ)

■八木 田鶴子(やぎ たづこ)
有限会社テオリア取締役社長。合同会社みんプロ代表社員。中小企業診断士・ITコーディネータ・1級販売士・事業再生アドバイザー等。
・一般社団法人東京都中小企業診断士協会/中央支部支部長、東京販売士協会副会長、イー・マネージ・コンサルティング協同組合常任理事 等
・おもな業務内容:経営革新支援。経営戦略・経営計画策定支援。業務改善・財務会計・IT化推進等支援。商店街・個店等診断・経営支援。各種調査。教育・研修。セミナー。講演。  等
(E-mail) VEP06774@nifty.com
(みんプロHP)http://minpro.tokyo/