【質問】
 補助金や助成金を活用したいと思っていますが、いろいろあってよくわかりません。
 自社に合う補助金・助成金はどうやって見つければよいでしょうか?

【回答】
 ご質問のように、個人事業主や中小企業が活用できる補助金や助成金は色々とあります。
 たくさんありすぎて、“どれが合うのかわからない”“合うものを教えてほしい”という声も多く寄せられます。
 当コラムでは、同様の悩みをお持ちの事業者の皆様に、「探し方」「留意点」「応募の仕方」の3つに分けてご案内したいと思います。
 ご参考となりましたら幸いです。

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┏┏  【1.探し方】

 補助金や助成金は、国、都府県、市区町村が実施している公的なものと、業界団体や企業が実施しているものとがあります。
 たとえば国であれば、経済産業省・中小企業庁系、厚生労働省系、その他の各省庁系などがありますし、都府県や市区町村においても「目的」に応じて様々なものがあります。
 今どきは、ほとんどの情報がWebサイトに出ていますので、情報にたどりつけさえすれば内容の確認は難しくありません。

 さて、肝心の「探し方」ですが、オススメの方法として3つご案内します。

1)中小企業庁が運営している中小企業向け補助金・総合支援サイトである「ミラサポplus」を活用する方法です。
 「よく見られている補助金・給付金」の確認や「国の支援制度」「自治体の支援制度」の検索ができます。
https://mirasapo-plus.go.jp/
(2021年9月6日現在の情報です)

2)「Web検索」で調べる方法です。
 Googleなどで、「○○補助金・助成金」で検索してみましょう。
 たとえば、「コロナ補助金・助成金」「新製品開発補助金・助成金」「販促補助金・助成金」といった具合です。
 「目的」に応じた検索がピンポイントでできます。

3)「無料経営相談窓口」を利用する方法です。
 手っとり早く、最も有意義な結果になるかもしれません。
 電話や面談で、経営状況や悩みを具体的に聞いてもらったうえで、活用しうる補助金や助成金、支援制度についての助言をしてもらえます。
 東京都であれば「東京都中小企業振興公社」、各府県であれば、それぞれのホームページに案内が出ています。
 前述の「ミラサポplus」から探すこともできます。

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┏┏  【2.留意点】

 補助金や助成金の活用には、いくつか留意点があります。

1)まず、「タイミング」に注意が必要です。
 公的機関は4月から3月が事業年度になっていることから、補助金や助成金の募集は「春先」が多くなります。
 「ミラサポplus」などで無料会員登録をしてメルマガ案内が来るようにしておくなど、日頃からのウォッチのしかけを作っておくと便利です。

2)「申請期間」にも注意しましょう。
 補助金や助成金によっては、申請期間が一週間から一か月程度と、極めて短い場合もあります。
 活用しうる補助金や助成金を見つけたら、昨年の募集情報や申請書を参照して事前に申請書を作ってみるなどの準備をなさっておくと、いざという時に焦らずにすみます。

3)多くの補助金や助成金は、「支出済みの経費は対象外」です。
 申請して、採択され、ゴーサインが出てから必要経費を支出するようにしましょう。

4)補助金や助成金は、基本的に「後払い」です。
 申請して、採択され、ゴーサインが出て、自己資金で支出して、最後にお金が振り込まれます。
 前払いでもらえるわけではありませんので、当座の資金繰りが必要になります。

5)最後に、「活用を目的化しない」という姿勢が大切です。
 “どうせやることだから、たまたま活用できるのなら補助金や助成金の補助を受けよう”という考え方で臨むことが肝要です。
 補助金や助成金をもらうことを目的にしてしまうと、本来必要のないことに資金を使ってしまったり、何かの不備があって補助金や助成金が入金されなくなってしまった場合に、本末転倒になってしまうこともあります。

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┏┏  【3.応募の仕方】

 補助金や助成金には、必ず「募集要項」や「応募要領」といったガイド書類があります。
 今どきはWebサイトからPDFファイルなどで入手できるようになっていますので、まずはこれをよく読んで理解することが大切です。
 膨大なページ数と難解な表現に圧倒されますが、「目的」や「対象経費」を確認して、活用できるかどうかを見定めましょう。

 補助金や助成金の申請書は要するに「事業計画」であり、どの補助金も骨子はほぼ共通していますので、慣れてしまえば読み解くのもそう難しくはなくなります。

 採択されるポイントは、「募集要項に合致した計画書づくり」にあります。
 「指定された形式・内容通りに忠実に書いているか」、「審査員が読みやすい体裁、わかりやすい内容になっているか」、「市場分析(ニーズと競合)はしっかりできているか」、「自社の強みはしっかり把握できているか」、「競合より優れているか」、「費用対効果はあるか」、などです。
 審査のポイントが書かれている場合もありますので、参考にしながら、申請書に記載するストーリーを工夫なさってください。

 申請書は、「まず自力で作ってみて」、無料相談窓口などで中小企業診断士にチェックしてもらうなどしてブラッシュアップしていくのがオススメです。
 採択が保証されるものではありませんが、申請書の改良に向けた助言をもらうことができます。
 中には、「事業再構築補助金」のように「認定支援機関の協力」が条件になっているものもありますので、その時には顧問税理士や付き合いのある金融機関にご相談なさってみるとよいと思います。

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┏┏  【その他、お役立ち情報】

 
 今回のコラムはいかがでしたでしょうか?
 少しでも皆様のお役に立てましたなら幸いです。
 
 以下のコラムも是非ご参考になさってみてください!

○「無料経営相談を活用しましょう!」(2019年10月)
 https://www.rmc-chuo.jp/manager/column/2019092801.html

○「事業計画書作成のススメ」(2016年11月)
 https://www.rmc-chuo.jp/manager/column/2016102101.html

○「商店街活性化のポイント」(2015年1月)
 https://www.rmc-chuo.jp/manager/column/20151_3.html
 
○「リース契約のトラブルに気をつけましょう!」(2013年6月)
 https://www.rmc-chuo.jp/manager/column/20136_5.html
 
 
 
■ 鎌田 浩一(かまた ひろかず)
 (一社)東京都中小企業診断士協会 中央支部 副支部長
 中小企業診断士
 ITコーディネータ
 ITストラテジスト