中央支部 青年部 ワンコインセミナー(第2回)実施報告
『幸せな死のために中小企業診断士が知っておきたいこと』

中央支部青年部 中村 秀剛

 7月22日(水)中央支部 青年部主催でセミナーを開催しました。今回は「幸せな死のために一刻も早くあなたにお伝えしたいこと 若き外科医が見つめた『いのち』の現場三百六十五日」の著書である中山祐次郎氏をゲスト講師にお招きしました。
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 冒頭では、中小企業診断士と外科医の共通点に触れた後、なぜ医師になろうと思ったのか、15歳の当時に考えたことをご紹介いただきました。
 続いて、医療の現場で日々接するガン患者との日々を生々しくご紹介いただきました。年代別の死因ベスト3を見ると1歳から20代までは死因の3位がガン、30代では自殺に続いて2位、40代から80代まではガンが死因の1位であるということです。幼い子供や愛する妻を残して「死にたくない」と訴える患者を前にして何もしてあげられない無力な存在である医師という仕事について考えさせられました。また、自分自身、いつでも死と隣り合わせであるという現実を再認識しました。
 その後、私はどのような存在なのか、10項目書き出すというワークを行いました。夫である、親である、息子であるといった「家族」に関すること、コンサルタントである、教師である、相談相手である、といった「仕事」に関すること、ランナーである、ゴルファーである、といった「趣味・嗜好」に関すること、それから「夢」に関することなど、どのような項目を一番多く書き出したのかを振り返ることで、自分が日々大切にしていることが垣間見えるとのことでした。書き出した中で一番多かったことを挙手で確認したのですが、通常のワークショップでは中々書き出されることのない「夢」を書き出した人が多かったそうです。「中小企業診断士の皆さんは向上心が高く夢に向かって日々行動している人が多い」ことを示しているのではないかと講師からの感想が伝えられました。
 休憩を挟んで後半は実際に死というものを見つめなおす時間になりました。まだ実感できない死というものを5つの要素に分解して考えることで、死を疑似体験しました。
・もしも来年歩けなくなるとしたら今年のうちにどこに行っておきたいか
・もしも来年目が見えなくなるとしたら今年のうちに何を見ておきたいか
・もしも来年口からものが食べられなくなるとしたら今年のうちに何を食べておきたいか
・もしも来年耳が聞こえなくなるとしたら今年のうちに何を聞いておきたいか
・もしも来年誰にも会えなくなるとしたら今年のうちに誰に誰に会っておきたいか
 以上の質問は死が訪れる前にやってくる典型的な事柄とのことです。それぞれの質問に5つずつ回答することで、段階的に死というものを感じることができました。
 質問の最後は自分の書いた内容を振り返って「自分が本当にしたいことは何か」を明らかにしました。自分自身、普段何気なく「あれをしたい、これをしたい」と考えてはいますが、具体的に行動に移せていない事柄が浮かび上がってきてびっくりしました。やりたいこと、行きたい場所、会いたい人に積極的に行動しようと気持ちを新たにしました。
 最後に講師から「あなたの代わりはいくらでも居る」「幸せのハードルを動かす」「いつ死んでも後悔するように生きる」という3つの処方箋を受け取りました。特に「いつ死んでも後悔するように生きる」という言葉には、いつ死を迎えたとしても「待ってください。僕はまだこれからなんですよ。」と言えるようにしたいという意味があるということで、充実した日々を過ごすためのガイドとなる言葉をいただいた気がしました。
 懇親会では講師を囲み、引き続き熱い議論が交わされました。セミナーで投げかけられた質問に対して各自が記入した内容を披露しあう場面があり、皆さんが人生において大切にしていることを理解しあうことができました。また、講師の少年時代の体験や今後の人生展開についても質問が飛び交いました。
 セミナーの後、参加者の皆さんの表情が柔らかくなっていたのが印象的でした。普段なかなか考えない「死」というものに接することで、様々な気づきが得られたセミナーとなりました。