このコラムでは、他の方が事業継続力強化計画(強靭化計画)についてご紹介しています。
 私の方では、少し前にこの法律の立案に関わった方の研修会に参加して、単なる事業継続計画(以後、BCP)の簡易版ではないことを知りましたので、改めてこの法律の狙いや法律制定の裏事情、計画策定のポイントなどをご紹介します。
 事業継続力強化計画(以後、強靭化計画)について復習しておくと、中小企業の自然災害に対する事前対策(防災・減災対策)を促進するため、防災・減災に取り組む中小企業がその取組を「事業継続力強化計画(強靭化計画)」としてとりまとめ、国が認定する制度です。
 強靱化計画は、世間ではBCPの簡略版と言われていて、BCPのコンサルタントらがBCPの延長で申請するように促していますが、法律の立案に関わった方からするとまったく違うものであり、むしろ従来のBCPを否定するような認識です。

■ なぜBCP推進の看板を取り下げたのか
 従来のBCPは14年かけて国が取り組んで来ましたが、中小企業においては取り組み率が16%に留まっており、それも系列内で迫られて策定したところが多く、自主的に取り組んだ企業が少ないことが強靱化法の出発点になっています。
 そもそもBCPは地震や台風、竜巻、火事など災害の種類を想定するのに際限がなく、受けた被害によって重要業務も変わるために、重要業務の設定も役に立たないので、PDCAを回すにも計画の策定に限界があったとのことです。
 それでも災害への事前対策が必要な理由として、環境変化のせいで人が住まなかった所に住むようになり、物流やビジネスシステムの脆弱性が大きくなって災害時のインパクトが増えていること、スピード勝負の時代に大手企業は即座にチェーンを変えてしまうために中小企業には対策が必要であることが理由です。
 政策担当者の思いとしては、どんな企業でも開わる人の命に責任があり、社会的責任がある。また、そこに関わる国や支援者も社会的な責任があるとの認識です。
 では、どうすれば良いかとなりますが、事後の対策がうまく行っている事例を調べたところ、対拠能力があれば良く、そのような企業を作ることが主眼となったようです。

■ 強靱化計画は何を認定するのか
 強靱化計画はこれから災害対策をするにあたっての計画を記載したものです。認定を受けた後に強靱化計画を実行すると災害時における行動計画や訓練ができている状態になります。

■ 計画の立て方
 強靱化計画のページ数は正味4ページ程度で良いとのことです。詳細な災害対策マニュアルなどは別に社内資料として作ることになります。強靱化計画への記載内容については、被害想定が不可能なので被害の想定自体が不要であり、リスクについては深掘りする必要はありません。
震災時の対応能力のアップが目的の一つですので、訓練の計画が必要です。訓練の目的として、素早く判断して動ける体制作りがあります。災害時には、初動が大事であり、1時間の遅れが1日の遅れにつながり、人命や顧客を失う結果になります。訓練の成果として、訓練して練度が進めばマニュアルは薄くなり訓練の細かい設定は不要になります。

■ 計画策定後
 計画の認証を受けたら、計画に沿って対応して行きます。
 設備の事前対策を進めるにあたり、耐震化はやった方が良いですがリターンとのバランスが大事であり、まずは課題として認識しておきましょう。他にやるべきこととして、保険を見直して「水災特約」を付ける、顧客が転注しそうなライバルと提携する「お互い様連携」などがあります。

■ 最後に
 強靱化計画の作成は難しく考えなくて良いことを理解いただいたと思います。計画の目的の一つは組織対応力の強化ですので、訓練することが日常の組織力強化につながります。ぜひ強靱化計画を申請して災害対策に取り組んでください。

■ 佐藤 正樹
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会・相談役、中央支部・執行委員