皆さん、こんにちは。中小企業診断士の齋藤司昂です。
普段は、企業研修の講師や人材開発コンサルタントとして、企業の人材育成や組織づくりのお手伝いをしています。

今回のコラムでは、組織学習を学び、自チームに取り入れるための考え方をお伝えします。

1.組織学習とは?
 組織学習とは、個々人が学習した知識や能力などが組織内で発揮され、その知識・能力が組織内で共有されることで、組織そのものの能力が向上し成果につながるという考え方です。
 そして、組織の能力・成果向上が、さらに個人の学習につながっていくというサイクルによって学習が促されていきます。

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 とりわけ、組織学習には、既存のやり方を改善していくレベル(シングルループ学習)と、既存の枠組み・前提から変化させていくレベル(ダブルループ学習)の2つがあるとされています。

 特に変化の激しい今の時代では、ダブルループ学習をいかに促進させていくかが大切になります。
※ 詳しい理論については、中小企業診断士の皆さまならご存じだと思いますので、簡略化しております。

2.組織学習が進まない要因
 理論として個々人の学習、能力開発が必要と言われる一方で、なかなか現場で促進するよう発言しても、一向に変化が起きないことが多々あります。
 その要因として、

①学習のインセンティブが無い

②すでに業務量がいっぱいで時間に余裕がない

③会社として学習に投資していない

④自腹を切らないといけない

⑤何を学習すれば良いか分からない

⑥学んでも、自分も組織も良くなる気がしない

⑦変化への行動をすると上司に反発される

⑧上司から学習を否定される

⑨そもそも勉強が嫌い

⑩現状に不満はない

など、多様に渡ります。

 コンサルタントとしては、こうした要因を乗り越えていくために、戦略を個人の学習に落とし込むデザインを行い、社長が何から手始めに取り組むべきかが分かるようにすることが大切です。

3.組織学習をデザインする
 組織学習の考えを活用し、経営戦略を実現させていく確度を上げるためには、従業員の学習をデザインすることが大切になります。そのためのポイントをご紹介します。

①変化のメッセージを社長の言葉で発信する
 組織学習によってダブルループ学習を進めようとすると、どうしても現状を変えたくない層との衝突が避けられません。そのため、社長の覚悟とメッセージングがとても重要となります。場合によってはコンサルタントが矢面に立つことも覚悟のうえで、まずは感情面に訴えかけることは重要です。

②個人の学習前のインセンティブ(感情面、費用面)を作る
 原則として、「人は興味のない分野に自ら勉強しようしない」という前提を持ったうえで学習環境のデザインを行う必要があります。一方で、人には「作業興奮」という機能が脳にあるため、一度始めると一定程度は継続するという面もあります。
 そのため、学習のきっかけを外部刺激によって作ってあげることが必要です。
 インセンティブとしては、学習費用の一部補助など金銭面はもちろん、学習のために業務量を調整するなど仕事面や学習を奨励する空気づくりも大切です。

③個人の学習成果達成のインセンティブを作る
 前述した作業興奮は、長期的に継続するものではないため、学習成果を達成したことに対するインセンティブを用意することが大切です。
 例えば、資格取得の奨励金や手当、昇格の要件として定めるなど、目に見える利益として提示できると良いでしょう。
 その他、資格につながらないものでも、学んだ内容を共有する勉強会の主催を評価項目として設定することも有効です。

④個人の行動変化を奨励する
 学習をしても個人の行動変化につながらなければ意味がありません。そのため、いつもと違う「良い」行動を小さなことでも奨励していく組織文化を醸成していくことも大切です。
 まずは社長やコンサルタントが率先して褒めて、行動を促していくことが良いでしょう。

⑤長期的目線で見る
 組織学習を推奨しても、数か月の短期的なスパンで変化は起きづらいものです。もちろん、強力に学習が進み、行動変化もすぐに組織レベルで変わっていければ2,3か月で組織変革できるケースはあります。
 しかし、必ずしも短期で結果が出せるものではないことを前提に、制度デザインの検証を四半期に一度振り返り、見直し、自組織により良い手法を模索することが大切です。

 以上になります。
 本内容で、皆さんのコンサルティングが少しでもより良いものになったら幸いです。

【プロフィール】
齋藤司昂(さいとう かずたか)
経済産業大臣登録 中小企業診断士
区役所、一部上場 総合コンサルティングファームを経て、現在は企業研修講師として従事。研修講師登壇や研修プログラムの企画・営業・制作などを推進している。